強弱入り交じる米経済指標、利下げの行方は

米国株式市場はほぼ横ばいで終了した。朝方発表された米経済指標が強弱入り混じる内容となる中、連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長が23日にジャクソンホールで行う講演に注目が集まっている。

FRB内でも見解不一致

パウエル議長は、FRB内に見られる金融政策を巡る見解の不一致に加え、利下げに向けた政治的圧力、景気後退の前兆とされる長短金利差逆転の動きといった向かい風の板ばさみとなる中、7月の利下げが「サイクル半ばの調整」というスタンスを堅持する公算が大きいとみられている。
こうした中、金融当局者の発言では、カンザスシティー地区連銀のジョージ総裁とフィラデルフィア地区連銀のハーカー総裁が、現時点で追加利下げの必要はないという考えを表明。
FRB内で世界的な景気減速への対応を巡る見解の相違が改めて浮き彫りになった。

強弱入り交じる米経済指標

17日終了週の新規失業保険申請件数は前週比1万2000件減の20万9000件と、市場予想を超える減少となり、労働市場は底堅さを保っていることを示した。
一方、8月の米製造業購買担当者景気指数(PMI)速報値は、約10年ぶりに初めて好不況の分岐点となる50を割り込んだ。

ブルーダーマン・アセットマネジメントの主任市場ストラテジスト、オリバー・パーシュ氏は「PMIの50割れはやや予想外だったものの、新規失業保険申請は底堅い内容で、経済が深刻な景気後退(リセッション)に陥るとは想定していない」と述べた。

統括

これまで一人勝ちだった米国も徐々に経済指標が軟化し始めた。

この状況をパウエル議長はどう捉えているか。
23日の講演に注目が集まっている。

これまでの傾向から、リセッションの兆候が見られれば直ちに対策する、というハト派発言となると予想する。

マイナス面に敏感な現在の市場に過激なタカ派発言が飛ぶと、市場は混乱に陥る。
これは避けたいと、誰もが思うだろう。

但し、7月のFOMCでは、追加利下げに積極的でない発言をしたため、米市場は下落に転じ、パウエル議長は市場との対話が下手である、という評価もある。

いずれにせよ、次の本命は9月のFOMCであり、23日の講演はその前哨戦に過ぎない。

週末にG7も控えており、貿易戦争、EU離脱などの世界的課題に対してポジティブな発言がなされると予想します。

出展

ロイター 8/23 トランプ大統領、米経済は堅調と強調 指標は強弱混合も

ロイター 8/23 米株横ばい、23日のFRB議長講演に注目