恋と愛って、やっぱり違う

恋バナはいつでも鉄板の話題だ。ダッシュボードを見ると、ぶっちぎりで閲覧数が多いのが「恋は落ちるもの、愛は育むもの」。このときに書いたことは、基本、いまでも変わらずにそう信じている。

恋に落ちるのは運次第だけれど、愛は育てていくもの。両者が要求するスキルは全然違うから、燃え上がるのは得意でも長続きしない人もいれば、体温は低いけれど、長く関係性を築いていくのが向いている人もいる。

前者は運、後者は努力……と割り切っていいのかわからないけれど、恋の盛り上がりだけじゃ愛は続かない。

二つが並べられた「恋愛」という語が日本に現れたのは明治時代だったか。これは意外に新しい言葉で、江戸時代は「色」という豊かな言葉で言い表された。いまでも「色っぽい」「色目を使う」などの表現で使われ、恋愛をほのめかせる。

愛の国フランスの言葉「アムール(amour)」は、「恋」「愛情」「恋愛」などをまとめて意味するので、愛と恋の区別、あちらの国はそんなにないのかもしれない。

「愛が生まれる(l’amour naît)」「愛をかき立てる(inspirer l’amour)」「愛が深まる(l’amour grandit)」などの表現があるのを見ていると「アムール」が生まれたり深まったりするのであって、そこに「恋」「愛」を分ける思想はなさそうだ。

うん、連続的なものとして捉えることもできる。それはそれで間違っていないし、そもそも間違っているとか合っているとかはないのだけど、私はやっぱり、両者は別のものであるように思う。連続してはいるけれど、赤がだんだん紫になって青になっていくように、最初と最後の姿がまったく別のものであるような何か。

 

本を買ったり、勉強したりするのに使っています。最近、買ったのはフーコー『言葉と物』(仏語版)。