見出し画像

【コラム】映画『タイタニック』に想いを馳せる…

巨匠ジェームズ・キャメロンがメガホンをとった大ヒット映画『タイタニック』。「タイタニック号沈没」の史実を描きながら、そこに乗客の恋愛劇を加えることで、映画史に燦然と輝く不滅のラブストーリーへと昇華させた傑作だ。1997年に公開された本作は、現在でも地上波で放送されると高い視聴率を記録しているようで、その理由はどこにあるのかと、ふと、探ってみたくなった。
なので今回は、改めて映画『タイタニック』の魅力に迫ってみようと思う。

タイタニック号沈没の経緯

ここで少し「タイタニック号沈没」に関して説明しておこう。
豪華客船タイタニック号は、1912年にイギリスのホワイトスター汽船が大西洋横断航路用に建造した、当時としては世界最大の客船だった。1912年4月10日、この日、イギリス・サウサンプトン港から処女航海に出発。これが、悲劇への出航となってしまう。
出港から4日後となる4月14日午後11時40分、タイタニック号はカナダ・ニューファンドランド沖で氷山に激突。最新のテクノロジーを駆使して建造されたタイタニック号は、絶対に沈むことのない「不沈船」と呼ばれたが、翌15日午前2時18分に沈没してしまう。「不沈船」であるという過信から救命ボートの数が乗客よりも少なく搭載していたというのは有名な話で、乗客乗員2200人のうち、1500人以上が犠牲になった。
沈没から100年以上が経過した現在も大西洋に眠っているタイタニック号は、予想よりも船体の腐敗が激しく、2030年頃にはすべて消滅してしまうと見られている。多くの犠牲者を出した「悲劇」は今もなお、大西洋の海底で続いているのだ。

悲劇的な沈没事故にラブストーリーを盛り込んだ超大作『タイタニック』

1997年に製作されたジェームズ・キャメロン監督による超大作映画『タイタニック』は、当初、史実を忠実に再現した作品にしようと企画された。ところが、キャメロンが1912年当時の「身分格差」に注目し、ならば上流階級の女性と下層階級の男性のラブストーリーを中心にしながら、「タイタニック号沈没」を描こうと思いついたのである。歴史上もっとも悲劇的な沈没事故にラブストーリーを盛り込んだ超大作映画。それが『タイタニック』なのだ。

豪華客船タイタニック号出港の日。
上流階級の令嬢であるローズ(ケイト・ウィンスレット)は、婚約者のキャルドン・ホックリー(ビリー・ゼイン)と未亡人となった母と共にタイタニック号へと乗船していた。ローズは、破産寸前の母に大富豪の御曹司であるキャルとの結婚を強制されたことに嫌気がさしていた。そんな中、新世界ニューヨークでの成功を夢見てタイタニック号に乗船した下層階級で画家志望の青年ジャック(レオナルド・ディカプリオ)と出会い、ローズは恋に落ちる。
身分の違いだけでは切り離せない絆で熱く愛し合った2人だったが、「悲劇」の瞬間は刻一刻と迫っていた…。

映画史に永遠に刻まれる不滅のラブストーリー

映画『タイタニック』は前述のように、史実とラブストーリーが絶妙に絡み合った作品である。そのため、物語の結末というのは決まっていると言っても良い。「悲恋」に終わってしまうことは間違いないのだが、それでも一筋の希望を胸に抱き、登場人物たちに感情移入してしまうところがすごい。刻一刻と「悲劇」の瞬間が近づく中で、身分格差による反対を押しのけて「愛」を成就させようとする2人の男女の姿には感動さえ覚えてしまう。決して、メロドラマのような恋愛劇が描かれるわけではなく、誰もが共感できる、「真実の愛」が描かれているのだ。船上で両手を広げる名シーンを真似したというカップルも少なくない。「壮大なスケール」という謳い文句の代名詞のような作品でもあり、まさに映画史に永遠に刻まれる不滅のラブストーリーと言えるだろう。

隠しきれなかったレオナルド・ディカプリオの魅力

本作を語る上で、主演のレオナルド・ディカプリオとケイト・ウィンスレットの存在を忘れるわけにはいかない。なぜなら、本作が当時の世界最高興収を獲得した要因に2人の存在があるからだ。

画家志望の青年ジャック役に扮するレオナルド・ディカプリオは本作をきっかけに世界的人気俳優の地位を欲しいままにしたのは言わずもがな、その美しさには思わず見惚れてしまうこと請け合いだ。ディカプリオはジャック役のオーディションに参加するために、会場へと姿を現した際、その場にいた女性スタッフ全員を虜にしたという逸話がある。それだけ彼が醸し出すオーラには凄まじいものがあったということだ。そのオーラを劇中でも遺憾なく発揮しているディカプリオの存在感やカリスマ性は、スターになるべくしてなったということを証明しているかのようだ。

一方の相手役である上流階級の令嬢ローズ役に扮したケイト・ウィンスレットは、ディカプリオよりも大人な妖艶な演技を披露。現在でも実力派女優として有名なウィンスレットだが、この頃からすでに大女優の片鱗を見せつけている。まだまだキャリア初期の女優とは思えない見事な演技を披露しているのだ。
ディカプリオとウィンスレットの2人が放つ相性の良さも魅力的であり、さすがはその後の映画史に名を刻む名カップルといったところだろう。

第70回アカデミー賞では、歴代最多の14部門にノミネートされ、作品賞を含む歴代最多の11部門で受賞の快挙を成し遂げた、映画『タイタニック』。
まだ観たことがないという映画ファンは、この機会にぜひとも堪能していただきたい!

(文・構成:zash)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?