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ブックカバーチャレンジ-2

〜DAY2〜
【相撲求道録/1979】

私がどっぷり相撲好きになった、きっかけの本です。

ご存知、相撲の神様として白鵬も憧れた第35代横綱双葉山定次の自伝です。
幼い頃より父親を支えて船に乗っていたことによる身体の強靭さ。5歳の時の傷で右目がほとんど見えなかったこと。船の仕事で右小指に重傷を追っていたこと。警察部長の勧めで立浪部屋に入るも最初はスリムすぎてなかなか体裁を保てなかったこと。戦時中の苦労、過酷な巡業、戦後、相撲協会理事長としての数々の改革。大正から昭和への時代を象徴する力士。

現役時代、今より場所数が少なかった当時(年2場所×11〜13日)、3年間で69連勝という偉業を成し遂げたということは今の場所数(年6場所×15日)なら一体何連勝していたんだろうというくらいの強さです。しかし私が惚れたのは圧倒的な強さの裏にあるその静かな精神力です。69連勝でストップした際に発した『荘子』からの引用「イマダモッケイタリエズ(未だ木鶏たりえず)」という双葉山の発言は有名です。立ち合いの潔さ、物事に動じない姿勢、土俵上での美しい所作。全ての秘密がこの本に自身の言葉で礼儀正しく淡々と綴られています。

「〜道」という響きには、とても孤独でストイックで甘美な響きがありますが、双葉山の生き方を知れば知るほど「求道」という言葉がしっくり当てはまるのです。

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