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001.大好きなロゴが出来上がるまで

おはこんばんちは、Catalyskiのバイソシエーター三上です。
前回の000では、カタリスキーという会社の設立について、書きました。

そして、今回はロゴについて、制作秘話的なことを書き残そうと思います。


■ロゴに対する皆さんからのコメント

このロゴへの周りのみんなの反応は思った以上に良かったので、すごくホッとしたのを覚えています。「かわいい」と言われたかと思えば「かっこいい」と言われることもあり、「三上さんっぽい」って感想は結構多かったな。

しまいには、「近づきたくなるチャラい感じ」と言われた時は、つい大笑いしてしまいましたが、このロゴに備わった雰囲気というものを多少なりとも感じてもらえているなと思いました。


■デザイナーは誰?

答えから言うとですね、ARTRACTという会社の代表であり、アートプロデューサーであり、ペインターでもあり、アーティストのためのコミュニティの企画運営など幅広く行う、Sii(しぃ)ちゃんという方にお願いしました。

彼女と出会ったのは、私が立ち上げから関わったQUINTBRIDGEという大阪のオープンイノベーション施設で、共通の知り合いに紹介してもらったことがきっかけでした。初対面の印象は、小さくて可愛らしい方。

でもちょっと話しただけで、アートに対して非常にストイックに向き合っていることがわかったし、自分の考えをしっかり持っている人だなぁって思って、「プロさ」を感じたのでした。その後も情報交換のために話をすればするほど、きっと近い価値観を持っているんだろうなぁとなんとなく感じるんだけど、僕とは扱う言語が違うというか、表現の仕方が違うので、わかったようなわからないような・・・そんなモヤモヤを埋める会話が、新鮮で面白いなぁと魅力に感じたのでした。

それから少し時間が空きますが、SNSなどの投稿は随時チェックをしていて、彼女の手がける作品の一部に僕の好きなストリートっぽさとかを感じてるようになり、その作品の印象がどんどん僕の脳裏に刷り込まれていきます。
並行して、QUINTBRIDGEという共創施設の運営にも携わる中で、もし自分が起業する場合には、それに関連するクリエイティブ類はできる限り施設を利用する会員さんにお願いできれば、「共創」を自ら体現できることになるので、それはストーリーとして美しいなと漠然とながら考えていたのです。

なので、起業のタイミングでロゴを作ろうと思ったときにSiiちゃんが真っ先に思い浮かんだのは、当時の僕としては、ごく自然のことだったのです。


■ロゴの方向性は「Graffiti」!?

これについては、基本的にはシンプルというかごく自然のプロセスから始まりました。僕からSiiちゃんに伝えたのは以下の点。

  • カタリスキーという名前に決めた背景

  • 大事にしたいと思っているキーワード

  • ロゴの方向性

特筆することはないくらい、シンプルなお願いの仕方です。
社名に込められた思い(別記事を参照)や、大事なキーワードを、文字情報としてつらつらと書き連ねた資料を提供し、それらの情報からインスピレーションを得てもらうというもの。でも、このシンプルが実は難しい。唯一強いこだわりとして僕が伝えたのはストリート/HIPHOPカルチャーにおける「グラフィティ」という方向性でした。

「グラフィティ」という言葉でイメージが湧かない人には、表現を変えると、よくシャッターや壁に書かれたスプレーアートの落書きのようなもの、と伝えると少しイメージが湧いてくるでしょうか。

Graffitiの例

僕が趣味でDJをしていること、そしてHIPHOPも好きなこと、そしてHIPHOPというカルチャー自体への憧れ、そして、Catalyskiというある意味の「自己主張」を目指すの会社だからこそ、「自分のタグを発信する」タギングと言われる手法や、相手へのリスペクトを持ちながらも、その作品を上回る自信があるなら「上書き」をすることも許されるというこの世界観がカッコよく感じたのだと思います。


■他者という鏡を通じて、自分について知る

初回にSiiちゃんから出てきた案は3案。
①ザ・グラフィティな感じのロゴと、②会社名に込めたメッセージからSiiちゃんが連想して作ったロゴ、そして、③現在のロゴの原型となるシンプルなロゴの3つ。

個人的には、②が気に入っていました。というか②でGOするつもりでした。Catalyskiが大事にする「点と点をつなぐ」というメッセージを汲み取ってくれたデザインはとても僕の好みだったからです。
でも、仕事仲間に見せてみたところ、「三上さんっぽい」と言われるのは③なんですよね。自分のことは自分が一番わからないとは、こういう時のことを言うのでしょうね(苦笑)

これは僕にとっては良い気づきでした。
自分が感じる自分らしさと、他者という鏡を通じて知る自分らしさは違うということ、そして、他者理解も自己理解も結局は他者との対話を通じて行われるのだということです。なのだとすれば、ロゴを見た時に「なんか三上さんっぽい」と他の皆さんに連想してもらいやすいロゴの方が、覚えてもらえるんじゃないかと思ったわけです。(ちなみに①は、ゴリッゴリのグラフィティ過ぎて社名の視認性が低いなということで、却下することになりました。)

「起業したからには自分の好き勝手にできるのに、自分の好みの②ではなくて、他者の意見を尊重した③でいいのか」と頭の中の悪魔なのか天使なのかが囁きもするんですが、2〜3日置いてみたら少しずつ③がしっくりして見えてくるようになりました。そして、②と③で悩んでいることを伝えた上で、③で行こうと考えているとSiiちゃんに伝えるのですが、彼女はこう話してくれました。

①を作っているときに、派手さが気になっていたので、シンプルなものを作りたいと思いました。ストリートという言葉を分解して、ラフさだけを残して、それ以外を削ぎ落としたのが③でした。

Siiちゃんからのラインメッセージ

送られてきた3案の中で一番シンプルで、ある意味地味だなと思っていた③でしたが、僕の意図を汲み取り、そこに彼女の意図をしっかりと乗せてアウトプットされたデザインなのだとわかった瞬間、この③をブラッシュアップしたいなと心から思うことができたのです。


■+/ー/➗/×の結果、生まれていくアイデア

この後のやり取りの中で、新たにこだわりたいポイントとして伝えたのは「i」のあつかいでした。「i」は英語で言えば「私」を指す主語であり、Catalyskiにとっては「i」は象徴的な文字でもあります。そして、点と点をつなぐことを大事にしたい私としては、「i」のポチ点がとても大事な気がしたのです。

なので、③のデザインの方向性にしつつ、この「i」をどうやって目立たせるかという新しい論点を私から提案しました。そんな私の素人アイデアでは、「i」の色を変えるとか、星にするとか、そんなしょーもない発想しか出てこなかったのですが、それを伝えたのです。

そして数日後、新たに出てきたのは現在のロゴ一歩手前の2案でした。

④:Cを大きくし、それ以降の文字は大文字をモチーフにして、頭の高さが綺麗に揃えられ、末尾の「i」が長いパターン・・・・CATALYSKi-

⑤:Cを大きくし、それ以降の文字は小文字をモチーフにして、頭の高さが不揃いで、末尾の「i」はそのままパターン・・・・Catalyski

僕にとって初の自分の会社のロゴということもあり、かなりワガママな要望も言ってしまったので、とても疲弊させてしまったこともあるかもしれません。2つの案に添えられていた文章にはSiiちゃんの産みの苦しみも感じられました。

「i」は相当苦労しました。50回以上のアプローチから厳選し、最終的にできたのがこちらです。点の延長から、未来への広がり、空間ができることにより、(三上が最初に社名の思いを綴った資料に記載した)「スキ=空き」という意味も拾っています。
⑤は、大文字の印象を残しつつ、小文字化しました。大文字と違い、文字上部のアクセントが散らばってしまうので、少し賑やかな印象となったかもしれません。

Siiちゃんからのラインメッセージ

現在のCatalyskiのロゴの中で特徴的な「i」を伸ばしたデザインは、この時に生まれたのです。

現在のCatalyskiのロゴ

こうやって今改めて、デザイン制作のための1ヶ月半を思い返すと、ロゴは色んな変化をしていったことが見えてきます。

「グラフィティ」という依頼から、派手さを削ぎ落としてシンプルにする引き算がありました。また他者から見た三上のイメージと、自分の(好みの)イメージを見比べ、ある意味、「自分が思う自分という固定観念」すら削ぎ落としました。そこに後出し的に「i」に関する思いをデザインに追加したいとわがままを言い、そこから50回のアプローチを経て出てきたアイデアは、それぞれの個性を持った2つの案として分裂して、私の目の前に提示されたのです。


■ロゴの誕生「connecting dots」

この2つの案を私は結構な時間をかけて見比べました。
この時点で当初2人で決めたロゴの納期期限は過ぎ、編集・加工をお願いできる工数分の作業は終わってしまっていましたが、納期よりも質を取ることにしたのを覚えています。

そして、結果的に私が選んだのは、④と⑤の「掛け合わせ」でした。
④+⑤:Cを大きくし、それ以降の文字は小文字をモチーフにして、頭の高さが不揃いで、末尾の「i」が長いパターン・・・・Catalyski-

ロゴの画像2つをトリミングして、重ねたデザイン画像に、以下の文章を添えてSiiちゃんにもう一度手を動かしてもらいたいとお願いをしました。

文字上部のアクセントが散らばっているのを逆に好意的に受け止めました。
人ぞれぞれの個性は均一化したり、整っている必要がないと考えました。
そして大文字のCが口のようにも見え、それに続く文字を発しているようにも見えます。「i」はSiiちゃんが考えてくれた、未来への広がりなどの感性はそのまま採用したい素敵な考え方だと思います。「connecting dots」を表現してくれているようも見えます。

三上からのラインメッセージ

そして、この数日後、2案が統合され、文字の間隔やシルエットなど細かい調整と検証を終えた現在のロゴが納品されたのです。このロゴを作るために何度もラリーをした結果、このロゴや社名への思いをさらにSiiちゃんがブラッシュアップしてくれ、満足のいく素晴らしいロゴにしてくれました。
Siiちゃんのアイデアが、また僕の発想を刺激し、新しい欲やアイデアを引っ張り出してくれるこの体験はまさに「connecting dots」でした。


最終的に行った2つの良いところを掛け合わせるという行為も、今思えば、実にHIPHOP的なアプローチだと思うのです。この「HIPHOP的」ということについては、今後またどこかでnoteで説明できたらと思っています。

長い文章をここまで読んでいただけたことを嬉しく思います。

このロゴのエピソードひとつとっても、「点と点をつなぐ」ことの面白さが至る所に隠れているなと、バイソシエーターとして思うわけです。

点と点をつなぐというのはメタファーなわけですが、今後その面白さと重要性についてもご紹介していきたいと思いますので、そちらもお楽しみに。

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