【詩を紹介するマガジン】第8回、石垣りん
切り詰められた生活の切実さ、ただ「生きる」ことの圧倒的な重み、愛という言葉でコーティングされる人の醜さ。日常の残酷さから目を背けることのない人だ。石垣りん。いつか取り上げようと思っていたけど、気持ちに弾みがつかなかった。
紹介する詩を一本に絞ることができない。どれもこれも読んでいて「痛い」。その中でも以下の詩は、働くことを表現した一篇として最高峰だろう。
「貧しい町」
一日働いて帰ってくる、
家のちかくのお惣菜屋の店先きは
客もとだえて
売れ残りのてんぷらなどが
棚の上