オタク書店員の推し活話 #4 営繕かるかや怪異譚
こんにちは、こんばんは。オタク書店員の眼鏡猫です。
つぶやきでもお知らせしたのですが、11月からちょっとやりたい事がありまして、とりあえず推し活話は今回で一旦終了とさせて頂きます。
余裕が出来たらSEASON2が始まるかもなのですが!
それはさておき、SEASON1ラストの推したい物はこちら
「営繕かるかや怪異譚」
です。
ちなみに私は文庫版で1/2巻を購入。3巻は書籍版は出てますが、文庫で揃えたくて文庫化待ちなので、今回は1と2を読んでのお話となります。
ちなみにコミカライズ版もありますよ。
コミック版は読んだことが無いのですが、レビューを見る限りでは好評のようですね。
さてさて、今回紹介する「営繕かるかや怪異譚」なのですが、人気作家である小野不由美先生が書かれたホラー短篇集となります。
ホラーというだけあって怖い描写もありますが、最後にはジンワリと胸が暖かくなる(そして時にはモンヤリする)お話なのであります。
あらすじ
叔母から受け継いだ家、城下町に佇む武家屋敷、古い町並みにある町屋、歴史ある神社に続く木戸…
古い建造物には歴史があり、その長さに応じた想いも宿る。それは時に霊や怪異という存在となり、己の想いや役割を伝え果たそうとする。だが生きた人にとっては、それらは恐怖の対象でしかなく、想いが通じ合う事は難しい。
そんな日々の現象に怯える人々の前に現れたのが、霊感も超能力もない「営繕 かるかや」を営む尾端という若い大工であった。
メインキャラ
・尾端
営繕(修繕)を生業としている青年。穏やかな性格で、建物等の修繕依頼を受け修理を行っている。その手法は丁寧で、他の工務店から依頼を回してもらえるくらいには評判が良いらしい。
霊感はまったく無く、見る事も話す事も、ましてや祓う事も出来ない。なので、相談を受けても完全に怪異を消す事は出来ないが、原因を追求し、どうしたら問題が解決するかを考え、リフォームを行う事で住人と「同居人」の関係が修復するよう手助けをする。
但し、想いもなくただ「そこに居る」だけの怪異には関係修復の仕様がないので、「臭いものには蓋をする」戦法を取る事もある。
ちなみに神仏関連の知識もそこそこあるらしい。
・隈田
隈田工務店の棟梁。話しやすいおじいちゃんなのか、よく作中で怪異について相談を受けている。そして、その相談相手に尾端を「そういう事に得意な奴がいるから」と紹介しているので、尾端とは懇意にしているのかもしれない。
推しポイント
やはり人気作家の書く文章なだけに、サラサラと読めるし情景を容易く思い浮かべる事が出来る。そして、ホラー世界への没入感が凄い。
各話の主人公達が遭遇している怪異を目の当たりにしているような、そんな怖さと危うさを疑似体験している気分になる。本当にもう、これは引っ越すしかないんじゃないか?と思うのだけども、紹介、あるいは偶然出会った尾端の出現でストーリーの方向性が一気に変わり、解決へと向かう。
穏やかで特殊能力のない、ただの一般人である尾端の名前が出ただけで得られる安心感と存在感…たぶん読んでもらえたら分かると思う。
さいごに
この小説を読んだ時に、ふと思い出した話があります。
とあるアパートに引っ越してきたお兄さんがおりまして、どうもそこには先住者が居たようで、日時問わず物音がしたり呻き声が聞こえたり、ついには部屋の隅に人影を見つけてしまったりしまったそうです。だけど、そのお兄さんは怖がる事なく2本ビール缶を用意して、1本は人影のあった所に、もう1本は自分で開けて「共存しようぜ!」と壁に向かって酒盛りを始めたそうです。そしてその日以降から怪奇現象がピタリと止まったんだとか…
ビールが美味しかったのか、楽しくお話出来て満足したのか、逆にお兄さんの陽キャオーラにあてられて消えちゃったのかは分かりませんが、こういった幽霊を1人の人間として扱う話が好きなので、死者の気持ちを尊重する尾端という若い大工に好感が持った、というのがこの小説を推したい理由なんだろうなぁ、と思っています。
…とはいえ、妖怪や都市伝説に出る化け物はもちろん、生きた人間ですらあまりお近付きになりたくないタイプも居ます。
十人十色と言いますし、こちらから関わりたいと思う相手でなければ、安易に好意敵意を向けない方が無難ではありますが。
最後は推し活話から脱線してしまいましたが、ヒーローらしくないヒーローの居る、怖いけどちょっとあったかい気持ちになれる(全話が、とは言わない…)怪異譚が読みたくなったら、是非読んでみて下さいね。
さてさて最初にも書きましたが、今月週1で書いてきた「オタク書店員の推し活話」ですが、今回をもちまして一旦終了とさせて頂きます。
ここまでお付き合い下さり本当にありがとうございました!
また機会がありましたらオタク書店員の萌え語りにお付き合い下さいませ~
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?