企画01___4

「良い企画」とは何か?-事例から考える-|企画者の心得02

「良い企画」とは何か?-提案と企画の違い-|企画者の心得01の続き
具体的な事例で説明します。

事例概要|メールマガジンを月1回から、週1回の配信にしたい。

【案件】
メールマガジンを月1回から、週1回の配信にしたい。

【現状把握】
メールマガジン発行までに3週間が必要。だから今のリソースなら月1回が限界

既存のフローを可視化

画像1

担当の課題感と提案

赤の枠は会議です。つまり1つのメルマガのために3回会議を開催。

担当の課題感

・会議の集まりが悪い。
・原稿作成の締め切りを守れない部署が多い。
・編成会議後の内容の変更が多い。(リリースの延期、仕様の変更など)

提案

週1回の配信について、第一声は「無理」

そして対応の提案は・・・。

・メルマガ制作人員を増やしましょう。
・事業部門の意識を変え、締め切りを厳守してもらうようにしましょう。
・プロジェクトの変更もなるべく早くに連絡してもらうようにしましょう。

結論

却下

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別の視点で考える

企画の骨子|従来の延長線上での調整はやめる。視点を変えればできる。

成し遂げたい事は メルマガの発行回数を増やすこと。
そこで私は制約条件を見直し「制約を制約じゃなくなる」ようにしました。

1)原稿を事業部側ではなくメルマガ担当チームで全部作成すれば、事業部門が原稿つくってくれないと先に進めないって制約をなくせるんじゃない?つまり「事業部門からの原稿の納品待ち(自ら時間をコントロールできない)」から開放できるんじゃないか?

2)メルマガのデザイン性を一切排除しテンプレート化、デザイナー以外の運用担当でも作成可能とすれば、デザイン&コーディングの部分いらないんじゃない?(そもそもデザインいるんだっけ?)

3)事業部門への確認は、最初からコーディングされたもので行えば、確認回数減らせるんじゃない?

新フロー

画像2

加えて、メルマガ担当チームのマインドを「受け身のオペレーション担当」から「事業部門へサービスを提案・提供する、攻めの姿勢」へ改革する。

↓↓↓

成果

原稿作成から、事業部門への確認、テスト配信、本番配信までを3日でリリース。週1回の配信が可能となる(当初の目的達成)

さらにコミュニケーションコストを大幅に減らしたことで事業部門の負荷も大幅に減りました。最終確認は必要ないよ、って部門もありました。

補足

念には念を入れて、デザイン性の高いメルマガと、シンプルなテンプレート型のメルマガを同時に発行。シンプルバージョンは全体の1割に配信。結果、差はなかったです。

組織の力学

裏の思考回路「組織の力学を利用する」という視点

メルマガ担当チームは、オペレーション担当チームでもありました。
そのためバナー配信作業をやっていました。

またサービスをリリースする前には事前にテストを行います。リリース前のキャンペーンページや新規サービスページのテストなどです。そのテストチームも側(同じフロア)にいました。

つまり事業部門へ確認しなくても、何がリリースされるのか?を知る手段は、自分たちの側にあったのです。

3日の秘密

3日で配信する。メルマガのための情報は、配信3日前にリリース直前のサーバから拾う。つまり訴求するサービスの情報の正確性が極めて高い。

内容変更やリリース延期など影響を、3週間の時とくらべて比較にならないほど減る。差し込み系の制作負荷が減るという事です。

あとやっぱり会議は要らなかった。

そして「やってみせる」

さて、導入時には最初の何回かは私が原稿を作りました。「やってみせた」のです。新フローの「① テーマ検討、② 情報収集、③ 原稿作成・コーディング」の部分です。

次いで原稿作成を渡しました。そのタイミングでは編集長として原稿をチェックしていました。特に問題もなかったので、3ヶ月位で、全部メルマガ担当チームに渡しました。私の負荷も特に高くは無かったです。

これはOJT(On-the-Job Training、オン・ザ・ジョブ・トレーニング)ですね。

今回のまとめ

1)どこに情報があるかという見極め。情報の二次利用の徹底
2)リッチな画像のメルマガの廃止。デザインに凝ったメールマガジンからテンプレート型のテキストベースのメールマガジンに変更。
3)短期間でリリースするということによる、原稿差し替え、変更リスクの最小化 
4)OJTで意識改革

良い企画とは?

1つの課題に対して、どこまで思考を張り巡らせる事ができるのか?

「良い企画」とは

・1つの企画で、どこまで効果を生み出せるか?
・見えている課題の解決以外の部分も、ついでに解決できるか?

実はこれを参考にしている。

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前篇はこちら


アレとソレを組合せてみたらコノ課題を解決できるソリューションができるよね?と言うパズルをやるような思考回路です。サポートして頂いた費用は、プロジェクト関連の書籍購入やセミナー参加の資金にします。