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こんなに頑張っているのに企画が通らないっ!ひどい!って話

 たまに聞くんですよね、こういう話。私はとても頑張っていて、一生懸命考えているのに、企画がなんも通らないんだって。まぁ、残念だよね、とは思います。でも、それがもうひどい!みたいな、自分は悪くないと思ってる風な感覚になっちゃってる人もちらほらいる。

 そういうの見聞きしてると思うのは、あなたが頑張ってるかどうかなんて企画を判断する側の人からすると知ったこっちゃないし、企画の面白さとは無関係なんだよな、ということ。まぁそもそも頑張ってるのにっていう前提がおかしいよねぇ。頑張るのは別に普通だし。ことさらに頑張ってますとか言われてもへぇそうなんだ、でもそれ普通だし、としか思えなかったりもする。

 まぁ偉そうに企画の面白さを語れる立場にはないけれど、少なくとも自分も編集者の時、頑張ってプラン表書いたって、編集会議で一言も発言権を与えられないことなんてザラにあったよなぁ。でもそれをヒドイとは1ミリも思わんかった。あぁ、俺つまんねーんだな、とかずれてんだな、とか、何であの人は発言できたんだろう、とかどちらかというとそっちを考えるものなわけで。

 そもそも頑張る=投下労働時間のイメージに囚われている人がいそうで、これはものすごくタチが悪い。ホンダでエアバッグの研究開発に携わった小林三郎さんが大学院の授業で話してくれたことがあったのだけど、オペレーションとイノベーションは全然違うんだよ、と。

 オペレーションは投下労働時間とアウトプットが比例する作業だ。だから、時間をかけた分だけアウトプットが生まれる。頑張れば、たくさんアウトプットが出るタイプの話。対してイノベーションは全く比例しないんだよね、というお話。経営者がこれをわかった上で、イノベーションに従事する仕組みや組織をある種の信念を持って守らないとイノベーションなんて起きないよ、と。僕はこのオペレーションとイノベーションの定義がとても明瞭で気に入っている。てか大好き。(思いっきり仕事っぽい話になっているけれど、あくまでも好きなものについて語るというスタンスなので、今回大好きなのはこの定義だということになるね、ちなみにこの著作、いつの間にかKindle版も出ている。素晴らしいことだーーー!!)

小林三郎/ホンダ イノベーションの神髄

 大切なことは、この世には、投下労働時間とアウトプットが全く相関しない類の仕事があるということだ。イノベーションはその最たるもので、成果が出るかどうかすら不確かで、かつ、見切るのに何年が妥当、といった話があるわけでもない超長期スパンの話。でもイノベーションだけじゃなくて、いわゆる知的労働の類って少なからずこの投下労働時間とアウトプットが非相関っていう性質を持っている。クリエイティブなアイデアも別に机に向かった時間に比例して出てくるものではない。アルキメデスの時代から、閃く時は一瞬で、Eureka!な瞬間のためにインプットを繰り返し、思考し続ける。でも、思いつかない時は思いつかないし、思いついたことの質が良いか悪いかは、それこそ思考時間とは比例しない。

 新人時代の僕がどんなに(本人は)頑張っているつもりでプラン表を書いても、つまらないものはつまらないし、会議の場ではつまらないプランに対し発言する時間を与える価値など微塵もない。でもそれが多分、正しい。それくらいわかりやすく扱ってくれないと、勘違いする輩も出てきそうだから。つまらないものはつまらないし、ずれてるものはずれている。だからこそ、ふむ、今日も俺が考えたことはダメだったらしい、ってなるし、なんであの先輩は発言が多いんだろう?って考えるきっかけになる。次第にあぁ、確かにあの人が書いていることは面白いし、それに比べると自分の浅はかさよ、みたいなことにも気づける。

 でも、自分はこんなに頑張っているのに、わかってくれない、企画が通らない、ひどいみたいな思考は全く成長のポテンシャルを感じないよなぁ。そんなこと考えてたら、ZOZOテクノロジーズの金山さんがこんなこと言ってた。

 ほんと、これ。こんなんどこにでもある話なんだろね。100歩譲ってアイデアがいけてるのに通らない時、それは今度はそれを伝えきれなかったことに問題があるか、やはりどこかがずれているか。何れにせよ、自分のせいだと思ってトライ&エラーを繰り返すのが大切だよねぇ、と思う今日この頃です。

 おまけ

(それでも理解されない時は、どうするか?そういう時はな、バカヤローって机叩いて席を立つんだ!って小林三郎さんは言ってたよ。)

自分の好きなことを表明すると、気の合う仲間が集まってくるらしい。とりあえず、読んでくれた人に感謝、スキ押してくれた人に大感謝、あなたのスキが次を書くモチベーションです。サポートはいわゆる投げ銭。noteの会員じゃなくてもできるらしい。そんな奇特な人には超大感謝&幸せを祈ります。