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【ミュージシャン紹介】北川修一(タンブール)第二回講座「美しきペルシャ音楽の世界」

「ペルシャ」と聞いて、みなさんは何を思い浮かべますか?高級なペルシャ絨毯、美しきミニアチュール(細密画)、荘厳で幻想的なモスク、世界的にも人気の高いイラン映画。それとも昨今の社会情勢でしょうか。

古代より歴史深い文化に育まれたペルシャ。様々な文化に影響を受けつつも、その長い歴史の中でも消えない美しさ。
中東音楽を取り上げるうえで欠かせない存在でもあります。

今回はタンブール奏者の北川修一さんにインタビュー。様々な経験を経て、イラン音楽に魅せられ10年間滞在した経験と知識から、今まで知らなかった世界を覗き見ることが出来ました。

最後に講座のお知らせもございます。ぜひ併せてご覧くださいね。

音楽との出逢い

東京都に生まれ育った北川さんが、本格的に音楽と出逢うことになったのは高校生の時でした。部活動で入った合唱部や、エレキギターを習い始めた影響もあり、様々なジャンルの音楽を聴くようになったそうです。90年代のバンドブームもあり、その中でも民族音楽的な要素に惹かれるようになったそうです。

ずっと旅をしていたい

文学部歴史科の大学生となり、友人たちと初めての海外旅行で、ギリシャやエジプトを訪れました。その中で目にした美しい風景やモノ、その国々の歴史の深さに感銘を受け、「ずっと旅をしていたい」と思うようになったそうです。
とはいえ学生であり、現実は中々思うように行かず、図書館などで民族音楽のCDシリーズを借りては様々な国の音楽から旅行気分を楽しんでいたそう。特に興味を感じた音楽は、トルコ・インド・アラブ・中国。その中で他の国と違う空気を感じた国がありました。日本人のわびさびに近いような、独特な間や空気感を感じる国、それがイランでした。その繊細で控えめでありながら、高い技術力に一気に惹かれたそうです。
そのCDは、女性歌手パリーサと、タンブール奏者ホセイン・アリーザーデの演奏でした。イランへの憧れが一気に強くなり、いつかこんな演奏が、楽器が出来るようになれたらと思いながらも、その想いは心の中にしまわれて、しばらく姿を現さなかったのです。


イラン留学

大学院へ進学した北川さんは、修士論文でペルシャ語文献の読解力が必要だったため、1年間の期限付きでイランに語学留学します。音楽に興味を持っていたものの、何故か学ぶことなくタイムリミットを迎え、帰国。院を終了後、日本でSEなどの職に就き、安定した生活を送っていましたが、いつかイランに再び留学し、音楽や芸術を学んでみたいと思っていました。


再びイランへ


あるとき仕事やプライベートの壁にぶつかったという北川さん。ずっとやりたいと思っていた音楽を学ぶため、再びイランへ行くことを決意したそう。

前回インタビューをさせて頂いたアブダッラーさんもそうでしたが、仕事を通して「本当の自分のやりたいことに気づき、その地へ自ら赴く」という姿はとても素敵だなとお話を聞きながら感じました。
コロナ禍の中で、そのような選択肢を選んだ方も多かったのでは無いでしょうか?

イランでの10年間

イランで2,3年、音楽を勉強し、帰国後は少しでも音楽活動をしたい。そう願い旅立ちました。最初は語学学校に所属し、その後テヘラン大学の文学研究科の修士課程でペルシャ語詩を学びながら、音楽のレッスンにも通いました。
そして大学院の修了のめどが立ったものの、できることなら帰国せずにもう少し学びたいと思っていたところ、たまたま翻訳とアナウンス、番組制作のお仕事を紹介され現地で就職。帰国までそちらでお仕事をしながら、音楽の学びを続けていらしたそうです。

おすすめの音楽家

おすすめの音楽家さんをご紹介頂きました。古典から最新の音楽まで多様なペルシャ音楽を感じられますね。

国民的歌手・モハンマド・レザー・シャジャリアーンによるコンサート

ホセイン・アリーザーデ(シュールアンギーズ)、ケイハーン・キャルホール(シャー・キャマーン)、マジード・ハラジ(ジル)による演奏

セピーデ・ライースサアダートによるセタールの弾き語り

弦楽器タンブールの大人数による合奏

イラン南部・湾岸地方のネイアンバーンの演奏とDJのコラボ

古い聖なる楽器・タンブール


先生が演奏されるタンブールは、3弦の撥弦楽器で、かき鳴らして演奏しますが、右手のストロークが特徴的な楽器。
非常にシンプルな楽器で、歴史も古く、数千年にも及ぶといわれているそう。クルディスタン、ロレスタンなどのイラン西部では、聖なる楽器として扱われており、宗教的な儀礼などでも使用されているそう。

どんな音色が気になりますね。

今後の展望

最後に、日本に帰国され今後の展望についてお伺いしました。

「プレイヤーとして個人の技術を高めていくことも、一生を通じた目標の一つですが、同時に、現在は、他の人を巻き込んでいきたいと思っています。具体的には、より多くの人にイランの楽器や音楽の魅力を知ってもらうことで、「『あ、やってみたい」』と思わせ、その気持ちを拾い上げて、その人の人生を潤すお手伝いができれば、と願っております。このため、目下レッスンカリキュラムの拡充に向けて画策中です。
また、楽器に触る前は大学院でイラン近代史(19世紀後半~20世紀初頭)を研究していたこともあり、当時の宮廷音楽の華やかさを自分の演奏活動の中でいつか再現できれば、と願っています。現在のイラン古典音楽の土台は、ちょうどそのころに築かれたので、古典音楽の原点回帰、と言えなくもないかもしれません。」

イラン音楽を日本で広める講師として、演奏で伝える奏者として、今後の更なるご活躍が楽しみですね。

世界には多種多様で美しい音楽は多く存在しています。
ペルシャの音楽はどんなものか、より深く知りたくありませんか?

【オンライン講座・ペルシャ前編】
美しきペルシャ音楽の世界~古典音楽を中心に~

日時:2021年2月28日(日)20:00〜21:30
場所:Zoom開催 
参加費:3,500円(会員3,000円)
ご予約:090-2477-3391(鈴木) memos.japan@gmail.com

【オンライン講座・ペルシャ後編】 
美しきペルシャ音楽の世界~地方を中心に~

MEMOS_J 主催 オンライン講座



日時:2021年4月11日(日)20:00〜21:30
場所:Zoom開催 
参加費:3,500円(会員3,000円)
ご予約:090-2477-3391(鈴木) memos.japan@gmail.com


前編では古典音楽、後編では各地方の音楽をご解説頂きます。
どちらかのみの受講も可能です。
アーカイブでの見逃し配信も予定しております。

前後のフォローもありのオンラインサロン会員も随時募集しております。
どうぞお気軽お問い合わせくださいね。

皆様のご参加を心よりお待ちしております。

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