良いオチがついたところで
2023/08/08
いや、まいったまいった。
昨日いい感じのカフェに行ったので本を読んだ。
『ハンチバック』である。芥川賞受賞作である。
この作品がまあ面白くて、わーすごい、となっていたのだが、私はすぐにハッとした。
『ハンチバック』は文學界新人賞を獲っている。
私は文學界新人賞に応募しようとしている。
大変なことになった。
つまり、私は『ハンチバック』より面白いものを書かなければいけないのだ。
あと2ヶ月で。
私は今猛烈に焦っている。アイディアはほとんどないに等しい。
『倒錯のロンド』の序盤のような気持ちになっている。
ところで、あの序盤は折原一先生の実体験であると私は確信している。
そんなことを書いている場合じゃない。
折原先生に「余計なお世話」だとか「下衆の勘ぐりだ」とか言われてしまう。
いやはや、どうしたものか。
いや、しかし。
『ハンチバック』より面白いものを書かなければいけない、と意気込む必要はないんじゃないか。私がこれから戦うのは同期の応募者であって市川沙央先生ではないからだ。
いやいや、しかし。
それはそうかもしれないが、やはり大切なのは意気込みであって、
「ハンチバックより面白いものを書くぞ」
という気合こそが、受賞するか否かを分けるのではないだろうか。
どうしたものか。
実は長いこと小説を書いていない。今年の春休みに、小説すばる新人賞に応募する作品を書いたっきりだ。
リハビリも兼ねて、短編の賞に応募してみようか。
坊っちゃん文学賞が気になっている。
字数は4000字。賞金は50万。実に素敵だ。
ひとつ気がかりなのは「アイデアとそれを生かした印象的な結末」とやらが求められていることだ。
アイデア(「アイディア」ではなく「アイデア」の方がなんだかそれっぽい)はともかく、印象的な結末というのは自信がない。私はアイデア先行で書き出すタイプなのだ。
しかも4000字。40000字ならうまいこと積み重ねて着地させられるかもしれないが、4000字ではなかなか厳しいものがある。
単純に計算すれば、起承転結に割ける文字数はそれぞれ1000字。
大変だ。
坊っちゃん文学賞の作品に要求されるスキルと文學界新人賞の作品に要求されるスキルは、あるいは、まったく別種のものではないだろうか。
「執筆」と一括りに言っても、それには様々な形がある。
文學界新人賞の作品を書く前に、坊っちゃん文学賞の作品を書くことは、はたして適切なことなのだろうか。
うーん。
どうにも、このような、なんにもならない文章をダラダラ書いていることこそ、不適切なんじゃないか、という気がしてきたな。
うん、なんだか良いオチがついたな。
うーん。
そうしたらまあ、なにか書いてみようかな。
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