スピアーレ

内面は前向きに呼吸しながら、環境を思い、環境をよくしようと活発です。齢を重ねていますが…

スピアーレ

内面は前向きに呼吸しながら、環境を思い、環境をよくしようと活発です。齢を重ねていますが、まだまだこれからの元気でいっぱいです。どうぞよろしく。

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自己紹介に代えて

幼少の頃から、職人さんの仕事は私をとりこにした。下校の途中、たとえば鍛冶屋さんを見ると立ち止まり、じっと見入って飽きずに時をすごす。働く大人は、私の未来を描くかがみだった。 「ぼんぼん、はよう帰らんと、母ちゃんが心配するぞ」 いつも、そう声をかけられたものである。 そんな私は 親に負担をかけまいと、早く働く人間になりたくて、当時、競争率の高い名門の工業高校を選択。 卒業後は、大手総合化学メーカーに入社。 「あとは出世コースで、安心だな」と、周囲は祝ってくれたのだが… 大企業

    • 人影に魅されて(2/2)

      ❞人影に魅されて❞(2/2) ふたりは、白いさん橋から島の周囲に沿う小道にもどり、集落の先に進んでみることにした。   「まただれかと出会うのかしら?」 ルビンが尋ねると 「そうだね。道がつづくということは、きっとだれかに会えるさ」 そういうと、セマンは上空から見下ろすことにした。 大きな広場があって、古びてはいるが大きな建物がみえた。屋根は瓦。まわりに民家もちらほら目につく。 (人がいそうだ) セマンは下降した。 そこは小学校だった。 一つ

      • GW お気をつけて

        GWはいかがお過ごしですか。 当方、普段は諸々多忙のなかにあります。 少しばかり安静にしておきたいと思います。 楽しい休暇の段、どうぞお気をつけて。

        • 人影に魅されて(1/2)

          ❞人影に魅されて❞(1/2) もえぎの島に帰りついた。 セマンが、 「これは、人の歩く道だよ。この島で生活する人や、この山の緑やきれいな空気で英気を養うためにくる人も、ここを通るんだ」 というと、ルビンは、 「どんな人たちなんだろう。だれかに会えるといいなあ」   するとセマンは、 「じゃあ、もうすこし待っててね。そうすれば会えるから。こんどは、まえだとか、左だとかはいわないからね」 曲がりくねった山道をくだり終わると、海岸ぞいの道路につながってい

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        自己紹介に代えて

          空と海の気(2/2)

          ❞空と海の気❞(2/2) ルビンは、はじめて水面近い潮風をうけながら、空と海の気を浴びていた。 「またまた気をもらってま~す」 と、海のかおりで満喫するルビンをみて、セマンは、連れてきてあげたことに安堵の胸をなで下ろしていた。 「海って、どう?」 ときくと、 「なーんにもいらない。一生ここでこうしていたい」 よほど満足しているとみえる。 「この海は、だんだん深くなっていくんだ。魚もいるけれど、ほかにイルカやクジラなどにもお目にかかれるよ

          空と海の気(2/2)

          空と海の気(1/2)

          ❞空と海の気❞(1/2) ルビンは、夢のなかで、もうひとつの眠りにはいっていた。 もえぎの島の静寂を破るように、第三者が登場した。 ぴーひょろろー。ぴーひょろろー。 陽気に満ちた明るい上空には、トンビが意気天をつく風格で上昇気流にのり、大きく翼を広げ、ゆっくりと八の字を描いて舞う。万物に気をとどけるような鳴き声で、遠くにとおくに呼びかける。 ぴーひょろろー。 ルビンは、新しい感覚を味わっていた。 「あれって、何?」 セマンにきくと 「トンビっていう

          空と海の気(1/2)

          ルビンの夢路(2/2)

          ❞ルビンの夢路❞(2/2) どんな野の花が咲いているのか、セマンはゆっくり俯瞰して案内することにした。 「わあー、きれいだあ!」 ルビンにははじめての世界である。 視線をつかまえるように迫ってきたのは、明るい黄色が一面に広がる菜の花の草原だった。 その一帯を越えると、日陰の崖っぷちには、白い小さな花を抱えて、沢山のナズナが開花期の終わりを告げている。 再び平地を進めば、シロツメグサも敷きつめられている。 草原の自然は花だけではなく、風に波打

          ルビンの夢路(2/2)

          ルビンの夢路(1/2)

          ❞ルビンの夢路❞(1/2) 機は熟した。 セマンは、このままルビンをべつの夢路にさそうのである。 「ねえねえ、どこへいくの?」 「夢を見にゆくんだよ。楽しみにしててね」 それをきいても、ルビンには、なんのことだかよくわからない。それより、セマンのささやくような声が、ルビンの深い眠りをさそう。 ふたりは、すでに最初の夢路に向かっていた。それは、ある小さな島の細道を、地面すれすれに飛んでいるところであった。 ルビンは、どきどきわくわくしながらセマンの翼

          ルビンの夢路(1/2)

          こころの古里(2/2)

          ❞こころの古里❞(2/2) 「セマン。人は森をでてよかったの?」 と、ルビンは人のことが気になった。 「森でがんばってみたけど、人(ヒト)は猿(サル)とちがうから、どうしてもなかよく暮らせなかったんだ。木を一気にかけ登ることも、枝の先から先に飛び移ることも。 自分たちが暮らすには、土をふんで歩く平地のほうが自由だと考えたんだね」 ルビンは、もっと知りたかった。 「人は、どのように生きるつもりだったの?」 セマンは、またもおもむろに語りはじめる。

          こころの古里(2/2)

          こころの古里(1/2)

          ❞こころの古里❞(1/2) ルビンの光は、ルビンのこころである。 ルビンは光、ルビンはこころ。 その「生まれたてのこころ」に、ふたつのはたらきがある。 ひとつには、喜怒哀楽を表現する“感情”がある。 それは、顔色によってつたわる。 ふたつには、物事に挑もうとする“意志”がある。 それは、何かをやり遂げようとする意欲をもつ。 そのふたつで成長したこころには、もうひとつ加わる。 それが、知行合一につとめようとする“知恵”である。 いろいろなことを学び、何か

          こころの古里(1/2)

          出会い(2/2)

          ❞出会い❞(2/2) セマンは、小さなトンボに似た薄羽蜉蝣(うすばかげろう)を思い出していた。 一般的にも生態系の食物連鎖は、よくその本質を説明し、誤解なきよう学ばなくては、人は消化不良によって、ことをし損じかねない。 たとえばうすばかげろう。 その幼虫の生き方を知ると、生態系にまつわる“摂理や尊厳性”の理解をふかめざるをえない。 かげろうの幼虫を、日本人はアリジゴクとよぶ。 体長十㍉くらいのかれは かわいた砂場をじんどり、うしろ足で砂つぶをけ

          出会い(2/2)

          出会い(1/2)

          ❞出会い❞(1/2) 暗い洞窟のなかとはいえ、いまは、さながら広大な宇宙空間をさすらっている気分であり、セマンには、ここが雲ひとつないそうかいな青空にさえ感じていた。 しばらくはそんな旋回をつづけながら、ひとりの時間にひたっている。ゆっくりと洞窟の奥に離れては、また、ゆっくりともとの場所に返ってくる。 そのときである。 (きた!) 洞窟ぜんたいを明るくするような閃光が走った。 セマンの翼に、まちがいなく何かが舞いこむ気配がした。 衝撃を感じたわ

          出会い(1/2)

          透明の翼(2/2)

           ❞透明の翼❞(2/2) なんと、広げた翼の羽根の先端部分を、器用にこすりあわせるようにして音声をつくりだすと、それがことばになるのである。 自分をいのちだ、と、いまはだれかにかけたことばでもなく、羽根のまさつによって、そういう音声が自然に発声できたというだけである。だがその瞬間、セマンは、自分がいのちであると思うこともできたのである。 つまり、はじめに自覚をうながす、セマンの発声練習であったのだ。 セマンはいのちという、たんに抽象の翼であった。抽象という、それは大きな

          透明の翼(2/2)

          透明の翼(1/2)

           ❞透明の翼❞(1/2) ワープでおり立った。 (どこなんだ?) あたりは闇につつまれている。  セマンは、気を失っていた。 ワープのショックが、大きかったのだ。 いまどんな世界にいるのか知りたかったが、それよりも、セマンのからだが自由をうばわれている。着地したときに思い切り投げ出されたまま、まだ動けない。 あたりの地形がどうなっているのかすら見当がつかない。 からだを起こそうとしたが、地面は水をふくんですべりやすい。そこは岩肌のような感触でもあった。 (からだがぬれてし

          透明の翼(1/2)

          鳥たちはホントにいいなぁ

          鳥という生き物は じつに羨ましい つばさをもって 三次元を行き来する 羽ばたきもすれば 上昇気流にも乗れる はたまた 翼一つで自由に旋回もする 梢の先に軽々と降り立って 人間の手の届かぬ空間を自由にできる いまだに 鳥の気分になった夢をみるが 現実のように飛んではいても 目が覚める 鳥であれば もっと幸せになっただろうに、と そう思うことって よくあるんだな~

          鳥たちはホントにいいなぁ

          大空もさくらも 綺麗なことよ

          年に一度のこんなさくらを 大事に味わわなくて どうしますか、ねぇ。 さくらのころは 花冷えや雨風がお決まりで そんな皮肉な巡り合わせもあるけれど それもまた 浮世のならいというもので 人間だからの 荒波さざ波、それは自然体。 空も水も 優しいときもあり厳しいときもある 優しさばかり求めても それはあり得ない。 みんながそれを知っているから 天気のよい日が 綺麗で嬉しいもので…。

          大空もさくらも 綺麗なことよ