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スプラで学ぶ経済学 「組織行動論」

今回は、スプラトゥーンを通じて経済学(厳密には今回は経営学)を学ぼうシリーズ第三弾です。
4:4のチームeスポーツであるスプラトゥーンの勝敗は個人の強さはさることながら「チームとしての強さ」によっても大きく左右されます。

そこで、このチームの強さをコントロールする力=マネジメント力(統率力)を、経営学の「組織論」を用いて解説してみたいと思います。

*「統率力」は「武力・知力理論」の「知力」に相当する部分と考えて頂いて大丈夫です。

1.組織論とは

経営学における組織論とは簡単に言うと「目的達成のために組織を効率よく運営する方法を考える学問」になります。
組織論の中身は大きく分けて「組織構造論」と「組織行動論」の2つに分かれます。

スプラトゥーンのチームマネジメントには後者の「組織行動論」を使いますが、実際に組織運営を行う際には組織構造論を最低限理解しておく必要が出てきますので、まずは組織構造論の基礎から解説したいと思います。

*「組織」の定義として「コミュニケーションが可能である」ことを前提とする考え方もあります。
この場合厳密には、コミュニケーション(通話)が不可の野良ガチマッチやペアリーグマッチ等においては「組織」ではなく「集団」となります。

スプラトゥーンの試合においてはルールも厳密に決まっており目的もハッキリしている中で様々な行動をすることになりますので「組織」として扱って特に問題はないと考えています。


2.組織運営の基本原則

組織運営の基本原則2

上記5項目は組織を作る際の基本原則と呼ばれるものです。

①専門化の原則

「専門化」とは「特定の業務に専念する事」を指します。
スプラトゥーンでいうと「持ち武器の長所を活かした戦い方を実践する」みたいな感じですね。

スプラの場合は4人組織という、いわゆる「小規模組織」なので100%専門化は事実上難しく、例えばローラーを持っていても塗りをしなければいけないタイミングはありますが、基本的にはキルを取る(=ローラーの長所)立ち回りを磨くことが推奨されます。

又、得意とされる業務(立ち回り)を反復練習することで習熟の効率化に繋がることも、専門化のメリットと言えます。


②権限責任一致の原則

権限責任一致の原則とは「組織を構成するメンバーに与えられる権限の大きさは、それと等量の責任を負わされなければならない」という原則です。
少し難しい表現になりましたが、じっくり考えて頂ければ何となくご理解頂けると思います。

スプラトゥーンでいうと、野良マッチングよりはチーム運営の際に当てはめて考えてもらえると良いと思います。

組織の運営を円滑に行うためには、非常に有効な原則です。


③命令統一性の原則

こちらもチーム運営の場面で使うことが多いかもしれません。
組織として統一性のある行動を維持するためには、特定の一人の上司(チームリーダー)からだけ命令(指示出し)を受けるようにしなければならない、というものです。

指示を受ける側が混乱することを避けることが狙いです。

本来、組織行動の統一性が保たれていれば、上司を一人に限定する必要はありません。
スプラにおいては、成熟されたチーム等は全員が各々の声掛けで連携が取れることもあるかと思います。
一方で、究極的にはそこからさらに一段階上のリーダー(的確な指示出し、指示出しの速さ、等を極めるプレイヤー)が出現した時、新時代のプレイスタイルとして注目を集めることになるかもしれませんね。

又、長期的な観点として、ウデマエ向上のために指導を受ける際は「一人の師匠に就く」ことを強くお勧めします。
現在ではYouTube等で攻略情報も多数ありますが、自分で動画を漁って参考にする場合も、極力数人の配信者、出来れば一人の配信者に絞って参考にしたほうが良いと思います。(網羅している範疇の問題がある為「ルール別で参考先を変える」くらいなら許容範囲だと思います)

*残りの④と⑤はスプラとの関連性が薄いため割愛します。
会社組織でいうと主に管理者クラス、社長さん等が考えなければいけないこと、です。
興味を持たれた方は是非ご自身で調べてみて下さい。


3.リーダーシップとマネジメント

ここから「組織行動論」になります。

当noteでは「マネジメント」という言葉をよく使いますが、似た表現として「リーダーシップ」という言葉もあり、混同されていることもしばしばです。

リーダーシップとマネジメント

表のように、リーダーシップとは基本的に長期的な視野に立った概念であり、一方マネジメントとは短期的な視野で行われるもの、となります。

組織運営においてリーダーシップとマネジメントは、どちらか一方だけではなく相互補完、すなわち両方をバランス良く実践することによってより有効的に作用する、と考えられています。

スプラトゥーンにおいて、リーダーシップはチーム運営には当然欠かせないスキルです。
一方、ガチマッチやナワバリバトル等の「1試合」に関しては、3分~5分間の「短期的な組織運営」になりますので、マネジメントスキルが大きく関わってくる、という事になります。


4.「マネジメント力」をどう活用するか

それでは、マネジメントスキルを実際にどう活用するかという話になりますが、例えば「立ち回り基礎」で記した編成の考え方や、編成を見て立ち回りを考えるという事が、マネジメント力を用いた戦い方の基本となります。

改めて引用してみますと、

・開幕時に味方のブキ編成(サブ、スペシャル含む)を考慮し、自分のポジショニングや打開、抑え状況での行動をある程度予測しておく

この時点で「短期的な計画の立案」と「人員配置」を行っています。

その後試合中に「実績管理・問題解決」を実践していきます。

具体的には、仮に「とにかく敵陣に突っ込んでいく前衛プレイヤー」が味方にいた場合、自身の役割として「前衛プレイヤーのカバー」の比重を上げたり、オブジェクト管理や自身のキルor生存意識の比重や優先順位を、試合中に適切に変更していく、ことになります。

又、自他に思考のクセがあることを前提に考えた上で、ソーシャルスタイル理論を合わせて考察・実践していくと、立ち回りでの試合への貢献度をより高められる可能性が増加していくと考えられます。


5.コンフリクトマネジメント

最後にコンフリクトマネジメントについて解説します。

「コンフリクト」は「葛藤、対立、紛争」と訳されます。
相対する態度や行動などから生まれる葛藤の事を指し、スプラにおいては試合中に「味方と噛み合わない」という葛藤はしばしば発生していると思われます。

コンフリクトというと否定的な側面のみに目が行きがちではあると思いますが、実際の組織運営において組織内の様々な見解の存在は、組織の活性化や新しい価値の創造に貢献することがある為、積極的に活用するような管理が望まれます。

スプラトゥーンにおいても、打開時にスペシャルを合わせる等、一定の「定石」のようなものも存在しますが、どうしてもそれに合わせてくれない味方に対して極力その良さを活かすように自身の立ち回りを変えて対応するほうが、マネジメントとしてはより理想的ということになります。
(結果として、いわゆる「ワンチャンが通った」になることも稀にあることは、想像に難くないと思います)

コンフリクトの解消には限界がありますが、時には自分の利得を捨て相手に譲ったり、適当なところで折り合いをつけられるよう模索したり、と試行錯誤しながらマネジメントを行うのがマネージャー(管理者)の仕事の一つ、という事です。

又、3項で解説した通りマネジメントスキルの相互補完としてリーダーシップのスキルも同時に活用したほうが、特にコンフリクトの解消には役立つ場面が多いと考えられます。

リーダーシップにつきましては、次回解説したいと思います。


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