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【月刊電視台4月号】医療ドラマ界にメスを入れた『ニュー・アムステルダム 医師たちのカルテ』

2024年1月の時点では「毎月末に更新する」と息巻いていたこの【月刊電視台】であるが、いきなり3か月も更新が滞ってしまったことを、まずはお詫びしたい。
というのも、実は筆者自身が休載期間中に体調を崩し、入院する事態になってしまったのが、その最たる理由なのである。そのため、どうにかご容赦いただけると幸いである。
さて、ここからは本題に入らせていただくが、筆者自身、実に20年ぶりの入院という経験をしたわけだが、入院期間中に病院の日常というものを少しながら体験したわけだ。筆者もまた介抱される側の人間ではあるが、日夜、患者の対応に追われる看護師や医師を初めとした医療従事者たちの姿には本当に頭が下がる思いである。
そんなわけで、今回の【月刊電視台】は、近年の医療ドラマの中で、最も面白いと個人的に感じている『ニュー・アムステルダム 医師たちのカルテ』を紹介させていただこうと思う。
シーズンが進むと、コロナ禍の世界などにもフォーカスされており、医療従事者たちのリアルな日常が描かれている作品である。

メディカル・ドラマ『ニュー・アムステルダム 医師たちのカルテ』は、アメリカ最古の公立病院を舞台に、新任の医療ディレクターが画期的な改革を推し進めていく異色作である。これまでの「医療ドラマ」とは一線を画す存在だ。
正直なところ、「医療ドラマ」というジャンルがあまり好きではない。なぜなら、劇中に登場する患者たちに自己投影しすぎて、こちらまで体調が悪くなってしまうからだ。
そのため、これまでの海外ドラマ人生において、「医療ドラマ」を敬遠してきたと言っても過言ではない。同じような感情を抱いている視聴者も少なくないはずだ。
ところが、本作の予告編に登場する‘‘ある印象的なセリフ’’に、つい心を奪われてしまった。


「あなたたちは全員クビです」から始まる、型破りな医療ドラマ

「あなたたちは全員クビです」

この強烈な一言から幕を開けるメディカル・ドラマ『ニュー・アムステルダム 医師たちのカルテ』を見始めてしまったら、「医療ドラマ」が好きではない筆者もついついのめり込んでしまうほどの魅力にあふれていたのだ。

『ニュー・アムステルダム 医師たちのカルテ』は、アメリカ最古の公立病院を舞台としている。
劇中に登場するニュー・アムステルダム公立病院のモデルとなっているのは、アメリカ・ニューヨークに実在するベルビュー病院である

1736年に設立された全米最古の公立病院として知られるベルビュー病院は、全米最大の病院の一つであり、不法移民やホームレスといった保険のない患者を含む年間50万人以上の患者を受け入れている。
保険のステータスや支払い能力に関係なく、良質な医療を提供する、ニューヨーク市民のセーフティネットなのだ。

実話を基にした医療ドラマ

本作は、そんなベルビュー病院でメディカル・ディレクターを務めていたエリック・マンハイマーの回顧録を原作としており、マンハイマー自身がプロデューサーとして製作に携わっている。
つまり、実際の経験にインスパイアされた内容が繰り広げられるのだ。

本作のストーリーは、アメリカ最古の公立病院であるニュー・アムステルダム病院に、新任の医療ディレクターがやってくることから幕を開ける。
大病院の改革を託されたマックス・グッドウィン(ライアン・エッゴールド)は、着任早々、心臓外科医を全員クビにしてしまう。
その理由は、高額な診療費に見合う仕事ができていないから。そんな科は必要ないということである。
マックスは「一人でも多くの患者を救う」ことをモットーに、その他にも様々な大改革を推し進めていく。

実力派キャストたちの演技も魅力の医療ドラマ

本作で主演を務めるのは、イケメン俳優ライアン・エッゴールド。
2006年に俳優デビューを飾り、『新ビバリーヒルズ青春白書』のライアン・マシューズ役で注目を集め、2013年から放送開始となった大ヒットクライム・サスペンス『ブラックリスト』のトム・キーン役で大ブレイクを果たした、日本でも抜群の人気を誇る俳優だ。
エッゴールド扮するマックス・グッドウィンは、責任感が強く、どんな困難にも真っ向から立ち向かっていく頼りがいのある男であるが、どこか内に秘めた弱さも醸し出すキャラクターである。
劇中では豊かな表情でマックスの感情の変化を演じ切っており、その緩急自在の演技に注目してもらいたい。

ライアン・エッゴールドの主演ドラマということで注目しているファンも多いだろうが、本作にはその他にも多数の魅力的なキャストが顔を揃えている。
ERを取り仕切るローレン・ブルーム医師役を演じるジャネット・モンゴメリーは、これまで『THIS IS US』のオリヴィア役や『セイラム 魔女の棲む町』で印象的な演技を魅せてきたということもあり、顔なじみの海外ドラマファンも多いことだろう。

彼女もまた人一倍に正義感が強く、自らを犠牲にしてでも患者を救おうとする医師を熱演している。
ヘレン・シャープ医師役のフリーマ・アジェマンやイギー・フロム精神科医役のタイラー・ラビーン、フロイド・レイノルズ心臓外科医役のジョッコ・シムズなど、本作に出演するキャスト全員に共通して言えることは、皆が皆、患者を絶対に救うんだという気迫に満ち溢れた熱演を見せているということ。
その表情には説得力があり、視聴者の感情移入を大いに誘うことだろう。

『レジデント 型破りな天才研修医』や『シカゴ・メッド』など、メディカル・ドラマの傑作がひしめき合っているアメリカTV界に‘‘メスを入れた’’全く新しい異色作『ニュー・アムステルダム 医師たちのカルテ』。
普段あまり「医療ドラマ」を視聴しないという海外ドラマファンにこそ視聴してもらいたいシリーズだ。
『ニュー・アムステルダム 医師たちのカルテ』は、U-NEXTほかにて好評配信中!

(文・構成:zash)

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