目のピンチを救うか?フェイキック

コンタクトレンズアレルギーになり、レンズが使えなくなった私。そこで、レーシックに代わる新しい視力矯正手術「フェイキック」を受けることにしました。

コンタクトレンズアレルギー?

ハードの酸素透過性コンタクトレンズを、15歳のころから、40年近く、朝起きた瞬間から寝るまで、毎日使用してきました。眼鏡では度が合わず、コンタクトを入れていないときは、まったく思考力が働かない状態になります。

ところが、3年ほど前から、レンズがずれたり、曇ったり、調子が悪くなり始めたのです。

3年前のある風が強い日、旅先で目に砂ぼこりが直撃!
ハードレンズ使用者あるあるですが、恐ろしい激痛で、その場に立ち止まり、うずくまり、夫に痛い痛いと、喚きたて、挙句の果てに、荒野にコンタクトレンズを落としてしまうという大惨事に。

せっかくの旅中なのに、足元も見えない状態。「もう無理無理。すぐコンタクトを買いに行く!」と勝手に車に戻る私。頼りになるgoogle先生にレンズ屋さんの場所を教えてもらい、駆け込み、別のメーカーの代替え品を購入しました。ところが、これがどうにも調子が悪い。白く濁って見えなくなってしまうのです。「不良品だわ、これ」と若干怒りながら、交換してもらったのですが、3日もすると不調に陥る。このメーカーが合わないのかも?と思い、以前から使っていたメーカーのものに切り替えました。

すると、最初のうちこそよく見えました。が、1か月くらいすると、またレンズが曇る。これは、レンズではなく、目に問題があるのかも?と心配になり、ようやく病院に行きました。医師の診断は、アレルギー性結膜炎。「コンタクトレンズの使用を中止し、2週間点眼してまた来てください」との指示でした。

レンズを使い始めて40年。快適で快適で。眼鏡をかけて過ごした日は1日たりともありませんでした。これまた大慌てで眼鏡を作り直しましたが、弱ければ見えない、強ければ遠近感が全く違い、歩くのも怖い。老眼も始まっているので、字が小さくて見えない!(謙さんのように叫ぶ)視野が狭い。

すぐ慣れるよ、と人には言われましたが、それからは、這うように取材に行き、写真のモニターに目をくっつけて確認をし、思考は停止。仕事ははかどらず、ミスを連続(みなさま、すみません)。2週間後に病院に行くとやっと結膜炎は治っていました。でも、医師からは「コンタクトレンズのアレルギーかもしれない」との説明が。

ええ!コンタクトアレルギーって何?

そんなものあるのか……。ということは、もうコンタクトレンズはできないってこと?ひるみました。でも、最悪の状態は脱し、レンズ使用再開の許可も出た。ま、いいか、とそのまま放置していました。

ところが、またしばらくすると、レンズが曇る。そして、今度はとっても目が痛い。まぶしい。参った、本当に参った。かくなるうえはレーシックもやむを得ないと覚悟を決めて、手術にも対応できる大きな病院に行ってみました。

付着したタンパク汚れが原因

ネットでよく調べてみると、コンタクトレンズのアレルギーというのは、レンズに付着するたんぱく質や汚れに対するアレルギーなのだということ。なりやすいのはソフトレンズで、ハードレンズは汚れが付着しにくいので比較的なりにくいのだということがわかりました。

確かに私のハードレンズさんに対する扱いはひどすぎました。擦り洗いが必要と言われても、浸けておくだけでOKと謳った洗浄液に浸すだけだったし、目にゴミが入ったときには、レンズをはずしてペロリと舐めて目に戻すなんてこともやっていました(バッチー。みなさん、引かないで。そして不良品呼ばわりした某メーカーのレンズさん、ごめんなさい)。

そのツケを56歳で払わされるとは思いもしませんでした。

診察を受けると、「目にキズがついています。これは、ハードレンズを使っている人に多いんですよ。また、アレルギー性結膜炎もひどい」とのこと。そうして、「治療後は、タンパク質や汚れのつきにくい1日使い捨てのワンデーレンズに替えることで、改善する可能性がある」とのこと。

治療で目の状態が回復した1週間後から、ワンデーのレンズに取り替えました。ハードレンズに慣れているので、ソフトレンズの圧迫感、ヒリヒリするような感じ、乾きには悩まされますが、点眼薬でどうにか乗り切り、すこしずつ慣れてきました。それでも、いつも目が気になる状況は変わりません。

50代でコンタクトアレルギーになる人急増中

そんな折、友人のご主人も私と同じ症状だと聞きました。1960年代から広まり始めたコンタクトレンズは、現在の50代が中学に入るころからポピュラーになってきました。そして、スポーツをするときに便利という理由や、眼鏡は美容の敵、なんて理由から、高校生になると使用を開始する人が多かったように感じます。以来、30年、40年と装用し続け、50代になったころ、色々なトラブルが起こってくるようなのです。

フェイキックに出会う

ところで、私がたまたま選んだクリニックの壁には、色々な「紙」が貼ってありました。それには、院長先生がどんな分野のエキスパートで、どんな資格をもった「神」なのかが面々とつづられていました。その一つが老眼もカバーできるレーシックの技術についてで、私は興味をそそられました。でも、角膜を削るレーシックは、視力が戻ったり、手術後に不都合が起きることもあると聞いたことがあり、積極的にはやりたくなかったんです。

そこに新たに目にしたのが「フェイキックIOL

これは、水晶体の裏側にレンズを入れる「眼内コンタクトレンズ」で、近視・乱視・老眼にも対応できる新しい手術。ヨーロッパでは、レーシックより選択されているという内容でした。費用がベラボウに高いのにはひるみましたが、角膜は削らないし、レンズを入れるだけなので、もしどうしても気に入らなければ、レンズを取り出して、元の状態に近い状態に戻せるというのです。

これ、やってみようかしら?

と、ふと思い立ちました。よく見えて痛くない目が取り戻せるなら、価値があるかも?私はすぐに、適応可能かどうかの検査を受けることにしました。

検査から手術まで

検査はほぼ半日仕事。目の状態に加え、正確な視力を測定するために、念入りな視力検査も受けました。医師の説明では、近視+乱視があり、老眼にも対応できるフェイキックは最善の選択とのこと。角膜の状態もよく、レーシックも可能とのことでした。この手術を受けることをfacebookに載せたときに、友人が「フェイキックには白内障を誘発する危険があるようだけれど大丈夫?」と、連絡をくれました。そのことについても尋ねました。

すると、「白内障は遅かれ早かれ誰もがなる病気。実は、すでに端っこのほうは、白内障が始まっています」とのこと。確かに私の目の画像を見せてもらうと、外側の隅っこが、ほんの一部ですが白くなっています。「でも、まだ手術が必要な段階ではないし、必要になるころには、もっと進んだ治療法が出てくるかもしれない」とのことでした。ただ、術後1年くらいで白内障になってしまった例もなくはないとのこと。

全く不安がなかったわけではありません。でも、本当に正直を言えば、この手術を受けてみたいという好奇心がまさって、手術を9月末に予約しました。(眼内レンズを海外に発注するのに時間がかかることと、白内障を含めた患者さんの手術は順番待ちで、これが一番早い日程でした)

手術当日から1週間後

数日前に再度検査をし、当日は、9時前に病院に。検査や麻酔の点眼を繰り返し、手術着を着て、手術室に入ったのは11時過ぎでした。水晶体の外側を2ミリほど切ってレンズを挿入するというもので、片目15分程度でした。

眼を開いたまま固定されているので、やはり痛みはありましたし、術後は出血もありました。でも、2時間ほど休んで病院を出るころには、すでに遠くはかなりよく見えるようになっていました。

眼は縫合することができないので、傷口がふさがるまでに1週間かかります。感染症を防ぐため、1日中透明なサングラスを着用し、寝るときはプラスチックの眼帯をテープで張り付けて装用しました。洗顔はNGで顔は拭くだけ。洗髪は3日目以降7日目までは、美容院で洗ってもらうようにとのこと。

肝心の視力は、遠くは見えますが、近くは全く見えず、病院からもらった飲み薬についてのプリントも読むことができません。ウサギのような真っ赤な目で、ゴロゴロと痛みがある。加えて、点眼は3種類を1日8回。目薬の奴隷になった気分でした。

手術翌日、3日目、1週間後に診察を受けましたが、異常なしとのこと。目の赤みも次第に引き、この日から眼鏡、眼帯はなくなって、点眼も1日4回に。シャンプーも自宅でできるようになりました。

この時点で、視力は遠くは1.5まで見えるようになり、手元の視力も、1.0まで回復しました。

この手術本当に受けてよかったか?

今日で手術から2週間たちました。手元は、明るくすれば細かい文字も見えるのですが、手術前は強い近眼でしたので、広範囲にわたって手元を全体的に見るという点においては、術前よりも非常に見づらい状態です。

レンズに脳が慣れるのに3か月くらい時間がかかる場合があるそうで、しばらくは老眼鏡は作らずに、眼を慣らすようにとのこと。確かに日を追うごとに、見やすさが増しているような気もします。目は、近くのものを見ると非常に疲れます

お金もかかりました。手元も見にくくなりました。1年後には白内障になっちゃうかもしれません。

それでも、私は手術を受けたことを全く後悔していません。これまでにないほど視界がクリアになって遠くのものが鮮明に見えることに感動しています。やってみてよかったと思っています。

週末、クリアな視界になって初めて、トレッキングにでかけました。山の上から、相模湾、三浦半島、その向こうに房総半島が見え、大島が見えました。大室山も形であれだ、とわかりました。空も雲も、富士山も、ピカピカに見えました。見るものすべてが輝いて見えます。

フェイキックIOLで目の問題すべてが解決するわけではないかもしれません。現時点で言えば、老眼や白内障の心配のある、同年代の方には積極的にはお勧めしません。でも、ひとつの選択肢として、これは「あり」ですし、私は、これを選択してよかったと持っています。

ちなみに今発売中のHERS誌にも、手術を決意した顛末を書きました。こちらもぜひお読みください。

また、こちらでもお仕事をさせていただいています。こちらもぜひ!


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