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承認欲求をお金に変える「WEAR」の賢すぎる経営戦略について

「WEAR」とは

WEARとは、ファッションスナップを誰でも投稿できるZOZO系列のSNSである。スナップを投稿するユーザー層は未就学児から隠居分までと幅広く存在しているが、人気な投稿の殆どが20代ユーザーの投稿であるところから若者向けのSNSと言えよう。
これは偏見だが、基本的にターゲット層は「頭が悪く承認欲求の強い学生」に設定されていると見て間違いがないだろう。当SNSは「頭の悪い学生達の承認欲求」をそのままお金に変換することができる画期的なSNSと考えられる。
ちなみに私の定義としては、WEARは「ファッションファッションSNS」としている。

WEARはこの世の地獄である

私自身、過去には「WEAR」のユーザーであった。
私が使用上感じたUIや昇格システムの卑しさについて、地獄たる所以を列挙しよう。
①「いいね」に価値がない
②人気ユーザー達の違いがわからない
③そもそもファッション業界とは別の時空に存在している

以上3点が主な理由となる。
先に結論を述べておくと、このような地獄が形成されるに至った原因は、
ユーザーの頭が悪い上にZOZOの経営戦略が巧すぎたからだ。
では、各項目について纏めていこう。

①「いいね」に価値がない

①ー①ファッションを見ることが目的のユーザーはいないのではないか?

のっけからツッコミどころ満載だが、私が先ほどWEARについての説明をした際に、スナップを投稿するSNSという表現を使用したことを覚えているだろうか。その説明に嘘や偏見は一切絡んでいない。
ファッションを見るSNSでファッションを目的に見るユーザーが少ないとは、一体どういった原理なのか。それは、WEARISTAの存在が大きく関与しているからだと考えられる。ひとまず以下の引用文を紹介しよう。

「WEARISTA」とは、センスの高いスタイリングやトレンドを取り入れた着こなしで多くの方のお手本となり、ファッション業界を盛り上げるインフルエンサーとしてご活動いただいているWEAR公認のファッショニスタです。

"WEARISTA"について(参考文献参照)

WEARISTA認定のちスポンサーシップ制度」へ加入いただくと、素敵な投稿を続けていただくためのサポートとして、投稿実績に応じてZOZOTOWNでご利用可能なポイントを進呈いたします。

※年間最大180万円分(2022年4月時点)

"WEARISTA"をめざして、ファッション界で活躍しよう🏅(参考文献参照)

以上2項の引用文を読めばWEARISTAについて大凡のポイントは掴めることと思う。WEAR内で人気になり運営の選考を通ったユーザーがWEARISTAになるのだ。服を着た写真を投稿するだけという敷居の低さで、年間180万円の可処分所得を得られるチャンスが与えられるのだ。
23年7月8日現在で661人のWEARISTAが存在するようだ。
年間180万円をこれだけの人数に配った上で黒字とは、やはりZOZOは恐ろしい。

本題に戻るが、このSNSのメインターゲットは学生である。学生といえば、月3万円程度の金欲しさにバイトで汗水流し、人生のビッグチャンスもお流ししてしまう盲目な集団である。時に、現在の学生にとって、何らかの派閥の一員であるためにはインスタグラムの存在は必須と言っても過言がないだろう。普段から写真を撮り、インターネットに放流している彼らからすると、「写真を投稿するだけで」年間180万円がもらえる可能性があると知った時の渇望は、無視できるほどのものではないだろう。人間という社会的な生物には、多かれ少なかれ「人並み以上効果」が備わっている。特に、多感であり、社会に出たことのない井の中の学生たちにとっては「コスパ」のよい仕事だと感じられるのではないだろうか。
つまり、WEARISTAになろうと時間を費消してしまう頭の悪い学生の温床となっているのがWEARの現状だ。

では、頭の悪い学生はWEARISTAになるためにどのような努力をしているのだろうか?
彼らの頭が悪い所以として、「物事を自分で考えない」という特徴が挙げられる。
つまりインターネットで「WEARISTA なり方」とでも検索すれば、簡単に彼らの取り組み内容がわかるのだ。
軽く調べた内容を以下に記す。

次が、ひたすらほかのユーザーの投稿にいいねすることです。
(中略)
なぜなら、いいねをすればその分、そのユーザーからいいねを返してくれることと、自分の投稿を見てくれる可能性が増えるためです。
(中略)
これは、フォロワーが多い方はほぼしていると思います。

【WEARISTAへの近道】WEARでフォロワーを増やす方法!(参考文献参照)

これは一番重要になります。

とにかくひたすらハートをつけにいきましょう!!
(中略)
理由としては、ハートをつけることにより相手からもハートもらえる可能性と、自分のコーディネートを見てもらえる可能性がダントツに増えるからです。
(中略)
ハートを多くもらえることができたら、ランキングに載る可能性が大幅上がるんです。

WEARISTAになるには??WEARのフォロワーの増やし方をフォロワ−5000人越えだった僕が教えます!(参考文献参照)

これを見ればこの項の中核が一目で理解できるだろう。
WEARには通知欄があり、自分のスナップが別のユーザーからアクションを受けると通知が飛んでくるのだ。
通知画面は以下の画像のようになっている。


実際の私の通知欄である。色がパキパキなのは時短のためだ。

通知欄はこのようになっており、アクションをしたユーザーをタップすると、そのユーザーのホームページに飛ばされるという仕様がある。
それを使って自分の存在をアピールするという作戦なのだ。
恋愛でいうところの「単純接触効果」と似たものを感じる。
つまり、やっていることは「とりあえず相手の視界に入り続ける」だけであり、手法が下等生物から進化できていないままだ。
余談だが、下から4つは同一ユーザーである。

「①「いいね」に価値がない」のまとめ

長々と書いてしまったが、以上の情報から
「いいね」を押すユーザーの中には、心から「いいね」とは思っていないユーザーが存在する
ということが判るだろう。
このことから、例え本心からの「いいね」を贈られたとしても、受け手からすると同じ「いいね」であるため、嬉しさなど微塵も湧くことはないのだ。
以上が、「いいね」に価値がないと断じる理由である。

②人気ユーザー達の違いがわからない

②ー①もはやWEARの「制服」と言えよう

これは実際にインターネットで検索をしてほしい。
以下がリンクとなっている。

WEARのホーム画面には、リアルタイムで人気な投稿が表示される。
軽くスライドするだけで、優に30件ほどの投稿を確認できるが、
どれも同じである。例えば夏前の7月である現在では、

・ダボダボのTシャツ
・太いパンツ(フルレングスかショーツ)
・黒か白のサンダルまたはカラフルなデカいスニーカー

と言った服装がほとんどで、柄やアクセサリが違うくらいで殆ど違いがわからないのである。顔を出しているユーザーはこれにベースボールキャップを加えたスナップが多く見受けられる。

「②人気ユーザー達の違いがわからない」のまとめ

以上が、人気ユーザー達の違いがわからない理由である。
こればかりは実際にSNSを確認していただきたい。

③そもそもファッション業界とは別の時空に存在している

③ー①偽りのファッション特化SNS

時に、ファッション業界は時勢に大きく影響を受ける業界である。業界には「トレンド」が存在し、過去に時代を創ったブランドの服が今では誰にも着られていないなど当たり前の業界なのだ。
では、ファッション特化SNSであるWEARのトレンドは流動的なのだろうか?私は流動的ではないと考える。
WEARはSNSであるため、当然過去の投稿を確認することができる。そこで、某WEARISTAの2019年から2023年現在までの投稿を見てみると、4年間に起きた変化がわからないのである。恐らく4年前の投稿と全く同じ投稿をしたとしても、古いと言われるどころか気が付く人間など殆どいないだろう。後述するが、WEAR界隈とファッション業界では、全く別の時間が流れているのだ。
つまり、WEARはファッション業界から逸脱した存在と言える。

では、いったいなぜそのような事態に陥っているのだろうか?
その原因として、「トレンドタグ」の存在が大きく関わっていると私は考える。
ユーザーがスナップを投稿する際に、着用しているアイテムやテーマに沿って10個ほどのトレンドタグをつけることができる。Tシャツを着ているのなら、「#Tシャツ」というタグをつけると言った容量だ。タグをつけることによりスナップの検索システムにヒットしやすくなるため、多くのタグをつけることで多くのユーザーの視界に入ることができるのである。
このトレンドタグというものはZOZO史上最大の発明だと私は感じている。それについては後述しよう。

本題に戻るが、WEARがトレンドタグを使用した企画として「カレンダータグ」というものが存在する。以下に添付されている画像を見れば、一目でどのような企画かを理解できることと思う。

カレンダータグの一覧表

このカレンダーを制定しているのは、当然WEARの運営であり、WEARの運営の独断でトレンドが操作されるという状態なのだ。
そして、カレンダータグを含む投稿の中で人気のものがWEARのホームページに大々的に表示されるのである。

WEARを開いただけの状態

この画像はWEARを開いただけの状態をスクリーンショットしたものである。先ほどの①項に登場した通り、頭の悪いユーザーが一番気にしているのは「単純接触効果」である。もはや説明は不要だろう。

「③そもそもファッション業界とは別の時空に存在している」のまとめ

以上より、ファッションの情報の仕入れ先がWEAR以外にないユーザーは、WEAR内のトレンドが世界のトレンドだと信じて疑わず、WEAR内の時空で生き続けることになるのだ。
以上がWEARがそもそもファッション業界とは別の時空に存在していると断じる理由だ。

「WEARはこの世の地獄である」のまとめ

以上①から③まで記述した内容をご覧いただいたのなら、「WEARは地獄だな」と感じて頂けたのではないだろうか。最後に、WEARのUIを見るだけでわかるZOZOの経営戦略の巧さについて記述する。

余談:ZOZOの巧すぎる経営戦略と頭の悪すぎる学生達

私は本noteの最初に、「ターゲット層は「頭が悪く承認欲求の強い学生」に設定されていると見て間違いがないだろう。」と述べている。
その理由としてはZOZOの在庫管理をWEARで調整できることにある。
先ほどの③項にて登場したカレンダータグ。これだけでもかなりの発明だが、
私が特に賢いと感じた点として、
1ヶ月後までのカレンダータグを事前に確認できる
という点を挙げさせてもらう。
この機能がどれだけの効力を発揮するのか。頭を悪くして考えるとしよう。

①「カレンダータグ」で人気になれば全ユーザーに見てもらえるやん!
②明日の「#Tシャツ」明後日の「#白パンツ」明々後日の「オープンカラーシャツ」なら、シャツの前を開ければ全部写真に収められる!
③待てよ?その次の「#ショルダーバッグ」なんて俺持ってねぇぞ。
④まぁ、あっても損はないしZOZOで買えばいっか

といった流れになるのではないだろうか。
ここでの1番のポイントは、④のZOZOで買うという結論ではない。
②のシャツの前を開けTシャツを晒すことで、タグを重ね着することができるという事実を「頭の悪い学生が思いつく」という点にある。
裏技というものは、裏だと思われているうちは多用されるのだ。
なぜなら裏技を扱える程度には熟れの感があり、実態とは裏腹に賢そうに見えるからだ。
とまぁ、当然このようなシステムを考えつく運営が想定をしていない筈がない。
タグを重ね着することにより、頭の悪い学生自らが「足りないタグ」を購入しようとするように仕向けているのだ。
なんと賢いのだろうか。

それに、もしやと思い探してみたらこんな事実まで発見することができた。

ナイキ製品「エアリフト」のタグ

このタグは、23年6月8日のエアリフトという恐らくナイキ製品専用のタグである(私の検索能力では商標登録を確認できなかったが、恐らく商標を取っている)
③ー①で述べたように、WEARのトレンドを操作できるのはWEAR(ZOZO)なのだ。
事実としてWEAR(ZOZO)にNIKEがスポンサー料を支払っているというデータはないため眉唾ものだが、もしスポンサー料が絡んでいるのならば、ただのSNSの企画内のタグを1日分変更するだけでかなりの額のスポンサー料が入ることになり、更に加えるとNIKEとしてもタグ一つで売れ行きが伸びるため、両者がとってもおいしいという事になる。
タグで売れ行きを操作できるとなると、当然在庫管理に使うという考えに至るだろう。
ZOZOTOWN内の商品には
「ジャケット/アウター」→「テーラードジャケット」など選択した上でさらに色・着丈・柄など細分化された「タグ」が付いているのだ。
当然在庫を抱えるのはZOZOTOWNではない。銀行と同じで手数料を掠め取っているだけなのだ。ここまで来ると、自ずと答えは導かれることだろう。

追記:WEARISTAの末路について

WEARISTAの中でも人気で、自分が人気者だと勘違いしてしまった奴らの末路として、「WEARISTAブランドを構える」という現象がある。
インフルエンサーが人気な理由が「みんなが見てるから」であることを知らないWEARISTAにとっては「自分」に価値があると判断してしまう。そんな状態で「WEARISTAブランドをZOZOで立ち上げませんか?」という誘いが来るのだ。実際にはZOZOに出店するために会社を立ち上げる事になるわけだが、WEARISTAの気持ちになって考えると、
モラトリアム引き伸すためだけにとりあえずF欄大学入って将来不安だったけど、人気者になれたし在学中に起業した「若社長」だし、人生楽勝だわ
と言った感じだろうか。
彼らが作った服を、ZOZOTOWNで販売し、彼らが広告費0で自らWEARで宣伝することで、ZOZOは販売手数料を大量に確保できるのだ。
それに、もし彼らの服が売れなかったとしても困るのは彼らの会社である。

ZOZOとしては打ち出の小槌だし、WEARISTAは承認欲求を満たせるのだ。
割を食う者が存在しない、夢のビジネスである。
海外ブランドのルックを一度も見たことがないようなファッション初心者が、多くを知る前にWEARに閉じ込めることでWEARがあり、WEARISTAが存在できている。そのため、WEARISTAブランドの服は軒並み海外ブランドの劣化コピーのようになっている。しかし、WEARが最先端ファッションだと認識している人間にとってはかっこいい服が安く手に入る訳だから、ここでも割を食うものが存在しないのである。

さいごに

「余談」項で挙げた事柄の他にも、ZOZOで購入した服は自動でWEARの「クローゼット」に入る事や、タグをつける際にそのタグのついた投稿の数が見えるなど、ZOZOとWEARで世界が完結するような仕組みが多数施されている
この賢すぎる発明品を活用することで、際限なく湧き続ける「頭の悪い学生達の承認欲求」をお金に変換することを可能としている事実がある。
私はこの仕組みを考案した前澤元ZOZO社長およびWEARチームの手腕を絶賛すると同時に尊敬している。

最後に元ZOZO社長の前澤氏が2013年に「fashionsnap」誌のインタビューで語ったWEARの構想を引用して、本noteの締め括りをさせて頂く。

ファッションをもっと楽しむ人を増やして、そういう人たちがつながる場を提供したいという思いから「WEAR」を始めました。メインテーマは「Wear For Connection」です。コーディネートを投稿すると、世界中の人たちが「君の着こなしはいいね」と言ってくれる。そんな、たった1つの服を通じた色々な「つながり」を想定したサービスになっています。

【インタビュー】スタートトゥデイ前澤代表に聞く「WEAR」の狙いと海外進出(参考文献参照)

参考文献

①「いいね」に価値がない

余談:ZOZOの巧すぎる経営戦略と頭の悪すぎる学生達

使用しなかったデータ


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