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SSTCによるスワローズ投手陣のスタッツ変化

はじめに

スワローズ全日程が終了し、一気に冷え込んできましたね。
こんにちは、暁めぐりです。
本noteでは今話題の「SSTC」、韓国の動作解析専門の人たちが、スワローズ投手陣にどのような影響を与えたかについてみていきます。
SSTCの方々は2023年の8月13日から3日間来日していたようで、多くの選手が参加しています。今回は、その中でその前後に一軍登板のあった星知弥投手、高梨裕稔投手、丸山翔大投手(以下敬称略)について詳細なスタッツの変化を見ていきます。
要因としてどこまでSSTCによるものか判断するのは難しいです。が、SSTCに参加した3投手が後半戦にどのような変化を見せたのか、楽しんでいただければ幸いです。

※データはすべて一軍でのものを使用しています
※長いです
※記事になにかありましたらこちらまで。
暁めぐり@燕党新人Vtuber(@Meguri_Akatsuki)さん / X (twitter.com)


1.高梨裕稔

高梨の場合は、5/17日に一軍登録抹消、SSTCを経て8月後半に再登録され、9月には中継ぎで8試合に登板しています。
ここでは前半戦(~7/3)と9、10月のスタッツを比較します。
(8月2試合を入れてもそんなに変わりません)

各球種スタッツ

高梨裕稔 前半戦スタッツ(先発)

5/26まで先発5試合で記録した平均スタッツです。ストレートは最速146キロ、平均143キロで空振り率は5%。
スワローズ投手陣の平均値が、直球の平均球速で145キロ、空振り率6%なのでどちらも平均以下でした。
結果打球(フェアゾーン付近に打球が飛ぶ)率は23%。こちらは平均の19%より高い数値になっています。
では9月以降のスタッツを見てみます。

高梨裕稔 9、10月スタッツ(中継ぎ)

こちらが9月以降のスタッツ。
まずストレートに関して、平均球速が143→147キロにアップし、最速も150キロを計測。空振り率に至っては5%→12%と一気に優秀な数値に。
結果打球率も23%→14%になり、前に飛ばない直球になっています。
フォークに関しては18%→14%と空振り率は減少していますが、平均球速は4キロ増加していました。
特にストレートに関して、大幅なスタッツ向上が見られます。

球種別被打率

高梨裕稔 球種別打率(左:前半戦/右:9、10月)

投手目線の画像です。まあ見ての通りですね。
特にストレートは後半戦102球投げてわずか1安打。すごい。
フォークに関しても被打率は低下していますが、来季含めてもう少し見守りたいですね。
画像にはしませんでしたが、対左被打率は.388→.130まで大幅に改善しています。

結果

高梨裕稔 結果比較

高梨に関しては結果記録も目に見えて良化しています。奪三振率の上昇と四球の減少はストレートのスタッツ向上と連動しているようには見えますね。もちろん1ヶ月ちょっとの成績で、単純比較はできませんが、終盤の高梨は素晴らしかったです。

小結論

高梨、めっちゃよくなってます。が一応の結論になるでしょう。
が、後の2人にも言えることですが、あくまでSSTC前後の成績を比較しただけであり、要因としてどこまで寄与しているかは未知数です。
特に高梨の場合には先発からショートイニングに役割が変わっており、それによるスタッツの向上が十分に考えられます。
どちらも要因になっているというのが現時点での自分の見方ですかね。
ところで、小澤怜史の起用法がよく話題になりますが、高梨がそのまま小澤の中継ぎとしての役割をできているようにも見えます。2人とも今の役割で結果出てますし。
スタッツ的には勝ちパを目指せる感じにも見え、終盤の使われ方的にも来季はリリーフ起用だと思うので、いまから楽しみにしています。

2.星知弥

星に関しては、細かく抹消されながら一軍登板を重ね、8/3に再登録されて以来シーズン終了まで一軍で投げぬきました。
よって一軍登録中、しかも8/13に一軍登板した後、(おそらく)8/14にSSTCに参加して翌日には再び一軍で登板しています。
参考程度ですが、8/13の登板では1回もたず3安打1失点降板
→SSTC後8/15から12試合連続無失点を記録しています。
ここでも同じように前半戦と9月以降を比較します。一応8月中のSSTC前後の記録もありますが、件数少なくて面白くないので記事内で参考にする程度に留めます。

各球種スタッツ

星知弥 前半戦スタッツ

7/6に抹消されるまでのスタッツです。
ストレートの平均球速151キロはこの時点で木澤のシュートと並んでチームトップ、空振り率13%は断トツのチーム1位です。
ただし、8/1~13までのスタッツを見ると空振り率4.65%と、かなり低下していました。
+αとして直球のファウル18%、結果打球率16%はおさえておきたい。
では9月を。

星知弥 9、10月スタッツ

…あれ?ストレートの平均球速は150キロで、-1キロとほぼかわらず、空振り率は7%。8月前半の4.65%より改善されているものの前半戦までは戻らず。フォークを見ると空振り率が18%→13%と減少しています。
特筆すべきはストレートのファウル/結果打球率。
ファウル率が18%→29%と激増、逆に結果打球率が16%→9%に減少しています。フォークに関しても解釈が難しいですが、同じような傾向ですね。
そして、それらが反映された球種別被打率がこちらです。

球種別被打率

星知弥 球種別打率(左:前半戦/右:9、10月)

直球の被打率が大きく改善しています。空振り率13%で被打率.300という尖ったストレートが打たれないボールに。空振り率の落ちているフォークも被打率的には改善。
これに関連して、アウトに占めるゴロアウトの割合が激減しています。このあたりも含めて考えるべきかなと。
割合の減ってるスライダーに関しては要検討ですかね。
8月前半/後半の比較では直球被打率.500→.250と参考値ですがこちらも改善を見せていました。

結果

星知弥 結果比較

星も結果を比較すれば基本一目瞭然ですね。四球が少し多かったことでK/BBは悪化していますが、それ以外はセットアッパーとして文句なしの成績。
星は昨シーズンのオフにもSSTCに行っているので、去年と比較しても面白いです。
8月の奪三振率は6点台と急落しており、そこからブーストをかけたのはすごいなと。逆に、教えを受ければそのまま球速が上がるわけではなく(当たり前)、適切なフォームで投げる星のいいストレートの球速はこのくらい、と言えるのかなと。去年比で平均5キロの球速アップもとんでもないですが。

小結論

高梨と同じく、良くなっているという結論は変わらないと思います。
が、ストレートとフォークに関しては「よくなり方」に検討の余地がありそうです。
単純なスタッツアップではないので難しいですが、直球に関して言うと前に飛ばないストレートにはなっていそう。ここからはデータがないので推測になりますが、クリーンヒットになりそうなハードヒットのゴロ打球が減少した…のかもしれません。
いずれにせよ、来季は間違いなく勝ちパに入ると思うので期待してます。

3.丸山翔大

丸山に関しては4月後半の一軍登録以後、7/31に一度抹消され9/3に再登録されています。
よって、7/3までの前半戦、7月月間(初登板7/6なので被りなし)、9~10月に分けてみていきます。
ソフトウェアの仕様上、月ごとまでしか区切れないので許してください…

各球種スタッツ

丸山翔大 スタッツ(左:前半戦 右:7月)

画像見にくくて申し訳ないです…
ストレートの平均球速はどちらも146キロ。スワローズ平均+1キロといったところ。空振り率は前半戦7%/7月3%なので、スワローズ平均の6%と比べても平均くらい。
特徴であるカーブの空振り率は4%、8%でストライク率は5割ちょっと。
決め球のフォークの空振り率は15%、0%で計算すると13%ちょい。
なによりもストレートが半分以上を占める球種配分を押さえておきたい
→画像左上の球種内訳の部分。その上で9月以降のスタッツを。

丸山翔大 スタッツ(9、10月)

※3試合4イニングのスタッツなのでまあ…
ストレートの平均は145キロでほぼ変わらず。空振り率も4%と7月よりは改善されていますが、前半戦までは戻らず。ファウル/結果打球率もほぼ変化はありません。
さて、前述した球種配分の件ですが、大きな変化があります。
投球の過半数を占めていたストレートの割合が38%と大幅に減少し、スライダーを中心に変化球主体の投球に変わっています。
ここからは投球数自体が少ないことを把握したうえでデータを並べますが、カーブのストライク率の向上、空振り率の増加/フォークの空振り率の増加が読み取れます。
丸山はフェニックスリーグ参加が決まっているので引き続き追っていきたいですね。

球種別被打率

丸山翔大 球種別打率(左上:前半戦/左下:7月/右:9、10月)

こちらも9月以降のサンプルは少ないです。
ストレートに関しては7月にかなり打ち込まれたのが、9月の再昇格以降にはヒット0。フォークは元々被打率が低く、サンプルがかなり少ないので本当に参考程度。

結果

丸山翔大 結果比較

結果をみると、かなり持ち直しているのがわかりますね。残念ながらDeNA宮﨑選手にフォークを捉えられた1本のホームランによる1失点のあと抹消されてしまいましたが、そのまま一軍にいればもっと成績を残せたかなと。

小結論

ストレートに関しては変化が見られなかったものの、変化球スタッツの向上で終盤に結果を出してきたという感じですね。
ひとつ気になるのがスライダー。ファームでの様子を詳しく知りませんが、このボールを増やしたのは何か意図があると思います。
前の2人でかなりストレートに比重を置いて話しましたが、あくまでも「動作解析」の結果なので球種にかかわらず動作として改善されるはずです。
個人的には、カーブよくなったな、って思いながら見てました。

結論

数字に出ているところ、そしてその程度は違えど3投手ともスタッツの向上と成績の改善が見られます。
度々言う通り、どこまでがSSTCの効果かはわかりません。が、程度の違いはあれど間違いなく効果は出ていそうです。
加えて言えば、ファーム(星の場合は一軍にいたままですが。)が、「若手の育成」だけでなく「調子の落ちた選手を戻して上に送り返す」という機能をやっとこさ果たせるようになるかな、とも思いました。
ファームのほうでもSSTC前後で防御率の改善がみられるようなので、来季を楽しみにしたいと思います。

おわりに(次回予告)

4,000字超の長文にお付き合いいただき、ありがとうございました。
感想とすれば「まさかここまでとはな」(CV:池田秀一さん)という感じでしょうか。春に向けて楽しみが増えました。
本アカウントでは今後も様々なデータやその分析記事を公開しますので、
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次回のnoteは「神宮球場死球パークファクター」もしくは「内山壮真の9月~覚醒の予兆~」になると思います。
内容はほぼ決まっていて、かなりびっくりな内容になるとおもいます。

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スワローズ成分の足りないこの季節ですが、燕党の皆様と楽しんでいけたらいいな、という思いで結びたいと思います。

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