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MCUファン必見!マーベル・ワンショットのススメ

2019年公開の『アベンジャーズ/エンドゲーム』で、その物語に一区切りをつけ、現在新たに<フェーズ5>の物語が進行中の「マーベル・シネマティック・ユニバース」(通称:MCU)。
2008年公開の『アイアンマン』から幕を開けた同シリーズは、全世界にアメコミ映画ブームを巻き起こし、一大フランチャイズとして数々の偉業を成し遂げてきた。
そんなMCUには、劇場では公開されなかった‘‘知られざる物語’’があることをご存じだろうか?
今回は、ディズニープラスにて配信中の短編作品コレクション「マーベル・ワンショット」について紹介しよう。


マーベル・ワンショットとは?

マーベル・スタジオが製作するビデオ短編シリーズで、正真正銘、本物のマーベル作品である。
主にMCU作品のブルーレイに収録されており、映画本編の余白を補完する役割を果たしている。
2011年に最初の作品が公開され、現在までに計8作品が存在している。

『マーベル・ワンショット:相談役』(2011)

S.H.I.E.L.D.のフィル・コールソン捜査官を主人公にして展開される本作は、2008年公開の『インクレディブル・ハルク』エンドクレジット後の映像へと繋がっていく。劇中では、ブルース・バナー=ハルクと死闘を繰り広げたアボミネーションを今後どのように扱うかをコールソンとシットウェルが相談している様子が映し出され、いかにしてロス将軍の前にトニー・スタークが姿を現すことになったのか、その‘‘真実’’が語られる。
ほとんどがダイナ―の中で話し合いを繰り広げる2人を映しているだけなのだが、どこか知られてはならない極秘会議をのぞき見しているような錯覚に陥る。今となっては懐かしい若かりし頃のトニー・スターク(ロバート・ダウニーJr.)を観ることができる。

『マーベル・ワンショット:ハンマー墜落現場へ向かう途中での出来事』(2011)

2011年公開のMCU第4作『マイティ・ソー』にて、ニューメキシコに落下したソーのハンマーを調査するために車を走らせるコールソンを主人公に展開される。
道中、たまたま給油のために立ち寄ったガソリンスタンドで、強盗と遭遇したコールソンは、その卓越した戦闘技術で、強盗を瞬殺。その様子がスタイリッシュかつコミカルに映し出されている。
「マーベル・ワンショット」の中でも屈指の傑作で、後に『エージェント・オブ・シールド』で存在感を示すことになるコールソンの主人公としての可能性を示唆する。

『マーベル・ワンショット:アイテム47』(2012)

2012年公開『アベンジャーズ』で繰り広げられた‘‘ニューヨーク決戦’’のその後、チタウリの襲撃現場に遭遇した、とある一般市民の姿が描かれる。
戦闘中、目の前に落下してきたチタウリの武器を手に取り、銀行強盗を実行したカップルを主人公にしているわけだが、これそまさに短編映画の真骨頂とでも言うべき作品。約12分という短い時間の中で、簡潔な物語の導入から、起承転結ハッキリしたストーリーテリングで視聴者を楽しませる。その昔、村上春樹の『パン屋再襲撃』を映像化したキルスティン・ダンスト主演の短編映画があったが、そんな作品を連想させるアーティスティックな部分も垣間見える。

『マーベル・ワンショット:エージェント・カーター』(2013)

2015年にTVドラマシリーズ『エージェント・カーター』が製作される以前に、ヘイリー・アトウェル演じるペギー・カーターを主人公にした短編作品。
エージェント・カーターが『キャプテン・アメリカ/ザ・ファースト・アベンジャー』(2011)での戦いの後、謎の組織「ゾディアック」を追う諜報機関の一員となり、女性差別的な上司と対立しながらも、たった一人で任務を完遂してしまう有能ぶりを見せつける姿が描写される。
劇中ではTVドラマ『エージェント・カーター』へと繋がる伏線も散りばめられており、ドラマの前日譚的な役割も果たしている。改めて、『エージェント・カーター』が短命だったことが悔やまれる次第。

『マーベル・ワンショット:王は俺だ』(2014)

2013年公開『アイアンマン3』で悪役マンダリンを名乗っていた俳優のトレバー・スラッタリー(ベン・キングスレー)が、刑務所内でどのような立場だったのか、そして‘‘あるドキュメンタリー映画製作者’’と面会する様を映し出す。
『アイアンマン3』本編では、悪役かと思いきやただの俳優だったという出オチ気味な役どころだったスラッタリーだが、後に『シャン・チー/テン・リングスの伝説』(2021)でも存在感を発揮しているように、MCUの「テン・リングス案件」では何かと関わってくる重要キャラクターでもある。劇中では、そんなスラッタリーの再登場を2014年の時点ですでにほのめかしている。

『マーベル・ワンショット:チーム・ソー』シリーズ(2016-2017)

2016年公開『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』で戦いに参戦しなかったソー(クリス・ヘムズワース)が、戦いの最中に何をしていたのか?ということを浮き彫りにする短編シリーズ。
『‘‘チーム・ソー’’』『帰ってきた‘‘チーム・ソー’’』『‘‘チーム・ソー’’のその後…』の3作品が存在し、そのどれもがドキュメンタリータッチのコメディで、ソーとソーのルームメイトとなったダリル・ジェイコブソンの対話劇で構成されている。(3作目のみソーは登場せず、代わりにグランドマスター(ジェフ・ゴールドブラム)とダリルの対話劇になっている)
『マイティ・ソー/バトルロイヤル』(2017)から「マイティ・ソー」シリーズの監督を務めているタイカ・ワイティティが、全作でメガホンをとっており、彼特有のシュールなコメディタッチや風刺のきいたシニカルなセリフ回しなどが印象深い。
ただのオマケ映像的なやつだと思われがちだが、案外、観ておいて損はない。何しろ、このダリルというキャラクターは、『ソー:ラブ&サンダー』(2022)にも登場しているのだから。

このほかにも、2019年製作の『Peter's To Do List(原題)』という作品もあるようだが、同作はディズニープラスでは配信されておらず、おそらくはブルーレイの映像特典でのみ視聴可能だと思われる。

意外にもMCU作品のストーリーを補完するという意味で、重要な役割を果たしている『マーベル・ワンショット』。
各作品、約10分ぐらいで視聴可能なため、スキマ時間に鑑賞していくことをおススメしたい!

(文・構成:zash)

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