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詩 溶けて到来

惚けたように舌で溶かした、チョコレート
輪になりつつミルクの中の不正
金は無限に湧いてくる国では普遍的価値

ざらつく庭に荒廃と欲に突き動かされ
かつて生きられた肉は今では無能
遅れてきてやって来ては増強された生存者の暴論
「お前の中に沈み込む、過剰を呑み込め」
恥晒しは堂々と歩き回りささくれ立つ
「競争の力、全ては差し控える」

泥に対抗しながらの
品評会に臓物を
ガニ股で当道
危うく道を踏み外し
弾む

高熱の最中溶け出す家、渡り鳥はささくれ立つ
空想の世界、妄想の社会、ハリボテと上澄み
押し付け合うささやかな予算
なすりつけ合う緩やかな無責任
「朝には葉一枚だけ残り、裸のまま踊り狂う」
痴態の全て、太陽の儀式に至る
「うつろなる。目の前に生じた」

浅い山楂の色に想う
天の羽には何ものも潜まない
うっすらと泣いちまった
私は火の精霊
火の粉のように微かで
畢る

知らんままに放り込んだ棘玉に苦しみ
吐き出すことも叶わず子供は泣く
何も食えず、何も言えず
「いざとなれば、助け合える」
チョコレートのようにするりと溶けた良心

釘を打ち込み打ち込まれる。 そんなところです。