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#映画感想文274『エリザベート 1878』(2022)

映画『エリザベート 1878(原題:Corsage)』(2022)を映画館で観てきた。

監督・脚本はマリー・クロイツァー、主演はビッキー・クリープス。

2022年製作、114分、オーストリア・ルクセンブルク・ドイツ・フランス合作。

19世紀末のハプスブルク家、オーストリアの皇妃エリザベートが40歳になってからの日々が描かれる。平民の女性たちの寿命が40歳だった時代なので、美貌と生きる意味を求めていた彼女は相当に贅沢な悩みを抱えていたと言える。

こういうヨーロッパの王室の物語をありがたがって観てきたが、自分にとって必要な映画かな、と鑑賞しながら考えてしまった。

コルセットで極端な腰の細さをキープして、豪勢な食事が出されたところで、手を付けず、節制をする生活は大変だ。自由のない暮らし、抑圧されている女性であることには同情する。

しかし、今のわたしは、ヨーロッパの女王の苦悩に共感できないし、共感する必要もなかったりする。あまりにも遠い。

頭のいい息子の包容力、冷徹な娘の視線などは身につまされるが、それにもあまり切実さが感じられない。

冒頭の「人は他者を愛するのではなく、その他者から得られるものを愛するだけ。そして、そのままの自分を愛してくれる人を好きになるだけ」という身も蓋もないモノローグ部分はすごかった。


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