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待望のシリーズ第3弾製作決定!?『処刑人』をプレイバック

映画界でキャリアを積んだのちに、TV界で活躍する俳優もいる。ノーマン・リーダスはその最たる例と言って良いかもしれない。
両親の仕事の都合で、イギリス、スペイン、日本(千葉県習志野市)など世界各地を転々とする生活を送っていたノーマンは、ハーレーダビッドソンの店で働きながら、画家や写真家として活動するようになる。その画材を稼ぐために始めたのが、俳優の仕事だった。
いくつかの舞台や映画で端役を演じ、プラダのモデルとしても活躍し始めた頃、ある映画でのノーマンの演技に大きな注目が集まった。1999年公開のインディペンデント映画『処刑人』である。


『処刑人』あらすじ

映画『処刑人』(1999)の主人公は、二卵性双生児の兄弟マーフィー・マクマナス(ノーマン・リーダス)とコナー・マクマナス(ショーン・パトリック・フラナリー)。
ボストンの路地裏で生活するアイルランド系の血筋を受け継ぐ2人は、敬虔なカトリック教徒であり、礼拝に通い、罪を犯せば懺悔もするような人物である。
そんな2人が、ある時、行きつけのバーでロシアン・マフィアと喧嘩になり、相手を痛めつけてしまったことから、翌日復讐に遭い、マーフィーが殺される危機に陥ってしまう。
命の危機を打破するために2人は、あろうことかロシアン・マフィアを殺してしまうのだった。
警察に自首することを決めた2人だったが正当防衛が認められ、拘置所で過ごしている間に、神からの「啓示」を受け、ボストンの平和を乱す数々の「罪人」たちを一掃していくことを決意する……。

今なおカルト的人気を誇る傑作アクション

『処刑人』の公開は1999年である。およそ20年以上も前の作品であるが、今でもまったく衰えない魅力を兼ね備えた作品なのだ。
その理由は単純だ。世に蔓延る悪人たちを次から次へとなぎ倒してく主人公2人があまりにもカッコ良すぎるからだ。
今となっては、血がドバドバと吹き出すバイオレンス・アクションは映画界の主流となっているが、当時はそれほど王道の路線ではなく、むしろ敬遠されがちな部分もあった。
現にファンからは好評が寄せられたものの、公開時には批評家からさんざん扱き下ろされた作品でもあるのだ。
すなわち本作は、時代の先を行っていた作品であり、ようやく時代が本作に追いついたというわけなのだ。

彼らは果たして‘‘正義’’か?‘‘悪’’か?

本作は「私刑」の是非を問うた作品でもある。
当時も現在も、街に蔓延る凶悪犯罪は後を絶たず、法の番人である警察だけでは到底防ぎきれていない。
そんな状況下で、悪人だけを殺し続ける「処刑人」は果たして世の中に必要なのか?と。
エンドロールで流れる市民への街頭インタビューで浮き彫りになるのは、「悪人とはいえ人を殺すことが果たして良しとされるのか?」といった意見と「街をきれいにしてくれているのだから良いじゃないか」という意見の二極化である。
この賛否については正直、どちらが正しいとは一概に言えないが、本作は犯罪者に対して人々が持て余した感情を発散させる役割も担っており、ただただバイオレンス描写だけが見どころの作品ではなく、非常に奥深いテーマも扱っているのである。
とはいえ、決してシリアスな作品というわけではなく、悪人たちを排除していく様をユーモアたっぷりに映し出し、時折、箸休め的なコメディ要素も組み込まれてくるため、好みは分かれるものの、大変見やすい一本であることは間違いない。
これが、トロイ・ダフィーという初めて映画を撮影した男の手により生み出されたと思うと、もはや脱帽である。

最高にカッコいい主演コンビ!

本作の魅力は、何と言っても!主人公のマクマナス兄弟のカッコ良さ!
演じるショーン・パトリック・フラナリーとノーマン・リーダスは、今となっては海外ドラマでもおなじみの俳優たちだが、彼らがひたすらに悪をぶちのめすクールな雰囲気とイタズラ好きの悪ガキめいた表情を混在させた演技を披露し、見事にマクマナス兄弟を魅力的なキャラクターへと昇華させている。
同時に、終始、なりふり構わない狂気の熱演を見せるウィレム・デフォーにも注目したい。彼は、終盤になって思いもよらない姿も披露してくる。ここではあえて触れないでおくが、数々の修羅場を潜り抜けてきた百戦錬磨のベテラン俳優であるからこそなしえる巧みな技だと言えるだろう。ウィレム・デフォー、恐るべし……。

待望のシリーズ第3弾の製作が決定!?

近年における数多のバイオレンス・アクション映画の礎を築いた作品と言っても良い、映画『処刑人』。
約10年の時を経て製作された続編の『処刑人Ⅱ』(2009)という作品も素晴らしい出来栄えであったが、現在、続編からさらに15年の時を経て、待望の第3弾製作の噂が世界中で拡散されている。
先日開催された「大阪コミコン2024」のために来日を果たしたノーマン・リーダスも「噂は本当だ」と明言。ノーマンのお墨付きということであれば、ほぼ間違いなさそうである。
オリジナル公開から約25年…マクマナス兄弟の新たな旅路を観られそうで、今から待ちきれない。

主のために守らん。主の御力を得て、主の命を実行せん。川は主の下へ流れ、魂はひとつにならん。父と子と聖霊のみ名において……。

(文・構成:zash)

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