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画力は必要?3Dモデリングの世界への道(榊正宗)

3Dモデリングの分野には様々な職種が存在しますが、現代の国産3DCG業界においては、モデリングはもはや主役の座を占めていません。3DCGを職業として追求する際には、モデラーではなくアニメーションやエフェクト関連の職種が推奨されます。これらの分野では、絵を描く能力よりも他のスキルがより重要視されます。

ただし、どうしてもモデラーとして活躍したいという場合は、現在は非常に競争が激しくなっています。例えば、ゲームやアニメにおいて、国内で専門的なモデリングを行う優秀なブランド企業も存在し、100体のキャラクターを必要とするゲームの場合、そのうち10体程度が日本で作成され、残りの90体は海外で制作されることが多いです。しかし、海外制作分のリテイク(修正)が弱点であるため、日本での修正作業は比較的多く存在します。

モデリングの仕事が完全にないわけではありませんが、そのためには非常に高い技術が求められます。絵を描けないモデラーよりも、絵を描けることができ、それを活かしてより高品質なモデルを作るスキルが重宝されます。

絵を描けることの利点は、高品質なモデルのベースを作るための技術に他なりません。更に言えば、絵の能力に加えて、彫刻やフィギュア制作のような造形力も求められるのです。

結局のところ、国産モデラーとして成功するためには、狭き門をくぐり抜け、高度な技能を磨き続ける必要があります。

私自身も、ゼロからモデリングを行う仕事は以前に比べて減少しています。よくあるのは、海外から提供されたモデルを修正して使用するケースです。しかし、たまに海外発注が間に合わない場合は、自らモデリングを行うこともあります。従って、専業のモデラーとしては難しいですが、モデリングスキルは強力な武器となり得ます。

3DCGの仕事においては、アニメーションやエフェクトの分野では、国産の作業としてスペシャリストになる可能性が高いです。しかし、モデラーとしてのスペシャリストを目指すのは、かなり困難です。そのため、モデリングスキルを身につけ、多岐にわたる能力を持つジェネラリストを目指すことが望ましいでしょう。

CG業界における大きな課題として、ゲームやアニメプロジェクトでは、初期段階でのみスペシャリストのモデラーが必要とされる傾向があります。その結果、正社員として採用されることが多いこの業界では、ジェネラリストや海外外注の管理・修正ができる人材が求められています。

モデリングは魅力的な仕事ですが、就職の観点から見ると、スペシャリストとしての採用は長期的なキャリアにおいては不利になる可能性があります。フィギュアの原型師やVRチャットのモデル販売など、特定の分野で人気を得ることができれば、モデリングをメインにすることも可能です。しかし、そのレベルに達するためには、結局のところデザインの上手さ、つまり画力が不可欠です。

【結論】絵を描けなくても、様々な技能を持っていれば3DCGの仕事は豊富にあります。どの分野でも良いのであれば、特に絵を描く必要はありません。しかし、モデリングのスペシャリストを目指すのであれば、絵を描けることは不可欠です。


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