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ファッションと人のココロ

まず初めに、この記事が私にとっての初投稿の記事になります。読みづらい箇所、誤字脱字等もあるかもしれませんが、どうかご容赦ください、、、

皆さんにとって「ワクワク」するときはどんな時でしょうか?おいしものを食べているとき?見たかった映画を見ているとき?はたまた好きな人とお出かけしているとき?

ワクワクするときというのは人によって様々でしょう。上記の例は私が思うごくごく一般的な人が「ワクワク」する瞬間にすぎません。そのほかにも「え?!そんなことでワクワクするの?!」というようなワクワクタイム(今勝手に名付けました。)を持っている人もいるかもしれません。

それでは、私はどんな時にワクワクするのかというと、「好きな服を着ているとき」です。特別変わっているわけでもないと思います。特に女性の方なんかは共感してくださる方も多いのではないでしょうか。実際、株式会社エン・ジャパンの調査によると女性の多くがファッションに一際気を使っていることが分かります(表1)。

表1 自分磨きのために何をしていますか?

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(出典)株式会社エン・ジャパン『 エンウィメンズワーク 』ユーザーアンケート

そこで、本記事では私自身のお勉強も兼ねて、衣服の起源や日本のファッションの歴史、服と人の心理的な関連性なんかについてまとめてみました。少しでも皆さんの新たな気付きに繋がったら幸いです。

衣服の起源

いきなりですが、皆さんは人類がいつから、そしてなぜ衣服を着るようになったかご存じですか?

地球上には様々な動物がいますが、衣服を着るのは人間だけです。人類の歴史はおよそ500万年ほど前の猿人から始まるとされていますが、人類がその長い歴史の中で衣服を身に付けるようになったのはわずか7万2000年前といわれています。(全然わずかではないですが笑)

なぜ衣服を着るようになったかについては現在でも様々な説があります。その中でも最も有力とされているのが「身体保護説」です。人類の歴史は領土拡大の歴史でもありますから、様々な気候に対応する必要があったんですね。

ファッションとしての衣服~江戸時代の美意識~

始めは身体を自然から守ることを目的として着用されるようになった衣服ですが、ファッション、つまりおしゃれとして衣服が着用されるようになったのはいつからなのでしょうか。

日本において、衣服によるおしゃれが一般的になったのは江戸時代だと言われています。それまでファッションは武家など一部の上流階級のみの楽しみでしたが、江戸時代になると町民には武家を凌ぐほどの財力を持った者も現れファッションリーダーが次第に町民に変ってゆき、庶民もファッションを楽しめるようになっていきました。

江戸時代になって広く庶民にもファッションが親しまれるようになって、江戸ならではの美意識というものが生まれました。それが「いき」の美感です。江戸における衣服に対するいきの好みとは、渋い色合いの縞や小紋、そして黒への好みを指します。これらは江戸前期においてはおもに男性の衣服に見られる特徴でしたが、中・後期においては「いき」な好みとして女性の間でも流行していきました。

ちなみに私もファッションにおいては黒が最も好きでよく好んで着ています。当時風に言えば私は「いき」なファッションをしているわけですね笑。

現代におけるファッション

時代は一気に飛び2019年現在。スマートフォンの普及やインスタグラムの登場により今どんなファッションがキテるのか、何がおしゃれなのかなどの情報収集も圧倒的にしやすくなり、さらに、ECの拡大によりあらゆるブランドのあらゆる服が自宅にいながら買えるようになりました。ファストファッションも一般化し、現代は誰でも気軽に「おしゃれ」になれる時代になりました。
しかしその一方で、あまりにファッションが豊かになりすぎて、何をどう着たらいいのか悩んでファッションに対して億劫になってしまっている人も多いのではないでしょうか。

このような時代において、私たちはファッションとどう向き合っていったらいいのでしょうか。以下ではファッションが私たちの心にどう影響を与えているのかについて見ていきたいと思います。

ファッションと心の関連性

ファッションが人の心に影響を与えることは研究により明らかにされています。

皆さんは「ファッションセラピー」という言葉をご存じですか?

最初のファッションセラピー(Fashiontherapy)は1959年にアメリカのサンフランシスコ精神健康協会とファッショングループ共催で,カリフォルニアのナパ州立病院に入院した女性患者のために週 2回 4週間計 8回にわたり実施されました。また,テキサス州立病院では,精神病に入院された女性患者を対象に 6週・9週プログラムとした実施されました。いずれも,患者は身体および外見満足度と自己概念が向上したとされています。ファッションが心理的治療として取り入られ,こころを元気にする他,自信感の回復に役立つことはこうした研究で明らかになっています。

また、別の研究では、被験者に好きな服と嫌いな服を着てもらい、その前後で精神状態にどのような違いがあるかを検証したものがあります。

結果はというと、好みの衣服を着用することにより状態不安(A-State)のスコアが有意に低下し,不安によるストレスが軽減しました。また自律神経機能の解析により,好みの衣服により副交感神経系で若干の亢進がみとめられ、唾液中ストレスマーカーにおいては,嫌いな服装によりアミラーゼ活性が上昇し,sIgA濃度は低下しました。一方好みのファッションを身にまとうことで,口腔,鼻腔などの粘膜における局所免疫を担うsIgAの濃度が上昇し,免疫力の向上を促す可能性が示唆されました。

なんと好きな服を着るだけで高揚感により不安によるストレスが解消されるだけでなく、免疫力も高まるのです!これには正直私も驚きました、、、笑

上記の研究のほかにも、衣服と人の心理状態の関連性についての研究は数多くあります。それらの多くの研究によって好きな服を着ることが人の精神状態に何らかの良い影響をもたらすことが分かっているのです。

話は少し変わりますが、最近KDDIが男性社員の「スーツ着用」の服装規定を廃止したことが話題になりました。同社広報によると「世の中の流れや時代の変化に合わせて、より新しい価値観、新しい発想を生み出してもらうことの一環として、服装も固定観念にとらわれず、社員自ら自律的に選択して欲しいと考えました。」とのことで、根拠の希薄な服装規定、性別による服装指定を廃止していくそうです。

理由はどうであれ、ビジネスシーンにおいても服装の自由が増えていくのは非常にいいことです。


今回は「ファッションと人のココロ」と題して衣服の起源・歴史から江戸時代のオシャレ、ファッションと心理状態の関連性なんかについて見ていきました。
LGBT の尊重、ダイバーシティ・インクルージョンの考え方の普及により職場においてもファッションの自由が少しづつ増えつつあるのは良いことですが、制度ばかりが充実し現場の理解が追い付かず”制度の形骸化”を招くことになるのは避けたいところ、、、
月並みなまとめではありますが、そのためにはやはり一人一人が制度の意味を理解することが大事だと思います。

皆さん好きな服を着てウキウキ・ワクワク!仕事においても健やかに働いてパフォーマンス上げていっちゃいましょう。

参考資料

孫 珠煕「浴衣の着装体験が温泉地域の活性化やファッションセラピーに及ぼす影響」2014年

永井 伸夫, 波多野 南, 小柴 朋子, 田村 照子「ファッションの嗜好性が唾液中ストレスマーカーに及ぼす影響」2011年

増田美子『日本衣服史』吉川弘文館、2010年

谷田有史『江戸時代の流行と美意識: 装いの文化史』三樹書房、2015年