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不妊のメンタルVol.3 〜最終章:妊娠

注意:”妊娠”についても書きます。気になる方は、このままそっと閉じてくださいね。

2021年の4月にいっしょに暮らしだして、すぐに自分の体を調べるために病院に行ってから2年。たった2年。治療のお休みもしたし、スローペースだったかもしれないが、引っ越しも、病院も4つ目。自分達にしたらものすごい長くて辛い時間だった。遠距離の時に色々話したのも入れたら3年は不妊について考えている。当時は子供が欲しい私とまだ準備ができてない彼で噛み合っていなかったな。

6月、3回目のAIH

出張に行ったり忙しい月だった。帰ってきて忙しい中、今月の不妊治療病院。病院へは片道1時間運転。山を2つくらい越える。採血したら、タイミングは明日ですねと言われた。行きたかった温泉に入りに行った。黄金色のお湯。地元のお婆さんしかいない時間帯。その足で通い出した不妊治療の鍼灸へ。AIH、明日になったんで、バチっと打ってくださいと気合い入れて針を打ってもらう。
次の日、予想外のAIHのため楽しみにしていた登山をキャンセル。朝イチでまた車で山越え1時間。朝から私より早起きし準備した夫も一緒だ。彼にタイミングを伝えると『まかせて!』と言ってくれるところが私は好き。朝食を車で食べられるようおにぎりも用意してくれた。夫の用意してくれたものを病院へ持っていき、1時間ほどしばし待つ。温泉も入ったし、鍼も打ったし、夫の調子も良さそうだし、今回こそ…今回で本当に最後になるといいねと言いながら、病院の近くの公園で、簡易テントで二人で昼寝しできるだけリラックスした。時間になり、行ってきますと夫に伝え、いよいよ3回目のAIH。いつも通り。願う気持ちよりも虚無の気持ち。考えると私は一体何をしているんだろうと思ってしまうから。椅子に座るのは慣れても、何も悪くない身体をどこか悪いところがないか一生懸命探す感じにはいつまで経っても慣れない。それが不妊治療なんだけども。
直後に今回突然の排卵誘発剤も打たれる。説明もなくちょっと嫌な気持ちだったが、背に腹は変えられない。不妊治療、こればっかり。理不尽が多すぎる。痛くないと言われたが、筋肉注射だったので翌日も腕が上がらず痛かった。
昨日来て今日も病院に来たこと、なので予定していた登山に行けなかったこと、毎回の血液検査、プラスホルモン注射で心折れて帰りの車では、本当にこれで終わりにしたい、頼む妊娠してくれという気持ちだった。
彼が気を利かせて車で行ける山の上へ寄り道してくれル。少し気分が良くなる。次の日、タイミングも取る。
私たちのように問題が見つからない原因不明不妊という。やっぱり病院が苦手な私は、この2年間検査をし続けて、なんだかハッピーではなかった。病気があるひとからしたら贅沢いってるのも承知だがどこか悪いところがないか延々と手探りなのも辛かった。不妊治療に関しては解決方法が見つからないことがほとんどなんだけども。
次の日、子連れ友達と散歩しながら愚痴を聞いてもらう。

そして7月


今度は入れ替わりで夫が出張。不妊治療はタイミングが命なので、夫も毎回排卵日はきちんとチェックして出張を組んでいる。
お互い地味にストレスだよね〜、そんなこと言っても仕方ないけれどねと言いながらなんとか毎月予定を合わせている。
病院で、卵胞チェックして排卵日を調べてもらい今日タイミング取ってくださいと言われるのも、慣れるまで嫌だった。なぜ、この人に、言われてしないといけないのかやる気がなくなる。
たまに妊活すらしたことない人に「考えすぎだよー、休んだらできるよ」っとクソバイスされるけどこっちは朝から毎日体温計をくわえて、起きたてから妊活を嫌でも意識させられてるんですけど?と思っていた。(不妊メンタルですね)
無事に夫出張から帰り、SUPで二人でリフレッシュ。生理予定日まであと二日。ちょっと腰が痛いみたい。

生理予定日から数日が過ぎた

2日過ぎた、体温は高いまま。もしかして?!と思わずにはいられない。毎月それでも生理が来てがっかりしているので期待のしすぎも禁物だ。できるなら、今すぐにでも検査したい気持ちだけど、まだ早い。そうこうしているうちにAmazonで彼が検査薬×4本購入していた。
胸が張るし、腰が痛い。一度夜中に寝ていたらに腰がパキパキっと骨盤あたりが押される感覚で夫にしがみついた。骨が折れそうな変な痛み。生理前とも違う。予定日から4日過ぎた、週末は誕生日旅行へ行くので検査薬も持って行くことにした。
妊娠したら今後こんな風に夫とフラっと遊びに動けないかもと思うと、今すぐにも行きたくなる。早めに仕事切り上げた夫に今から行かない?と1日早く行く提案をし、ホテルを予約した。そして1時間後には出発した。こういうの好き、楽しいね!と言いながら。

嬉しい誕生日プレゼント

旅行先に到着。いつも通りビールを、、、あれ?一口で酔っ払う?いつも中ジョッキ4杯飲んでも酔わない私が?いよいよおかしい。と言いつつ、これが最後かもと、しっかり寿司を堪能する。おでんも食べて一口冷酒も。夜、お腹がチクチクする。やっぱりおかしい。
次の朝、誕生日。予定日から5日過ぎた。いつも通り基礎体温を測り、寝ぼけながらホテルのトイレで検査薬を使ってみる。
!!初めての2本線。1分待たずともくっきり出た。
第一に、
これで!!不妊治療卒業できる。私、妊娠できる体だったのか!!
と思った。まだ検査薬だけだし、流産することは多いし手放しで喜べないのはわかるが、自分が妊娠できたことにまず驚いた。一度でも2本線が出たということは今後もチャンスがあるってこと、今までは一度もなかったから。やっと手探りの暗闇から抜け出せた、そんな気持ちだった。
すぐに夫を起こし報告する。
彼の第一声は、どこの学校に入れよう…だった。初めての陽性、もっと喜んで欲しかったが、なんとも夫らしい。ロマンチックゼロ。堅実。
まだ喜べないよね、と言いながら私の頭は妊娠でいっぱいだった。
とりあえず二人で MAYBE BABYと名付けた。

すでに不自由


ずっと行きたかった美術館へ行った。夫が現代美術が好きなんて知らなかった。まだまだ知らない面があって楽しい。検査できる日より4日ほど早いけど、今日からは妊娠していると思って過ごすことにした。生物はダメだねと近くで美味しいフレンチをランチにする。前菜が全部なまものだった。意味なし。アルコールはもう飲まない。生のものを少し食べたからかお腹がぐるぐるした。そのままお城の方も行ってみる。坂を登ると息が切れる、いつもより疲れやすい。やっぱりおかしい。
早めにチェックイン、いいホテルのラウンジサービスで飲めないなんて。と思ったらイライラしてきた。なんで妊娠しているかもしれない奥さんをこのホテルに連れてきたんだ。飲めないし、旅行先で食べれないものだらけ。おまけにこのホテル、温泉もない。夫がホテルに頼んだBDケーキは冷蔵庫に入っていてメッセージのチョコは落ちていたのを見てものすごく悲しくてイライラした。
思わず夫にぶつける。しょんぼりした彼を見て、部屋の大きな風呂で長風呂しながら逃げる。多分ホルモンでイライラしていたんだな。と反省。
ごめん、あんなに見たかった2本線に、動揺していたのもある。と、謝る。
無事に仲直りし、今回の旅行だけ好きにしようと決める。もちろんアルコールは飲まないけど、最後に美味しい寿司を食べようと思った。夜ご飯はラウンジで済ませて部屋で二人でBDのホールケーキを食べる。甘党じゃないし普段ケーキなんて食べない二人でもメロンが美味しくて生地も甘過ぎず完食。夫、怒られ損。ラウンジでは、カジュアルにバイオリンの生演奏を聴きながらビュッフェ。何故かフィンガーチキンが死ぬほど美味しく感じてビュッフェのチキンを全部食べ尽くす。レタスと合わせてシーザードレッシングをたくさんかけて、、、色の好みがおかしい。すでに夫にDNAを感じる。

お寿司〆

朝2回目の検査薬。しっかり2本線確認。胸が痛いくらい膨らんでいる気がする。相変わらず熱っぽい。ここが暑いせいなのか体温なのか。
ホテルの美味しいブッフェで朝食を食べる。グッズを買い忘れたのでもう一度タクシーで美術館へ。そして古い街並みの文化財の中で抹茶とお茶菓子をいただく。梅雨時期の日本海側は蒸し暑い。雨も降ったり止んだりじめじめしている。
昨夜は雨、イライラ、店は閉まっていたりでありつけなかったので、
最終日に行きたい寿司屋に30分以上も並んで思う存分食べる。ノドグロもだけどガスエビなど地物たくさん食べて大大大満足。寿司納めできたぞ。
隣にいたヨーロッパからの外国人が困っていたので助けたのもいい思い出。
最後まで私たちらしい旅行を詰め込みたかった。疲れやすいし、たまに腰が痛いけど元気。来週には悪阻で死んでる可能性もあるなと、帰りはぎりぎりまで買い物。二人で本屋さんで妊婦の本も買う。二人で読みたかったので夫が読みやすいデザインにした。結局Kindleで英語で読んでいるが私もデザインに満足。有名な某クラブの内容は私には合わなかった…。

明日は生理予定1週間後。

帰宅した次の日、朝3回目の妊娠検査薬。また勢いよく2本線。
これは確実かもしれない。不妊治療かかりつけ病院へ連絡する。この時まで初期妊婦の予約枠があるのを知らなかった(そりゃそうだよね)
数日後に予約を取る。早速、胎嚢?を確認してくれるらしい、しばらくはいつもの病院で診てもらえるらしく安心。
何せ、不妊治療のことは色々知っているが、妊娠してからのことは全く調べていなかった。理由は、調べたら落ち込みそうだなとか、期待しそうだなと。
購入した本を読んで思ったのは、不妊治療と違って、スタート地点に立てている時点で、ゴールが見えている時点で、私には内容全てが明るく見えた。
安定するまでは安心できないこともわかっているけれど、全く妊娠できず、原因もわからず、まだ若いからねとか言われて、それでも歳は取っていく不安に押しつぶされそうなあの気持ちとは全然違う。
妊娠してから色々検査することもあるかもしれないが、お腹に何もないのに検査する不妊治療と、線が出た今では全然気持ちが違う。ある程度ずっと検査されてきたので(糖尿インスリン検査なども)今の自分の体の健康さには自信がある。妊活してたから、ずっと検査してきたから。これは不妊治療していた人しかわからないだろうな。
先生のタイプについて。先生はよく選んだ方がいい。私は引っ越しのため色々と不妊治療の病院に通ったが最後の先生は、やたら自然に進めたい先生だった。よくいえばおっとり。優しい。
通っている鍼の先生は、その不妊治療の病院の先生を、時間泥棒と言っていた。(私は通える範囲に病院の選択肢なくそこに行っていた。AIHでダメだったら片道2時間コースになるところだった)
いまなら思う。痛かったけど、最初から誘発剤売って欲しかったよ?先生!

Maybe baby


これから、夏の予定をキャンセルしたり、秋の旅行にいけないかもしれない、冬は大好きなウィンタースポーツもできないかもしれない。
いつ家族に報告しよう、とか、つわりの前に何しておこうとか、赤ちゃんこの部屋で暮らせるかなとか、明るい不安で満ち溢れている今。今この瞬間、新しい道に進めたこと、お腹に来てくれたかもしれないこと、嬉しいし驚いている。そして、2度の国際結婚、離婚、何度も移住、自分人生やってんなーと改めて思った。メイビーベイビー。
#あの選択をしたから



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