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【自分に自信のない人ほど他人の悪口を言う】~裸の王様ならぬ裸の王女様シオリン~

#エッセイ #体験談 #女に嫌われる女 #マウンティング女子 #自覚なきぼっち #イタい女 #しらけ鳥

【小5から中1まで同じクラスだったシオリン】

小5、6年と同じクラスにいた、今で言うマウンティング女子にタゲられたことがある。理由はなんのことはない、ただ単に私がクラスの女子でカースト最下位だったからである。

彼女に言われたこと、されたことは枚挙にいとまがないが、代表的なことをいくつか挙げると、私の頭身を計っては、

「弐邑さんは3頭身www」

と笑われたり(確かに私は胴長短足であるが、そこまでひどくはない)

給食の時間、私が机の上に敷いていたナフキンを見ては、

「地味な人ってね、派手なものを持つことで自分を派手に見せようとするのwww」

と、謎の嘲りをされたことである。ちなみにそのナフキンは黄色いだけのシンプルなもので、決して派手なものではなかった。とにもかくにも彼女は、私を貶めずにはいられなかったのだろう。

しかし、彼女ーーここではシオリン(仮名)としておくーーは、クラスだけでなく学年1の女子達の嫌われ者だった。今考えると滑稽だが、彼女はその自覚がまったくなかった。確かに成績は悪くなかったし、運動もよく出来、顔も比較的可愛い方だった。だが彼女はいわゆる、誰に対しても「上から目線」。

さらに小さい頃からピアノを習っていることもあり、低学年の頃から合唱コンクールでは必ずクラスの伴奏役に選ばれていた。それが彼女を増長させていたのだと思う。

当時はそんな言葉はなかったが、シオリン自身は自分をクラスカーストの上位者と思っていただろう。だが、彼女はクラスの男女と誰とも気兼ねなく話せるというだけで、親しい友人は誰一人いなかった。

実際、6年生時の遠足(修学旅行とは別の行事)では、担任の意向で仲良しグループで班を自由に組んでいいことになったのだが、サクサクと班が決まる中、シオリンはカースト上位の女子達の班には入れてもらえず、それどころか最後までどの班にも入れず、結局、私が親しくしていた友人達のグループの中に、無理やり割り込んで来たのである(当時の私の友人達は決してカーストは低くなく、優等生ばかりだった)。

この件に関しては、特に不快だとは思わなかった。しかし、中学に進学しても私と同じクラスになるや否や、彼女は何かにつけ、別の小学校から入学したクラスメートの前で、私をヨイショするようになったのである。

「弐邑さんは6年のとき、社会(日本史)のテストでクラスでひとりだけ100点を取ったことが何回もあるんだよ」            「弐邑さんは国語の成績がクラスでいちばんよかったんだよ」

など、さんざん私の容姿やあれこれを貶めていたにも関わらず、まさに掌返しだった。

間違いなく、彼女はちょっとした中学デビューを狙っていたのだろう。

『私は他人の長所を見つけて誉めることが出来る性格のいい子』と、他の小学校出身の新しいクラスメート達に見せつけたかったのだ。それに加え、自分はピュアな女の子アピールも欠かさなかった。

まだ部活が始まる前の、ある日の放課後。 「私の『彼氏』の写真見せてあげる♪」といってパスケースに入れた写真を見せて来た。しかしその写真は、愛犬のビーグル犬とのツーショット。誰も無言で、何も反応しなかった。  同じく、まだ部活が始まる別の日の放課後。

記憶の限りではまだ1学期の頃だったのでクリスマスにはまだまだ先の時期だったが、何かの話の流れで、誰かが、

「サンタさんっていくつ(何歳)まで信じてた?」

という言葉に、

「えっ……みんな……何言ってるの?サンタさんは……いるよ?」

と、小首を傾げた。サンタクロースの存在を信じて疑わないという、中1にはあり得ないほどのピュアさをアピールをして見せたのだ。その場はしらけ鳥が飛んだ。こりん星のりんごももか姫レベルの胡散臭さだが、彼女はそれが自分のピュアさのアピールになると信じて疑っていなかった。恐ろしくイタいやり口である。  この発言にもまたしらけ鳥が飛び、教室内は沈黙に支配された。

実はシオリンは、同じクラスになった別の小学校出身の男子に一目惚れしていた。彼はサッカー部のホープにして学年一のイケメン。私への掌返しも痛過ぎるピュアさアピールも、すべて彼を振り向かせたいがためでもあったのだ。

しかしそれだけのイケメンスポーツマンだけあって、彼を狙う女子は学年中にいた。彼女は他の女子達から彼を狙っていることがどこからか知られ、何やら嫌みでも言われたらしく、当時流行っていた「Mike」というユニットの歌「思い出の九十九里浜」の歌詞を引用して、

「『♪ずいぶんな好みねって人は言うけれど/それでも私には高望みの方だわ』って、私の彼に対する気持ちもそうよ」

と、呟いていたことをいまだに覚えている。やはり彼女はナルシストだったのだ。

話は前後するが、シオリンは中学入学と同時に吹奏楽部に入った。その部員の中には、別の小学校出身の私の友人Gもいたのだが、その友人Gがある日何気なくシオリンを「シオリちゃん」と呼んだところ、シオリンは大激怒したと言う。

「ちょっと!私のこと、シオリちゃんなんて気安く呼ばないでくれない!? 苗字にさん付けで呼んでよ!」

と。友人Gは怒りや恐怖以前に、ただただシオリンの勢いに押され、以降、友人はシオリンを苗字にさん付けで呼ぶしかなくなった。仮にシオリンの苗字を山田としたら「山田さん」と。

しかし、私と同じ小学校出身の女子生徒にして同じ部員の女子は「G、あんた山田のこと苗字にさん付けで呼んでるの?あんな奴、山田で呼び捨てでいいんだからね!」と指摘され、小学校時代の悪いエピソードを山ほど聞かされた、とのことだった。

シオリンが無駄にプライドの高い人間であることを如実に現したエピソードである。

Gちゃんは気弱で真面目な女の子だったため、結局卒業まで、同級生のシオリンを山田さんと呼ぶしかなくなかった。

ーーその後、私が目の当たりにしたシオリンのあざといエピソードをひとつ。

中学校には男子ともにヤンキーが一定数いるものだが、シオリンはある日、久しぶりに登校したヤンキー女子のひとり、Yちゃんににやたらフレンドリーにーー端から見れば実に慣れ慣れしくーー話しかけた。

「もう、Yちゃんてば久しぶり!ちゃんと学校来なきゃダメだよぉーー☆彡」

それはヤンキー女子に対して理解があるのではなく、

(ねぇ、どう? 私は性格がいいからヤンキーとか関係なく別け隔てなく誰とでもフレンドリーに接するこどが出来るんだからね☆)

という「ピュアな自分アピール」という嫌らしさが見て取れた。

実際、そのヤンキー女子Yちゃんははシオリンにはまったく興味はなく、実際に、ヤンキーになってからたまにしか登校しなくなったYちゃんからよく話しかけたられたりしていたのは、むしろ私の方だった。

私とヤンキー女子のYちゃんは、特別に親しい間柄ではなかった。ただ単に、1年生のとき同じクラスだったと言うそれだけの関係だったが、Yちゃんは計算高いシオリンより、鈍臭くてバカ正直な私の方が、まだよかったらしい。(個人の見解です)

ーー中学卒業後のシオリンのその後は、何も知らない。以前書いたAさんより、シオリンは完全にぼっちだった。親しい友人は1人もいなかった。それでも彼女が一度たりともいじめられることがなかったのは、陽キャを装って偽態し、

「上手く立ち回っていたから」

なのだろう。その点に関しては、彼女の処世術は見事なものだった。

シオリンはまさに、裸の王様ならぬ裸の王女様だったが、本家の「裸の王様」には救いがある。忖度するばかりの大人達の中で唯一、王様を裸だと指摘してくれる、純粋な子どもがいた。

しかし裸の王女様であるシオリンを、誰も彼女が裸だと指摘してくれる「純粋な子ども」に該当する者は、誰一人いなかった。

何故なら、彼女に人望は一切なかったのだから。














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