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山暮らしDay6 旅ラン

 週末は必須の研修がない。久しぶりに早朝ランに行かず、ゆっくり起きて朝ごはんを食べてから、外に出た。
 私が好きなことの一つに旅ランがある。出張でも私的旅行でも、必ず荷物にはランニングシューズを入れる。(正しくはシューズではなく、ランニング足袋。ぺったんこになるから持ち運びが便利)
 今滞在しているところは右を見ても左を見ても山が見える。私が育ったのは、山と海があってその距離が近い町だったので、右を見れば山、左を見れば遠くに海が見えるようなところだった。右見ても左見ても山、っていうのはとても不思議な感じがするが、要するにどっちに行ってもいずれ坂道になるってことだ。なんか人生みたいだな。
 大まかに地図を把握したら、あとはスマホもあまり見ずに気の向くままに走る(正確にいえば早歩き程度だが)。上ったり下ったり、日陰を探しながら、小川を渡ったり。木漏れ日の向こうに急に家が見えて、おお、こんなところにも人が住んでるんだとびっくりしたり。
 小一時間も走ると、汗だくになったので、部屋に戻ることにした。たまにすれ違う地元の人がいると、向こうから「おはようございます」「こんにちは」と声をかけてくれる。住まいがある都会では絶対にあり得ないことだ。
 ランニング中は音楽も聞かず、あまり考え事もしない。無になっているというほどではないが、頭に浮かんだことも、どんどん後ろに流れ去っていき、何もとどまるものがない。なんというか、禅のような感じ。
 大抵の悩みなら、そうやって後ろに流れ去り、それで消えていく。私の大雑把な性格と、この「ランニング禅」はとても相性がいいようだ。ランニングを20年近く続けていられるのはそのためなんだろう。ランラン。

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