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  • 実録!モラハラサバイバー

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実録!モラハラサバイバー20

とうとう告げた  長男の受験の結果が解ったら言おうと心に決めていたのに丸二日、延び延びになっていた。そもそも会話をする事が無くなっていたし、やっぱり怖かったんだと思う。  長男の受験の結果について「俺は知らなかった」と言うのに、驚き、呆れ、一通り話した後、「私たちも、そろそろちゃんと離婚しようか」と言った。言えた!もちろん後で大どんでん返しは十八番なので、スマホはボイスレコーダーを起動した。 「離婚したいの?」 想像よりは冷静な反応に少しホッとしつつ 「夫婦として終わってる

    • 実録!モラハラサバイバー19

      恋ゲー  モラハラ被害者の自己肯定感は恐ろしく低い。低いどころか0(ゼロ)を通り越してマイナスだ。次に病気をしたら本気で死のうと思っていたり、なんなら自分が死ねば夫は「最愛の妻を失った可哀そうな夫」という立場を手に入れられる。自分が夫にしてあげられる唯一にして最高の事なんじゃないかと真剣に考えたこともある。  そこまで堕ちたカスのような自己肯定感なので、とても些細なことで少し浮上する。私にとってきっかけは『恋ゲー』だった。 私は一時期スマホの『恋ゲー』に夢中になった。『恋ゲ

      • 実録!モラハラサバイバー18

        10円はげ  私の頭は一時10円禿げだらけだった。小さなものから大きなものまで、全部で10個程、気付くと新しいところが禿げているという状態が続いていた。 ちょうどショートカットにしようとしていたが、無理無理と諦めた。  もちろん、何が直接的な原因かは解らない。むしろ「これがストレス」と解っていないから、身体に出てしまうのだと詳しい人には言われた。    恥ずかしいやら、気まずいやらで誰にも内緒にしていたが、さすがに子どもたちは気付く。「母!ここにも禿げ!」と無邪気な三男など

        • 実録!モラハラサバイバー17

          性交渉について 冒頭に述べたように私は多分セクシャルマイノリティである。と、思う。 これについては、誰かに診断をしてもらえるわけではなく、自分であれこれ調べて考えて、そう思っている訳で、血液検査をしたら数値で証明できるものでもなく、その辺りは「多分そう」としか言いようがない。  将来誰かと恋をして、めっちゃ肉欲に溺れたりしたら「違ったみたいごめんなさい」と謝るしかない。    実際、夫との性交渉を断った事も、中断させたことも、実は、ない。  3人の子を育てるのに、いっぱいい

        実録!モラハラサバイバー20

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        • 実録!モラハラサバイバー
          1本

        記事

          実録!モラハラサバイバー16

          次は死のうと思った 子宮内膜増殖症という病気に罹ったのは、三兄弟が全員小学生だった時だったと思う。 とにかく大量の経血が数か月続き、「一晩安心」が売りのナプキンでさえ一時間も持たないという日々。まさに経血を「排出」するように、トイレでは大げさでなくドボドボと音を立て血を流していた。 もちろん貧血は半端なく、酷い時は寝返りでもクラリとした。血は酸素を運ぶんだと体で知ったのもその頃だった。二階へ上がるだけで高山病の様な頭痛に見舞われる。 堪らず近所の婦人科を受診すると、即大きな

          実録!モラハラサバイバー16

          実録!モラハラサバイバー15

          鍵にまつわる  夕飯の買い物など、夫が家に居て私が出掛けると、夫は鍵をかけて出掛ける。一日中パジャマでダラダラしていても、ビデオで映画を観ている最中でも、多分大慌てで準備をして出かけるのだろう。私の鍵は玄関に掛けてあるので、鍵を持って出かけたかどうかは一目瞭然で、締め出すためにやっているとしか考えられない。だから、家人が家に居るから安心して鍵を持たずに買い物に行ってはいけない。  鍵と言えば、車の鍵を私達夫婦は1つずつ持っている。 私の鍵は玄関に掛けてあるので、たまに夫が

          実録!モラハラサバイバー15

          実録!モラハラサバイバー14

          もうお前を無視する  私の仕事机はリビングの一角にある。仕事用のPCは家族共有で、筆記用具やスマホの充電器もそこにある。充電器は私のだけど、場所が場所だけに、家族の誰が使っても、特に気にしていなかった。  が、こどもの充電器はこどもの机。夫の充電器は夫の枕元にあるため、私は机でしか充電できない。いつもいつも、その机の充電器に夫のスマホが刺さっている事が実はプチストレスではあった。 なんで自分のスマホを充電しようと思った時に、充電器に刺さっているスマホの充電具合を確かめて、引

          実録!モラハラサバイバー14

          実録!モラハラサバイバー13

          塀のこと  我が家の木の塀が壊れ始めたのは台風直撃された頃だったろうか・・・。我が家は木がふんだんに使われているので、メンテンナンスは必須なものの、1年おきのはずの塀のメンテナンスをしたのは記憶が正しければ2回。なので、ちょうど6年目頃からガタがくるのは、当然と言えば当然。  裏庭に自力で工房を建てた日曜大工の爺(私の父)も、元船大工の近所のおじさんも、「手伝ってやる」と言ってくれ、直せ直せと言われ続け。 その度に「そうですね!」「なおさなきゃ!」と感じよく応えるものの放置

          実録!モラハラサバイバー13

          実録!モラハラサバイバー12

          剣道防具事件  夫は床に物が置かれている状態を好まない。 それは、とっても正しい。床に物を放置するのは宜しくない。全く同感だ。しかし、ここにも注釈が必要なのが悲しい。「※但し、夫のカバン等、夫の私物が夫の椅子の周りに散乱しているのは除く」  自分の事は棚に上げやがって。とは、正直思う。が、自分が完璧じゃなければ文句を言ってはいけないとは思わない。だから、言っていい。  しかし、その事件は起きてしまった。三男が中学の部活で剣道を初めて半年くらい経った頃だった。  そもそも、

          実録!モラハラサバイバー12

          実録!モラハラサバイバー11

          洗い物事件  こども達が小さい時は、なんとかかんとか取り繕って楽しい家庭を演出することが可能だった。ただ、こどもが大きくなってくると、夫の言動がどうにもおかしいことに、こども達も気づき始める。  もはやフォローすることもできないやと思い知ったのはある年の暮れの事だった。  夫は自称「家事にだって協力的な夫」である。ここに私は大きな注釈「※但し環境が整えば」を加えなければならないのだが。  お休みの日は「食器洗いとかしちゃう俺」のつもりなんである。しかし、それは食後、 「家

          実録!モラハラサバイバー11

          実録!モラハラサバイバー10

          虚言癖  夫は嘘への敷居が大変低い。 夫の親戚たちは、結婚式のご祝儀を数十万包んでくれたから、新婚旅行のお土産を奮発せねばならない。 これが一発目であった。 嘘だった。 そんなのバレるに決まってるのに。素敵なお土産が買いたいなら、そう言えばいいだけなのに。そこで嘘をつく意味が私には解らなかった。 同じく新婚旅行中。 同じツアーの参加者は同年代の新婚さんが多かった。 ある晩、どこかとどこかの夫婦が町中でばったり会って、一緒に呑んだらしい。それが羨ましかったのだろう。 「今晩

          実録!モラハラサバイバー10

          実録!モラハラサバイバー9

          犯行予告?!  2015年に自衛官が、妻と5人のこどもがいる自宅に放火し、我が子4人を焼死させた事件があった。 夫は、この事件の後、しきりに 「おれ、あの旦那さんの気持ち解るんだよね~」と繰り返した。 「えーっ!?」と最初は聞き返したが、 「ん?なんか、わかるな~って思うんだよ」と意味深なニヤニヤ笑いを浮かべ返すのみで、何度も「おれ、あの旦那さんの気持ち解るんだよね~」を繰り返した。  正直、命の危険を感じた。    事件は、単身赴任中だった夫が8人のこどもと妻の暮らす家に

          実録!モラハラサバイバー9

          実録!モラハラサバイバー8

          ダブルバインド  ダブルバインドとは、日本語訳で「二重拘束」の意味。二つの違う矛盾したメッセージを相手に命令することで、相手を混乱させ強いストレスを与える。 我が家の日常は、このダブルバインドに満ちていた。    実際にあった例をひとつ。 冬休みに、小学校で凧作り教室が開催された。こうゆうイベント大好きなこども達は、もちろん申し込んで楽しみにしていた。時間は朝9時からお昼まで。例年、終わった後に校庭で凧を揚げたりするので、帰宅はお昼過ぎになる。 夫は、自分はもちろん、父母揃

          実録!モラハラサバイバー8

          実録!モラハラサバイバー7

          経済的DV  結婚から10年あまりの間、家計は夫が管理し、私は生活費だけをもらっていた。月10万円の生活費で、水光熱費以外をやりくりしていた。 こどもが乳幼児の頃は、全く問題のなかった生活費だが、3兄弟が小2、年長、年少ともなると、財政は逼迫。小学校の給食費、幼稚園の保育料×2人分、お稽古事のピアノとサッカーのお月謝を支出すると、洗剤などの雑費や食費に充てられる分が、かなり厳しくなった。 当時、こども達の服は実家の母が楽しみの一つとして、買っては届けてくれていたのだけど、靴

          実録!モラハラサバイバー7

          実録!モラハラサバイバー6

          ワンオペ育児  第一子が逆子で、切迫流産、切迫早産と常に安静が必要だったこともあり、妊娠中に仕事は辞めた。 そもそも、就職氷河期世代。私たちの一つ上の代まで就職率100%を自慢にしていた短大だったが、同級生で卒業式当日に就職が決まっていたのは1割にも満たなかった。私は、卒業研究の担当教官のような立場であった先生の設計事務所に拾ってもらえたが、その設計事務所もバブル崩壊のあおりを受けて、在籍した2年ほどの間に2回他社に吸収合併され社名が変更。とうとう、「社会保険は会社がお金を

          実録!モラハラサバイバー6

          実録!モラハラサバイバー5

          モラハラはいつ始まるのか  思い返せば、まだ彼氏彼女だったころ。 夏休みに北海道旅行に行ったことがある。カーフェリーで、彼の愛車パジェロと共に。約1週間かけて、北海道をぐるりと一周する旅だった。 付き合って間もなくはあったが、お互い結婚を意識していたこともあり、長時間一緒にいることのお試し期間の様な雰囲気もあった。  旅行はおおむね楽しかった。ただ、事ある毎に、「これ食べたら、また太っちゃうよ」「お尻大きい」「足太い」「大根足」「枝毛酷いね」「肌荒れが・・・」などの言葉を

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