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【学校の先生のいうことを鵜呑みにしてはいけない】~世間知らずの若造だから~

#エッセイ #体験談 #世間知らず #社会人経験 #教員になるためには民間企業の社会人研修を設けるべき

地域や学校の方針によって異なる場合はあるだろうが、私の通っていた地元の公立中学校は、中2、3とクラスが同じで、担任も同じだった。

私はこの担任に嫌われていた。名前は戸松(仮名)男、25歳。社会科の教科担任で、運動部顧問。典型的な熱血教師タイプで、誰がつけたか、あだ名は、

「ジャンバリ」

由来は戸松の口グセである、

「ジャンジャンバリバリ頑張ろうぜ!」

からである。中学生のあだ名のネーミングセンスは、良くも悪くも本人の特徴を実によく捉えていると思う。

ジャンバリこと戸松は贔屓の激しい人だった。教師と言っても一人の人間である以上、受け持ちのクラスの生徒の中に好き嫌いがあるのは当たり前のことだが、当時の私は非常にニブチンだったため、

「教師という職業の人はクラスのみんなを平等に扱うのが当たり前」と思っていた。

だが、陰キャで無口で成績も悪い私のような生徒が、戸松のような、学生時代から陽キャかつ運動部員だったろう担任に気に入られるワケもなかった。実際、彼がクラス内で贔屓しているのは、男女問わずカースト上位で成績もよく運動もよく出来る生徒限定。

ここまでは、全国どこにでもよくある話だろうが、当時のクラスは少しばかり事情が違った。

私のクラスには、地元市議会議員の息子、Nくんなる不登校児がいたのである。しかしその息子は、小学校低学年まではクラス1の長身で、当時は父親が議員であることを傘に着ていた重度のいじめっ子だった。しかしながら彼は中学年から突然身長が伸びなくなり、学年イチの長身からあっという間に、学年イチのチビに落ちぶれた。

それがきっかけでNくんは過去にいじめていた相手からいじめられる側に転向し、小学校中学年から不登校になった。 

それだけならまだいいのだが、何せ相手は現役市議会議員の息子である。戸松ことジャンバリは、時間を裂いてはNくん宅に家庭訪問をせざるを得なくなったのである。

受け持ちのクラスの中に、現役市議会議員の息子が不登校がいるーーそれには色々と大人の事情が絡んでいたことは今ならよくわかる。だが、戸松はその理不尽なストレスを私にぶつけて来たのだ。

私の在籍していたクラスに限らず、当時私の通っていた学校はヤンキーが多く、それに比例するように、全9クラスの中には最低1人は不登校の生徒がいた。

親しい友人のGちゃんもそうだった。彼女はクラス内のヤンキーにいじめ倒され、不登校になっていた。

ある日、私は廊下を歩いていた際に、戸松から呼び止められた。

「オイ、9組の学校に来ないGって、お前と仲良いい奴だろ?/ったく、どうしょうもねぇ奴だよなーー」と。

この発言は間違いなく、戸松はNくんに対する不満を、何の後ろ盾のない私達にぶつけていたのだろう。

市議会議員の父親と息子にはぺこぺこし、ただの不登校児は厄介者。その友人は個人的なストレス解消の対象にし、悪意を向ける。何と浅ましい人間だろうと思った。

そして戸松はしばしば私を個人的に呼び出しては、必ずこういうのである。

「お前には年相応の明るさがない」と。

しかし、高校に入学してからその評価は一転した。

「『四十(しじゅう)にして惑わず』って言葉があってねーー」

進学先の高校に入り、50代の社会科の先生に言われた言葉である。

「私はとうに50代を過ぎているのに、40歳にして得なくてはいけない不惑=落ち着きを得たくても得られないんだ。しかし君はまだ15歳にしてその『不惑』を身に付けている。それは誇るべき事だよ」

目から鱗、とはまさにこのことだった。

戸松による私の評価は「暗い」       しかし進学先の高校の先生からは「不惑レベルの落ち着きがある」

41歳になった今にして思えば、25歳の戸松なんて若造である。50歳を過ぎた高校の先生の言葉の方が、よほど重みも説得力もある。

だいたいが明るいの暗いのだと、それは電球に向ける言葉だ。

個人的な経験上、小中学校の教師は、男も女も、恐ろしく片寄った思想にまみれたキチガイだらけだった。誤解のないように付け足しておくと、もちろん、教育に携わる者として素晴らしい人格者も存在しているが、それはごく少数派である。

だから小中学生のみんなは、担任だろうが学年主任だろうが、先生から言われたひどい言葉を真に受ける必要は一切ない。

何故なら彼ら彼女らは、社会人として働いたことのない、生徒達の多様性や個性というものをまったく理解出来ないーーというより、しようともしないーー自分の物差しでしか生徒という人間を計ることしか出来ない、ただの世間知らずなのだから。





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