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ワンブックスさんで500ページ超の文庫同人誌を作ったメモ【二次創作小説同人誌】

※この記事では女性向け二次創作小説の同人誌を取り上げています。
原作キャラクターと創作キャラクターが掛け算されてるタイプの本文画像があります。内容はすべて個人の幻覚です。

こんにちは。二次創作の小説らしきものを書いては同人誌にする趣味を持つ者です。
先日出した新刊がちょっとしたチャレンジだったので、制作する過程で気づいたことなどを簡単ですが記事にまとめてみました。
A6や新書等小さめの版型でページ数の多い小説同人誌の印刷を考えている方の参考になればいいなと思っております。

話は逸れますが、個人が制作する同人誌の物理的な厚みや字数やその内容について取り沙汰されがちな昨今です。
本記事では「文字数や背幅を格付けの道具として扱う概念」「長編と短編の対立軸」「分厚い同人誌の存在自体の是非」といった問題については取り扱いません。ここで取り上げる拙作の文字数やページ数は単に本という物体を構成するデータのひとつです。

そして拙作は今回お願いした印刷所さんが設けているページ数上限にはぜんぜん達していないので、殊更に分厚いというわけでもないと思っています。
意識して鈍器化を避けたのもありますが、煉瓦や鈍器にはほど遠いです。鈍器バトル(あるのか?)に参戦できるような戦闘力では到底ありません。
なのでキンマリや嵩高紙でぶっとい鈍器を作りたいんだ!という人にはあまり向かない記事です。

言ってしまえば二次創作小説を物すことやそれを元とした同人誌の制作は、原作のいちファンである個人の趣味であり自己満足の領域の事柄です。
私自身、趣味で字を書くだけの素人なので小説そのものの出来については自信満々にこうだと断じる言葉を持ちません。
ただ趣味・自己満足なりに「物体として読みやすい本」を意識するのは無駄ではないと思います。

同人誌用に書き下ろすものはいつも何やかやで長い話になりがちで前から留意していることと言えばそうなのですが、今回は特に長いお話だったので、読む人になるべく負荷をかけない方向を目指そうと改めて意識しました。

「柔らかい」「開きやすい」「めくりやすい」「軽い」「目にやさしい」「厚みを抑えたい」あたりが今回目指した方向です。

お含み置きの上お読みくださると幸いです。
あと相変わらず写真へたくそ侍です。

手っ取り早く結果だけ見たい方は目次から「実物を見てみる」まで飛んでください。

今回の作品と印刷所選びについて

自分の作品について何事か語るという行為が苦手なのですが、内容は置いといて「書いてるときはこんなだった」みたいな部分も書き残しておきます。

そもそもとして、ある程度まとまった話として書くにせよ最初は10万字くらいの文字数を想定していました。
ぼんやりこんな話になるかなと考えてた段階。

ですがネタ出しが終わった時点でエピソード数が多く
「なんか想定より長くなりそうだな…」
と不穏を感じ、実際にプロットを立ててみてああこれ何をどうしても20万字を超えてしまう……と肚を括りました。肚を括るっていうと大袈裟だけど、萌えとヘキを詰め込みたい思いも迸ってるしこのまま書ききろう的な。
もろもろ超属人的な作業手順の関係もあってほとんど初稿に近いようなプロットができてしまい、その時点で23万字を超えていたのでもう大きく路線変更はできなかろうなと……。

そこから初稿を書いていって26万字くらいに膨らみ、推敲の末にもう5千字くらい増えた感じです。妄想と幻覚が迸ってしまった。

同人誌にする時のみですが、私はちゃんとした原稿(?)を書き始める前に、依頼する予定の印刷所さんにいくつか見当を付けておきます。
大抵はまずやりたい仕様と版型を決めるところからです。今回は、長編作品は今までもおおむね文庫で出してきたので「文庫サイズにしたい」「なるべく薄い紙が使えるところにしたい」「できればカバー巻きありで」とうっすら考えつつ選びました。

以下が候補に挙げていた印刷所です。

・STARBOOKSさん

当初、カバーに箔押しがしたかったんですよね…(想定文字数が10万字くらいだったころ)。
なので箔の種類が多く淡クリームキンマリ 62kgを使えるスタブさんが第一候補かなと思っていました。

・コミックモールさん

各種PPの割引があって「ライト書籍用紙クリーム 50kg(紙厚0.08mm)」が使える、カバーがきらびきに紙替えできる(検討時点の情報)等で候補に入れました。
ただコミモさん最薄の上記用紙は用紙の性質上インクのテカリがやや強く出るので、そこだけちょっと気にはなる。小説なのであまり気にする部分ではないんだけども。

・RED TRAIN(ワンブックス)さん

基本料金に含まれるものがすごい。
本文・表紙・カバー・オビ。表紙・カバーのいずれかにクリア or マットPP標準装備。カラー・モノクロ同一料金なのでオールカラーもできる。
改めて書き出してみるとすごい。

長文になりがち民としては文庫専用紙が心強い。前に使ったことがあるのは「ノベルクリームロゼ 34kg(紙厚0.087mm)」「ミステリッククリーム 32kg(紙厚0.073mm)」の2種。ノベルクリームロゼ 34kgは現在取り扱いがなくて、31kgが20部~の「モノリス」、300部~の「オフセット文庫本プラン」で使えるという状況。

ミステリッククリームがすごくよかったんですよ……。ふにゃっふにゃでめくりやすいんですよ。ワンブックスのプランで製本可能な最大ページ数は612P。
その後ラインナップに「プリンセスノベル 32.5kg(紙厚0.072mm)」が追加され、こちらも612Pまで使えるとのこと。

前述のとおりいろいろあってプロット時点で字数が嵩んでいたので今回はワンブックスさんでいこうと決めました。
せっかくだし新用紙のプリンセスノベルを使ってみたい。

複数の印刷所さんでそこそこ見かける淡クリームキンマリ62kg、薄いは薄いんですが上質紙ベースなので割としっかりめです。
後述しますが本文500ページ・淡クリームキンマリ57kgでテストプリントした際にけっこう重たかったので、本番はそれ以上の分量だしさすがに持っててずっしりしすぎるかもな~と感じました。

最終的に本文540ページになったので、個人的に「カバー付き文庫」以上に装丁を凝れるような分量ではないな、とも考えました。

出来る出来ないでいえば、凝ろうと思えばいくらでも凝れるのです。
が、強めの幻覚で構成された540ページをひとさまに読んでいただくわけで、せめて手に取った時・読む時にノーストレスであってほしい、できれば最後まで読んでほしいなという願いもあり……。

持ちやすさや開きやすさの面を考えれば「表紙色上質・本文軽い紙・カバーはコート紙+クリアPP」くらいシンプルなのが丁度いいんじゃないかなーと考えて、なのでまあ今回は振り返ればほぼほぼRED TRAINさん一択だったのではないでしょうか。

ここはもちろん私に限って言えばです。
凝る・凝らない、装丁優先か否かの選択はほんとに作る人個々人の好き好きだと思うのでこれが正解というのはないです。

原稿作成時のもろもろ

文字数は最終的に265,000字くらい。
推敲で増えたり減ったりしつつ一旦書き上げた後は校正に次ぐ校正で、細かな修正含めた見直しには一ヶ月半くらいかかりました。
なにぶん余暇での活動だし、そこはまあそういうスケジュールでいこうと決めていたのでOKです。

キリのいいところまで作業が終わったら音楽配信サービスでテンションが上がりそうなのを1曲だけ聴くのを繰り返して気付け薬にしたりしてました。
あとマツケンサンバを聴くことでサンバのリズム(サンバではない)を体に取り入れるなどの奇行にも走った。

組版は以下にしました。

フォント:イワタ明朝体オールド/9pt
レイアウト:38字×16行
余白(原寸):天15mm・地12mm・小口10mm・ノド16mm・
       ヘッダー上端7mm

もっと文字を詰めた組版も考えたのですが、目の負担軽減を優先しました。
あとこれは完全に自分の書き方の問題なんですが、今回は39~40字の組版と自前の文章、特に台詞部分の相性があまりよくなかったです。人それぞれの部分。

見直しがある程度進んだ段階で、レイアウト違いの原稿を一冊から刷れる印刷所さんで本の形にしてみました。
ご存じの方も多いと思いますが、ちょ古っ都製本工房さんです。

最大ページ数が500Pなのでもろもろ削って入稿しました。問い合わせれば若干増やせるらしい。本文用紙は淡クリームキンマリ 57kg。
試しに刷ってみた理由は主にノドの余裕を見たかったからです。ちょ古っ都さんは製本がしっかりめの感触で、ここで刷って文字がノドに巻き込まれてなければ大丈夫だろう的なあれです。
これが持った感じ結構ズシッとしてて、本番はキンマリ以外を選んだほうがいいかなと考える材料になりました。

こういうことを聞いていいのだろうか? と思いつつワンブックスさんにもノドアキについて問い合わせてみました。
お返事を一部引用します。

例えば「前回のノド(16mm)はちょうど良かった」と言う事であれば、
同じ16mmとするか、ページ数が増える分だけ気持ち増やして18mmくらいにすると良いかも知れません。

ですが「前回のノド(16mm)でもきつかった」と言う事であれば、
更に少し増やして20mmほどにするのも良いかと思います。

前回ワンブックスさんで印刷をお願いしたときに表紙色上質+本文ミステリッククリームの組み合わせで360ページ・ノド16mmで作ってたのでそれを参考値として質問しました。
前回使ったミステリッククリームも今回使用予定のプリンセスノベルも柔らかな用紙なので問題なさそうです。

なおギリギリを攻めるなら何ミリとか余裕を持たせるなら何ミリ……とか妙に突っ込んだこともお尋ねしてしまったのですが、明確には答えられないそうです。
「人それぞれの力のかけ具合や、開き具合、読み方でも変わり」「本文用紙の固さによっても開きやすさが変わる為」とのことです。
それはまったくその通りだ。
今回の本も前回の本もどんな本でも、力のかけ具合によっては開きづらいかもしれないんだなぁ。無線綴じだしなぁ。
丁寧に答えてくださって本当に有り難うございます。

フォントについては「長い話なのでクセの強くないものを」と選んだ結果です。
イワタ明朝体オールドも強弱があるといえばあるのですがなんか定番感があってきれいで使いやすい印象です(個人の感想)。
あと単純にこのフォントが好き……。

今回、初稿まではアウトラインプロセッサ的なフリーのテキストエディタを使い、校正~出力までは一太郎2021で作業しています。一太郎は本当に同人の字書きに優しい。
用紙設定とか体裁とか以下。

天地左右に3mmずつの塗り足しを設けています
禁則処理など

行頭禁則文字をデフォルトから少し足しています。こうすると

例1:
「こっちへ山羊が迷って来ていませんでしたでし
ょうか。」
女の人たちはみんな立ちどまってしまいました。
教会へ行くところらしくバイブルも持
っていたのです。

例2:
「こっちへ山羊が迷って来ていませんでしたで
しょうか。」
女の人たちはみんな立ちどまってしまいました。
教会へ行くところらしくバイブルも
持っていたのです。

宮沢賢治 ポラーノの広場

例2のように、行頭に拗促音が飛び出さないよう調整してくれます。(分かりやすくするために改行位置がガチャガチャですがご容赦ください)
Wordだと文字体裁で出てくる部分。
このあたりも同人誌では好みの問題だと思います。一般の書籍でもそこまで厳密でないものもあります。
実際私も今まであまり気にしてなくて「今回はちょっとやってみようかな」くらいの気持ちでした。
あと本文中に英語詩の引用があったので欧文体裁も少しいじってます。

ほか、これも最後は好みの問題になってくると思いますが、「ぶら下げ」設定は一般書籍でよく見るし見た目もおさまりがいいんじゃないかということでそうしています。

句読点やカギ括弧が余白部分にぶら下がる

さてイワタはそのままだとダッシュがつながらないので、小説用ダッシュを設定します。
ここは今回の原稿に限ったものではなく本作り用に普段から設定しておく部分。

デフォルトだと「自動で拡大する」が「しない」になってたような気がする。
――オタク(私)は――ダッシュが好きだからよ――――

筑紫系もつながらなかったはず。オプションからいじっておきましょう。

他、本文カラー部分。
ワンブックスさんにお願いするならちょっとだけカラーを入れたいなということで、本文もモノローグから始まる構成だったので3・5・6ページに色を使うことにしました。紙替えはなく本文用紙に印刷。

2ページ単位でなくともカラーが使えるのがワンブックスさんのいいところ

5・6ページの疑似小口染めっぽい何かは仕上がり位置から4mm程度くらいの幅。
並べてみるとガイド多くて何がなにやらって感じですが、通常のモノクロ本文ページとマージンを統一するために念のため線をひいたという。
一太郎の本文ファイルに貼り付けて変換でもいいんですが5・6ページあたり若干ややこしい。一太郎→PDFの変換で色味が変わるのもあって、じゃあハナからPSDでCMYKのほうが手っ取り早かろうとワンブックスさんが用意しているA6単ページのテンプレートを使いました。

文字の連なる5・6ページはPDFのページを読み込んでそこからテンプレに貼り付け。ノンブルもそのまま。アンチエイリアスは切ってます。


以下はカラー原稿まわり。
まずカバー。

作業中はもっとガイドがごちゃついてました

ワンブックスさんのテンプレートは0.5mm刻みです。ので、今回は表紙背幅20.0mm、カバー背幅20.5mm、オビ背幅21.0mmでした。

表紙がこう。

作業中はこんな画面でした。嘘です実際はもっとごちゃついてます。
フルカラーだけどいつも単色刷りっぽいデザインにしてしまう。
用紙は「紀州の色上質 白茶」を予定していたので、ベースに色ベタを敷いて擬似的に表紙用紙と刷り色を合わせたときのニュアンスを再現しました。

紀州色上質カラ―パレット

実物の紙そのものとPC上に表示されるカラーパレットの色味は異なります。あくまで参考程度です。上の画像だと実物の白茶はもっと明るめ。
印刷前に実物の色味を見てみたい、自宅のプリンターでテストプリントをしてみたいというときは調べるより紙を買ったほうが早いかもしれません。ネットで紙問屋さんなどを探すと、色上質を各色1枚から売っているところがあったりします。
私は全33色が1枚ずつセットにされたもの取り寄せ、書類ケースに入れて見本にしていました。すぐに手元で確認できる状態だと解像度が上がるなぁと感じます。

言うまでもないとは思いますが元々色のついている紙に印刷するので、入稿の際は色ベタやガイドラインや取扱説明のレイヤーは削除しています。

最後にオビ。

オビ単体

オビはつけてもつけなくても基本料金が変わらないのでせっかくだからつけるか…ということにしました。
特に絵柄などはなく、フォントや文言を選んで色ベタに配置。字間や行間を調節するといい感じになる…はず。これがいい感じかどうかはセンスがないのでぶっちゃけ分からない。
文庫だと高さは40~50mmくらいがバランスがいいかもなと48mmにしました。でも最大まで高くして太いオビで仕掛けを作るのも楽しそうです。

参考としてカバーの原稿に重ねているもの

カバーの原稿に仮で作ったオビを重ねたりすると「この高さまでくるな」とか何となく感じが掴めるかもしれない……みたいな画像。
カバーの原稿にオビ(仮)のフォルダーつくって表示非表示を切り替えるとなんか「このカバーに…このオビが……!」ってちょっと気分が上がる(気がする)。
なおこの画像でももろもろレイヤー出しっぱなしですがご容赦ください。
不要なレイヤーは削除し画像を統合して確認のうえ入稿、だいじ。

実物を見てみる

出来上がったものがこれです。

カバー+帯

写真で赤みが強く出てしまいましたが実際は元原稿のようにもっと青みがあります(いつもこんなん言ってる気がする)。

本体

印刷所:RED TRAIN(ワンブックス)
サイズ:文庫(A6)/ページ数:544ページ(本文540)
カバー用紙:コート紙(オーロラ) 110kg
表紙用紙:紀州の色上質 最厚口 白茶
本文用紙:プリンセスノベル 32.5kg
オビ用紙:マットコート紙(ユーライト) 90kg
加工:カバーにクリアPP
遊び紙:紀州の色上質 厚口 あじさい
その他:本文の一部にカラーページあり

背幅は上にもある通り表紙20.00mm、カバー20.50mm、オビ21.00mmです。
前述しましたが厚みのある本なのでもろもろ鑑みた結果表紙やカバーの紙選びはシンプルにしました。最低限PPあればの気持ち。
当初、カバーはHS画王にクリアPPのつもりだったんですが、紙厚のこともあるので見送りました。あれクリアPPかけるとポコポコするんですってよ!? 何それかわいいめっちゃ楽しそう。

本文はこんな感じです。

手でがばっと開いたときの感じを再現したくてブッククリップで押さえている

フォント:イワタ明朝体オールド/9pt
レイアウト:38字×16行
余白(原寸):天15mm・地12mm・小口10mm・ノド16mm・
      ヘッダー上端7mm

再掲。入稿時も余白等変更なし。

プリンセスノベルの柔らかさに感謝…!
画像だと何となく詰まって見えるかもしれませんが、実際手に持って開くとノドも余裕があります。
ふにゃんとしてて難なく開けるのでノド16mmで丁度良かった。ページ数が増えても使い慣れた数値設定が流用できるのありがたい…。

ただここはワンブックスさんの回答にもあるとおり人それぞれの面があります。もう1、2ミリ内側でもいいという人もいるでしょうし、もっと余裕を持たせたいと感じる人もいると思います。
私の今回のレイアウトについては、用紙の組み合わせや製本の具合なども関係して、結果的に可読性に大きな問題がないという程度の一事例として考えていただければなと。

これも個人の感覚ですが、プリンセスノベルではオンデマンド特有のテカリはほとんど気になりませんでした。文字物だからというのもありますが、用紙との相性なのかけっこうマットです。

カラー本文もきれいです。
こういう演出ができるの、いいですね。

扉と5・6ページのみカラー




余談:市販文庫と比較してみる~背幅・重量~

中身ではなく「物体としての比較」です。
ここに三冊の文庫本があります。

手持ちの書籍で540ページ以上の文庫を用意しました。
今回、拙作と最もページ数が近いのは「書楼弔堂 破暁」の546ページです。
一般の書籍は前後に扉や白紙や広告ページが入ったり、どこからを1ページ目と見做すかが違ったりするので、厳密に「冊子状に製本されている紙の枚数」を総ページ数と断じることができないのですが、プラス10ページ程度は誤差の範囲に含めるものとします。

比較するのは背幅と重量です。
手で持ち上げつつページをめくって読むことの多い文庫本にとっては少なからず持ちやすさに関係する部分だと感じました。
「厚い・重いから机に置いて読む」「重いから開く気になれない」ということもあるかと思います。

なので市販されている文庫本と同人誌で手にかかる負担に大きな違いは生じるのか? と気になり、比較のために測ってみることにしました。

それぞれカバーを取った状態の背幅・重量で比較しています。また拙作のページ数は表紙まわり4ページ分を抜いた本文ページ数とします。

作品:ページ数/表紙背幅/重さ
試し刷り:500P/19.6mm/262g
拙作:540P/20mm/272g
書楼弔堂 破暁:546P/19mm/263g
その手を離すのは、私:589P/19mm/265g
掌の小説:656P/17mm/272g

表紙背幅は拙作が最厚、重量は最もページ数の多い「掌の小説」と同じ重さということが分かりました。

分かったから何だっていうと「市販文庫は薄く軽く作られている」んだなぁということです。
本文ページ数だけでなく製本の仕方や表紙用紙の種類も関わってくるとは思うのですが、同じページ数の同人誌よりずっと薄いし軽い。
わずか1ミリ、10グラム前後の違いでも、文庫というある程度決まった形においては無視できない差であるような気がします。

私の同人誌に関しては今回、ページ数が多いぶんだけ出来る限りスリムに仕上げようと試みました。大部分が印刷所さんのおかげではあるのですが、いい線までいったと思います。

ですが同時に、書店に流通している文庫本はさすがにすごいなぁと感じ入ってしまいますね。

個人の好みの集積である同人誌を市販のものとまったく同じつくりに仕上げることを是とするかどうかは個々人の感覚なので何とも言えませんが、いずれにせよ一般の出版物は読みやすく作られているんだなと再確認しました。

終わりに

今回の本作りについて振り返ると、まず「書くのはともかく見直しが大変だったなあ」という感想です。趣味のことなのであまり大変だ大変だと騒ぐつもりはないのですが、限られた余暇時間を割いて作業する上ではけっこうなボリューム感だったなあと。
ただどんな作業であれ基本的にいつも楽しくやっています。同人なので!

物体としての同人誌については、とにかく「いい感じに形になってよかった」に尽きます。私がやったことといえば原稿つくって紙を選んだくらいのもので、素材をお借りしたり印刷所さんのご尽力があったりで形あるものとして完成しました、ありがとうございます、の気持ちです。

マイペースな活動ですが、これからも楽しんで書いたりつくったりしていきたいです!

この記事が何らかの参考になりましたら幸いです。
お読みいただきありがとうございました。

追記:今回取り上げた同人誌はとらのあなさんに委託しています。ご興味がありましたら覗いてみてください。


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