見出し画像

義母が選んだ道

83歳の義母が、「足のしびれと股関節の痛みや違和感があって歩けない」と言い始めました。若いときには心臓が悪く、ひどい片頭痛持ちで、胃がん、乳がんの手術も受けるなど、ずいぶんと病気をたくさんしてきた人です。でも、そのたびに、自分が信頼できる医師をみつけ、治療して、乗り越えてきました。

しゃきしゃきと歩けないことが相当苛立たしかったようで、周囲の人に聞いて情報を集め、人気の整形外科や、郊外にある専門病院を訪ね歩き、検査も何回も受けて、脊柱管狭窄症で、手術をすればよくなる可能性があることを突き止めました

ぜひ手術をしたいと言い出したのですが、全身麻酔が必要で、手術を受けても痛みやしびれがとれない可能性もあるとのことで、かかりつけ医や近所の整形外科医は、義母の年齢も考えて、手術まではしなくてはいいのではないかとアドバイスをしたそうです。相談された夫も、もう少し様子をみてからでもいいのではないか、と答えました

でも、どうしても納得がいかない義母は、結局は、大学病院も受診して、専門病院を紹介してもらい、そこで、再度脊柱管狭窄症と診断されました。温存療法もあると説明を受けたそうですが、義母は、ボルトで骨を固定する手術を受け、根治に掛ける、と決めたのです。

さらに、驚いたのは、「この手術をしても、状況が改善しなくても、または悪化しても、それはそれで構わない。リスクは承知の上。でも、試してもみないで、このまま自由に歩けなくなるのはごめんなの」という義母の言葉。肝が据わっているとはこのことです。その上「コロナだから、面会は一切できないそうだけど、着替えもたくさん持っていくから大丈夫だから」と。

ネットなんて扱える人ではありません。口コミ情報を集め、このコロナの時期に、足の不自由さを押して、自分で病院を渡り歩き、納得のいく医師と治療法を見つけ、周囲の反対を押し切り、手術をすると決めたのは、見事としかいいようがありません。そして、行動のリスクは自分で取るという姿勢も、またあっぱれ。

これから、私も年をとっていきます。そのとき、暮らしも決断も、人任せにせず、自分のことは自分で決められる義母のようなおばあちゃんになりたいと思います。

無事手術を終えた義母は、翌々日、夫に電話で、「もう歩いてます。やっぱり手術して正解だった」と言ったそうです。でも、まだしばらくは、コルセットをつけ、不自由な生活が待っています。念願かなって、しゃきしゃきと歩けるようになったら、きれいな景色を見せに連れ出してあげたいなと思っています。コロナもそのころには収まっているといいのですが。

私は、こちらの60代向けのファッション誌でもお仕事をさせていただいています。60代以上の方々はみな元気でお洒落。こんな風になりたいなと日々思わされています。紙媒体のみで、WEBはないのですが、よかったらこちらもぜひ、店頭で手に取ってくださいませ。

こちらでもお仕事をさせていただいています。ぜひのぞいてみてください。




この記事が参加している募集

スキしてみて

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?