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【CEOブログ】君たちはどう生きるか、を観た。

行ってきた。

この作品が話題になった初めの頃は、あまり見にいく気持ちがなかった。広報をしない、というポイントが話題になっていたので、「ジブリの最新作」くらいにしか認識していなかった。(そう言えば最近、広報しなかった話なんか聞かなくなったよね。作品に力があるんだろうね。すげぇ)

何を隠そう、私はジブリにそんなに心踊ったことがないのである。そもそもアニメより実写派で、映画よりドラマ派な私。
ジブリはなかなか、自分の中心に入って来ない存在だった。

でも、何かの拍子に見たレビューで少し気持ちが変わってきた。
ざっくり言うと「これは、いろんな作品を作ってきた宮崎監督の、アニメにおける功罪の自覚、そして自己矛盾による葛藤を世に出したものなのだ」という話。
アニメで世界をよくしたいと願いつつ、アニメに変えられない世界にも直面していて、とか、親孝行はマザコンの性質からだったり空を飛ぶという夢が戦闘機(=戦争)に繋がっていたり、そんな矛盾だらけの葛藤に、真正面から向き合った作品だ。というレビュー

これを読んだ時、私は思った。
宮崎駿は芸術家で
「君たちはどう生きるか」は芸術作品なんだ、
と。

いや、当たり前に芸術作品なんだけど、ここでいいたい芸術は「大項目:芸術 のなかにある小項目:芸術」みたいな感覚。他の小項目は、エンタメとか、Popsとか(?)
例えば、ディズニー映画は多くのお客さんに楽しんでもらうことを目的に、多くのクリエイターがその力を集約させて作っていると思う。だから最終的には固定の誰かの作品というものではなくなる。ゲームとか、ドラマとか、アイドルの曲とか、コンサートとかもそんな感じ。誰かを楽しませるためにいろんな人が力を合わせて作る芸術(大項目)。
これと対比なのは、ベートーベンとか、ゴッホとか、谷川俊太郎とか。個人的な感情や溢れ出る感性を作品として表現してるもの。個人の思いが溢れてて、何かを社会に提示したくて、形にした芸術(大項目)

うーん、なんか書いてて、どっちにもどっちの要素があるし、一概に言えないなって冷静に思うんだけど、なんかそのレビューを見た時は、宮崎駿が、あふれんばかりの才能と80年という人生の果てに、今どうしても伝えたいことがあるんだな、と強く思ったんだよ。それを、「芸術家なんだ」という言葉で私は認識したってこと。

圧倒的な才能があって、さまざまな経験も経て、今の世界に伝えたいこと。それを、今同じ時代に生きてみることができるんだ。数年後、数十年後に「あの時代はこんな感じで、駿がここを憂いてこの作品をどーのこーの」なんて解説されたものを学ぶ、とかではなく、今、そのまま受け取ることができる。

これは、見なくてはならない。
多分、おそらく私にはわからないだろうけど。そんなにアニメからメッセージをありありと受け取れるような感性は育ってないんだけど。
行かなくてはならない、と思った。


こんな時思い出すことがある。
高校の現国の授業で「こころ」を扱った時。

まずは読んでくるという宿題を済ませた最初の授業で、担当の先生が聞いた。「この話を、面白くないと思った人は手を挙げて」と。
クラス30人の中で4~5人が手を挙げた。何を隠そう私もその1人。

その様子を見ながら先生が続けた。
「人はそれぞれ感性を持っているので、面白くないという評価を下すことは否定しない。でもこのこころは、多くの人に評価されて、100年も前に書かれたのにいまだに読み継がれている。こうして教科書の題材にもなっている作品です。てことはきっと、この作品は間違いなく面白いものだと思わない?
その作品をつまらないって思ったのは、自分がこの面白さを理解するだけの素養がないって可能性が高いよね。」

私は本当にそうだな、と思った。
多分、当時は恥ずかしさから不貞腐れたりしていたと思うけど、でも、今もまだ心に残っていて、なにかこう、新しいものに批判が集まっている時とか、自分には全然ヒットしないものに出会った時に思い出す。

この事実を、高校生の自分にストレートに伝えてくれたことは本当にありがたかったな、と思う。

じゃあどうするかってことではない。「これがいい作品だ」と思えってことじゃない。
でも、「自分に素養がないだけの可能性がある」と知っているだけで、見える世界もその後の行動も変わってくる。私は「宮崎駿はもうおちぶれた」なんて恥ずかしくて絶対に言えないし、都合よく「いい話なんだろうな」というレッテルを持って見にいくことができる。自分の世界は大きく変わっている。

実際に見に行った。

でも。
・ここからメッセージを受け取るぞ!
・いろんな作品のオマージュがあるらしい、意味を見出すぞ!
と、肩ぶん回して気合い入れて見に行ってしまった。


・これはナウシカに出てきた石だ
・あ、この絵、ハウルで出てきたんだっけ、ポニョだっけ?
・あれはナウシカのお化けだね
・千と千尋の紙の人形だ

・・・。
・・・。
・・・。

だからなに!!!!!!!!

終わった時になんっも思ってない笑
いや、面白かったなとは本当に思ったけど、なんか、その他感想がうっすい笑。心がそんなに動いてない。

ジブリの素養ほとんどないのに。
そもそも感性が育ってないって思ってるのに。
できないことを自覚しすぎてできないこと一生懸命するという大ミスを犯した笑。人間は愚かで愛おしい笑。

というわけで2回目参戦

シンプルに。自分として。楽しみに向かう。

いろんなキャラクターが出てきた。
それぞれがそれぞれの世界で生きていた。

気持ち悪いと思うキャラクターと、魅力的に見えるキャラクターと、いた。でも多くは、この世界にいる人間の何かの象徴だと思った。
自分はどんなキャラクターとしてこの世界を生きたいのか、今誰として生きているのか。そんなことを思った。

(これ以上はネタバレになるのでこの辺で)


「君たちはどう生きるか」は、その映画の内容以上に、出会い、考え、行動して感じる。そんな一連のことが私にとって体験だった。そんなことを成し遂げてしまう宮崎駿(及び映画制作に関わるスタッフのみなさま)に脱帽である。

まあ、中身はやっぱり難しかったけど!笑

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