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大人になって読むノンタン

最近家事をサボりまくっている。梅雨入り前などは、倦怠感がひどくやる気も出ないので、一週間ぐらい洗濯ものをたたまない日々を過ごしていた。

例の「しない家事」ではなくもうただ「家事しない」状態。

洗濯物をたたまなくたって、別に誰も困りはしなかった。乾いたと思ったら、洗濯ばさみからはずして、居間に適当に積んでおく。着るものは山から引っ張り出して着た。そんな中、娘は「ノンタンのぱっぱらぱなし」を本棚から持って来る。

内容はノンタンが友達の家に遊びに行って、しこたま散らかすのでひんしゅくを買うという絵本だ。娘が読めというからには読むしかない。娘を膝にのせ、絵本を開く。目の端に散らかしっぱなしのぬいぐるみと、夫の穴の開いた黒いくつしたが見える。

「ノンタンはいけないんだ。ぱっぱらぱなしはいけないんだ。」
「ぱっぱらぱなしはいけないんだよ かたづけてよ」

耳が痛い本だ。私が買ったのではない。これは義母が送ってきたものだった。夫が子供のころ読んでいた絵本を引っ越し用ダンボール4箱ほど貰ったが、私とは好みが合わず、何かと説教臭い本が多かった。きっと自分の子供のものだから、自分では捨てることができなかったんだろう。「ねないこだれだ」とか入ってて、読んだけど怖い本だった。面白くなかった本は隠しておいたのに、娘が見つけて引っ張り出してしまったのだった。娘はなんでか気に入って読んでいる。

夫がかつて気に入っていたという変な絵本も沢山あった。彼は本当に変なものが好きだ。チャージマン研とか、プロゴルファー猿とか。彼の育ててる植物もちょっと変わってる。もしかして私がちょっと変だから結婚したのかもしれない。

娘も夫も私とは違う人間なので、好みはやはり違う。今は私が絵本とか選んでるけど、彼女の日本語が上手くなったら本人に選ばせてやりたい。

まるで面白くない義母チョイスの絵本の中、ノンタンは小さいころ私も嗜んでいたので、棚民権を得たのだった。実家にあった、ノンタンのクリスマスの話と、クッキーを焼く話が私は好きだった。娘の出産祝いに図書カードをくれた方がいたので、そのカードでピクニックの話を買った。内容はわりと滅茶苦茶だけど娘は気に入っている。

あとノンタンがなんでも食べて大きくなって宇宙へ行く話もある。これは父が娘に買ってくれた。こちらもかなり滅茶苦茶な本だけど、娘は気に入っているようだ。ノンタンてこんなにメチャクチャな話だったっけ?と思う。年を取った作家の作風がなんだか変になっていってしまうのは、よくある話だと思う。あるいは私の頭が大人になってしまったので楽しめないのかもしれない。

父がこの絵本を持って来てくれた時、彼はノンタンの絵本裁判の話をした。ノンタンの作者夫婦が権利を巡って裁判になったという話だ。私はそのことを全く知らなかったので、「へ~」という感じだった。夫婦仲良く作り上げた絵本ではなく、権利を巡って泥沼の争いを繰り広げたというのも、なかなか人間らしいなと思う。

これを書いている今も、居間は散らかってるし、シンクには皿が積んである。でも別に誰も困ってないみたいだ。ご飯は昨日作った肉じゃがをチンして食べた。娘は「ンフフ、オイシイネェ~」と言いながらパクパク食べていた。かわいい。朝の倦怠感はひどいし、なんだか眠いし、やる気もまるで出ない。

気圧が安定するまで頑張らないことに決めた。

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