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こだわり?それとも執着?

最高気温 20度以上
最低でも 10度以上はある
あたたかく穏やかな日がつづく

外では、ウイルスに侵された静かな街


が、
ウチの近くでは、取り壊し工事が行われている
窓を開けなくても聞こえてくる
朝から夕方まで、地響きがするくらい
容赦なく崩れ落ちる音がする


ここは、かつて
わたしが通った幼稚園
そんなに記憶も思い出もない


幼いころ、病院にいた
側には常にお母さんがいた
座ったまま寝たり、横の空きベッドで寝てたり
なのに、わたしはぐっすり眠れずにいた
決まった時間に 就寝、検診、食事を促され、操られた人形のようで
白くてかたいベッドに慣れない枕
光で透けるカーテンがふわっと動く
その隙間の向こうを見るのが楽しみだった

途中から入園することになったわたしは
みんなの半分くらいの時間を過ごすことになる
段差が低い階段をとぼとぼ登って、踊り場で立ち竦み、堪え切れずに泣く…
場に慣れるまで、しばらくそうだったのは覚えている

あと、覚えているのは

お泊まり会でカレーを作ったこと
すぐそこにある公園で、お化け屋敷を作ってまわったこと
それが怖かったかといえば、外が暗くて怖いというか早く帰りたい方が強かった
もこペンが流行ってた
鉄棒やボール、竹馬、かけっこ、みんながやるのをただ見てた
お昼寝の時間は、そこでは横になりたくなくて、我慢して寝たふりをしていた
運動会は、太鼓を叩いた
お誕生日会の後、園長室で記念写真撮ってもらった
馬に乗った

妹ができた
その頃、ちょうど、台風シーズンで
雨風と雷がすごくて、寝ていてもカーテンからピカっと光る光とドシャンっと遅れてくる音が奇妙で
「死んじゃうの?」「死んだらどうなるの?」
って怯えてた

断片的でつなげようにもできない記憶ばかり


帰るころ
その日の工事は終わっていて、様子を見にいった

踏み入れるとガタガタなる鉄の足場
道沿いから中が見えないよう囲い込まれた幕の隙間を見つけた
カバンを持ち替えて、覗く

動物が描かれたフェンスは、目をひくかわいさも跡形さえもない
見えなかった鉄骨の棒は、むき出され、そびえる姿がたくましく
歪に折り曲がる棒がは、奇妙にところどころ散在している
何度か色鮮やかに塗り替えられ、改装もされていたコンクリートは、砕け散り
誰も立ち入ることのできない 無残な砂場になっていた
一面、地面を覆う
はいいろのカケラ



外は、穏やかな春の中

わたしだけ ない ようだった
また、無、、

自分のことはわかってる、そんなに丈夫ではない
すぐからだに出てしまう、だから、家に居ざるおえない
だけど、電話もできない、外は居られない、好きな場所も歩いていけるお店も閉まってる
大事なものがあっても、どんなに心配でも、あの場所には、もう行けない、立ち入ることも許されない
音楽流していても、かき消される
本を開いても、読む気になれない
食もつまめる物だけ進み、食事は進まないし、食べた気にならない
テレビも、香りも、映画も、写真も、動画も
なんとも言えない
心どこにもない
つまらない
癒えない
不安もドキドキもワクワクもない
作業も進まず作品も言葉も何も産めない、わたしには何も ない ような
わたしの過去が砕け散っていく最中だった

つながることもできないくらい断片的な記憶しかないくせに



次の日も、あたたかい

光を知らせる鳥の声
風にスカウトされていくたんぽぽ
色鉛筆で塗れる色いろがころんと立つチューリップ
桜を継ぐようなかわいいピンクのハナミズキ
気まぐれにお辞儀するきみどりいろの影
深緑を蹴るように力強く飛び立つ羽の音

そして、現実に引き戻される

繰り返し

くりかえし、、



>> パリンッ❗️<<


ヤな音がなった

高い音で、なんとなくわかった、何が割れたか
( 見たくない )
( 泣きたい )
( どうか無事であって… )
つま足がむいた先にある、紙に包まれた落し物
その中には、一目惚れしたお気に入りのお皿がある

割れを確認するようにシワシワの紙を指でなでながら、とじたそれをあけていく
手の中で包まれながら、シャリシャリと擦れ、崩れ落ちる
きいろのカケラ

( やっぱり、、)

買い物に出かける時間
とりあえず、カバンの中に入れた
捨てようと思った
もう捨ててしまおうって思いながら、これ以上粉々にならないようにって丁寧にしまう



結局、捨てることができなかった
崩れ落ちた きいろのカケラ
買い物の袋を両手に持ち、肩にかけたわたしのカバンの中で、今もシワシワの紙に包まれている
まだなんとかつなげられる カケラ だと思いたかった

その帰りに覗き見た
崩れ落ちた はいいろのカケラ
住宅街にある唯一の幼稚園のはずが
それでも、現代社会で起こっている問題、ということなのか
こんなにも身近で、残酷さを痛感するなんて
思ってもみなかった
もう元には戻らない、つながることもない カケラ だ ってわかった

重たい荷物を持っているのに、その感覚さえない
わたしの中で、何が崩れ落ちる感覚だけはあった

暗闇に、電灯が カケラ をうつす
明るくて、見え過ぎるのを避けるように
暗い中でも見える カケラ をボーッと眺めてた

わたし、何に執着してるんだろう

ふと、過った後
震える片手を「一枚だけ、お願い!」っと気力だけで撮って、帰ったのだ



翌朝、目が覚めると
この日もカーテンの向こうは、もうあたたかい


外に出て、散歩する
ほぼ無意識的に、また囲い込まれた幕の隙間に行った
この日は身一つで、覗く

そこには、新しく建てられていた
知的で爽やかな 青とみずいろとさくらいろ
まだ途中なのか、見えたのがそこだけだったのか、だけど、確かに建っていた

思い出の、お泊まり会でのお化け屋敷でまわった すぐそこの公園もある
当時のように、フェンスもなく、高い草木に囲まれて、土と木でできた道でつながっていた

進んでいる先は
明るい きみどりいろと、深緑のいろ
差す光に、影が揺れる
足取りは、自然と軽やか


という
ふしぎな夢をみた

わたし、何に執着してるんだろう?

特別強く残った思い出もない
つながることもない断片的な記憶しかないくせに

先生にありがとう言えなかった、って
帰ってきて挨拶に行けなかった、って
今は顔向けできそうにない成長していない自分を理由に、後悔してるから?
結局は、いい顔したいのか、人目を気にして、言いたい感謝も言えなかったから?

三月の卒園式、大々的に流れてくる、ありがとうとさようならのうた
こんな時に、少しの時間だけでもできて良かったと思っていた
それが思いのほか、長くて、うるさいと思っていたから?

情けない、、
だけど、みた夢も、目覚めてからも、全然ヤな感じはしない
だから、ふしぎ


見に行くと
前日と同じ、通る一瞬でわかった

( やっぱり、、)

建物だけじゃない
街や時代、革命も、考えやアイデアも、自分自身も、細胞も、森羅万象、全て!
破壊と創造を繰り返すことで、現存する
わかっていた
そんなことは、わかってた
自身のブランドにもテーマにしたくらいだから
…わかってた、はずだった

わたし、何をそんなにこだわってるんだろ?

教えてくれたのかな
もう必要ないって
なくても進めるようにって
新しい何かに出会うよって
いつまでもあると、当たり前と、思うなって

当たり前にあったものが
まだ ある ことの甘えだと知らしめるように、容赦なく 崩れ落ちた
いつしか、忘れられて、あったことも、ないかのように扱われる
悲しいけど
もう形成されることのない過去…



新しい時になるまで
未来のわたしになるまで
あと、何が崩れ落ちるんだろう

大事な こだわり?
それとも
ただの 執着?

なにやら、見えないところで、深刻で重大な何かが動いてるような、運命的な 断捨離 が行われているような 気がしてる
全ておいて、付き合いが変わっていく、のかもしれない

地球上において、人間界が地球を支配するように自然を利用し発展し続けてきた
だけど、
自然界が、どれほど偉大なのか、自然よって生かされていることを知らしめているような
地球、宇宙、創造の神の 断捨離、整理整頓、逆襲が、行われてる気がする
ここ何年かは、災害が多く、酷くもなってきている
ここ数日は、小規模な地震が 頻繁に起こっている
もしかしたら、戦争時代とはまた違う、生命や時代の変化の歴史に近い時代なのかもしれない



2ヶ月前は
正しく恐れ対策していたらいいだろう、と
不謹慎ながら、新しい時代が来るような良いドキドキがあった

基本的には
離れていくものにそこまで関心しない
離れていこうが、嫌われようが、別にいい
取り繕いが続く関係は望まないから、素でいるけど、わたしから切ったり裏切ることはしない
その方が、よっぽど健全でいられると気づいた
なくなろうが、失おうが、盗られようが、
かけた お金も、モノ・コトも、時間も、諦めてるところもある
もうそこから返ってこなくてもいい、大事なものさえあればそれでいい、って

でも、今はただ
新しい時代がくるのを焦らされているようで
無心の最中でも、ちょっとでも気がゆるみ油断すると、不安のドキドキに傾く時が多い
正直、こわくて仕方ない



「メグはこだわりを捨てていくといいよ」

数年前、メイクを教えてもらっている恩師から言われた言葉
( え?わたしがこだわってることってなに?)
全然、ピンとこなかった
( むしろ、こだわりってカッコいいものじゃないの?)
そういう顔していたのを、きっと見られていた

こだわりを捨てる

こだわりと執着のちがいって何?
今でも、いまいち分かっていない

大事なものを手放さなくちゃいけなくなった時
潔く、快く、なんてできないよ
だって、大事なんだもん

って、これが執着か、、


それでも、夢の中では、もう再建築されていた
大事なものを守るため、かな
まだ見(え)ぬ、本当に大事なもの
受け入れていくことで成長できるよね、きっと

後悔しないように、伝えていこうかな
なんてことない
ありがとう、とか
ごめんなさい、も
ごちそうさま、おはよう、おかえり、おやすみ

気持ちよく、別れられるように、迎えられるように



まずは、、
はいいろのカケラ と きいろのカケラ に、伝えてみようかな


泣かないで

…いや、泣いてもいいよ




ありがとうさようなら


そして、またここから旅立つの

次の時代に









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