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図書館からのクリスマスプレゼント

 Special Book Listというシートが図書館から届いた。選書リストである。
 上の写真の「選書結果」の下欄には、「選書担当からあなたへのメッセージ」がある。

お好きな本として『xxxxx』や『yyyyy』を選ばれていたので、職人の方の話に興味をお持ちかなと思い、1冊目は翻訳・校正にも関わりがありそうな、本をつくる工程の仕事をされている方たちのお話をまとめた本です。身近な仕事の方のお話かもしれませんが、同じ本を違う作業でつくりあげるチームのような親近感をもっていただけるかなと選びました。

選書リストの「メッセージ」より転記(『xxxxx』や『yyyyy』は実際の書籍名)

 このように、なぜこの本を選んだかという理由が1冊ずつ7冊分、12行にわたって詳細に記してある。
 選ばれた7冊の本は、どれも読んだことがない。また、自分では知らなかった本なのに「あっ、これはわたしに合っているに違いない」という本ばかり。これが選書リストをもらう楽しさである。
 この企画を知ったのは3か月前。市立図書館に行くと「大人のためのクリスマスプレゼント」と題したポスターが貼ってある。
 当該期間中にレファレンスカウンターに「オーダーシート」を取りに行く。記入して提出すると、先着数十人が2か月後に選書リストをもらえるというものだった。
 図書館から徒歩5分の場所に住んでいるわたしがこの機会を利用しない手はない。当該日の開館時間ぴったりにシートを取りにいった。
 「オーダーシート」を受け取ると、A4で4ページある。好きな作家、子どものとき好きだった本、最近読んでよかった本、余暇に何をしているか、自分の性格について思うこと、現在の自分が考えていることなどを書く欄がみっしり並んでいる。
 思っていたよりもずっと書く分量が多いので、いったん自宅に戻った。子ども時代を思い出したり、いまの自分の思考回路を辿ったりして記入を終えたら90分も経っていた。
 すぐに、再度図書館まで行って提出した。徒歩5分の距離なので、こういうことが気軽にできる。カウンターでオーダーシートを差し出すと「選書引き換えシート」をもらった。
 No.5とあるので5番目だったのだろう。もちろん人数の枠内には入れたが、「A4のシート4枚を埋めて90分後に出すというのは、かなり早い方の順番であるはず」と思っていた。もしかしたら自分が最初なのではないか、と。
 しかし我が市内にはわたしの上をゆく強者が4人もいたのだ。この企画を心待ちにしていた人がこんなにいたなんて。
 さて、その日から選書リストを受け取るまで2か月ある。手帳に日程を記して指折り数えて待っていた。
 いよいよ受取日が来た。レファレンスカウンターで引換シートを出してもらってきた選書リストがトップ画像だ。↓ にも記す。

1 『「本をつくる」という仕事』稲泉連
2 『柚木沙弥郎のことば』柚木沙弥郎・熱田千鶴
3 『昭和の品格 クラシックホテルの秘密』山口由美
4 『パリ音楽散歩』フジコ・ヘミング
5 『ときどき旅に出るカフェ』近藤史恵
6 『 ひとりだから楽しい仕事』クォン ナミ
7 『嘘つきのための辞書』エリー・ウィリアムズ

「選書結果」より

 校正、翻訳、文章を書くこと、フリーランス、内向型、クラシック音楽といったキーワードからこれらの本を選んでくれたのだと思うが、どれもこれも、まるでわたしのためにあるような本である。とくに6は、人嫌いでいわゆる「陰キャ」のわたしがこの本の存在を知らなかったのが不思議なくらい。
 そして、リストの下には先述のように「メッセージ(選書理由)が詳細に書かれていた。デザインも素敵で、まるでクリスマスカードである。
 喜び勇んで、選書リストの本を図書館で検索したところ、現在開架書庫に並んでいる、すぐに借りられる本は7冊中2冊あった。
 すぐに全部読んでしまうのはもったいない。2冊ならちょうどよいね。というわけで借りて帰り、楽しみに読むこととした。本の感想はまたここに投稿していく予定である。
 我が市には、こんな素敵な図書館があるのだ。来年もこのサービスがあるなら、自分は遠慮して他の市民に権利を譲ろう。そう思っている。

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