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【 】爆音で感じる生

 鼓膜に響き下腹部に突き刺さる重低音。浴びるのは約一月ぶりだったか。
 このバンドのライブに参戦したのは約三年振り。メンバーがひとり脱退してからは、どことなく切なくて遠ざけていたものだった。

 演奏が始まり、待っていたのは「おかえり」とでも言わんばかりの激しい轟音とパフォーマンス。ホーム、って感じがとってもした。

 特にツアーのテーマとなるアルバムのひとつは俺が初めてレンタルショップで借りたもので、何度も何度も聴き込んできた。初めて生演奏を見られた曲も多く、笑って、泣いて、暴れた。

 爆音に乗せて届けられる叙情的な歌詞。歌詞の世界観が繋がる曲。飛んで、跳ねて、頭振ってと大暴れさせてくれたかと思えば、息をする事すら忘れてしまう程重厚な世界に引っ張り込まれる。

 未だに「死」からの手招きは続いている。目を閉じると、自分の腹部を二本の長い包丁で十字斬りにしてしまえと誰かがずっと囁いてくる。振り切る事も諦めて放っているが、いつかその時は来るのだろう。その時まで、心臓を爆音で掻き鳴らしていきますわ。

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