大学卒業したら就職氷河期で妊娠したらリーマンショック。

その後も地震やらウイルスやら自分にはどうにもならない事に振り回され続けている人生です。

不景気になると、代わりはいくらでもいるとすぐに契約を切られる非正規雇用者を目の当たりにし、いつしか代わりのいない自分だけの何かを求めるようになりました。

そんななか偶然出会った「津軽民謡」。プロの唄声に圧倒され、日本一を目指す皆さんに刺激されて私も頑張りたいと思っていました。しかしびっくりするくらい才能がなく、まず声が出ないし出せない。「蚊の鳴くような声」と言われ落ち込む暇もなく練習していたのですが…

出来なくて、出来なくて、出来なくて、出来ない。

努力しているのに、こんなにも出来ない事があっていいのか？自尊心も粉々にされるくらい津軽民謡が難しくて唄えません。あと何年かかったら出来るようになるのか。もしかすると一生、津軽民謡を満足に唄えないかもしれない。得体の知れない不安に襲われ、練習が怖くなってしまった時期もあります。

師匠や同門の皆さんと出会って、津軽民謡大好きになりました。上達して自分の唄を唄えるようになりたいのに、民謡の声を出すのが苦手という現実に直面しています。

あれからもう6年。今でも民謡の発声が苦手です。出来たと思ったらすぐに出来なくなるの繰り返しです。

今までは出来ない事は出来る人に任せようと諦めてきました。しかし人との出会いが、好きな事なら出来なくても諦めずに続けて人生の課題として楽しもうと大きな変化をもたらしてくれました。

叱咤激励を受けながらも同門の皆さんと過ごす日々はかけがえのない宝物です。毎日がともて充実していて幸せです。１つでもいいから好きなことが見つかれば、失敗を改善しようと少しずつ進むうちにいつのまにか目標に近づけるかもしれないと、自分を奮い立たせています。

大切にしているのは、明日人生が終わっても後悔しないよう１日をできるだけ悔いなく過ごすこと。明日がわからないなら出会った人を大切に、自分に正直に生きようと心がけています。

好きな事が、得意な事であればどれだけよかったでしょうか。残念ながら、私の好きな事は苦手な事。今日も師匠やプロの遠すぎる背中を追いかけて、終わりの見えない自分の課題に向き合っています。