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小説とか映画とか音楽とかアニメとか

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"神様"とドキドキ文芸部!、NEEDY GIRL OVERDOSE、ミッドナイト・ゴスペル、スローターハウス5

突然だがこの世界には何びとにも侵すことのできない崇高な精神があって、それは神様に似ているがまったく別物として存在している。いや、人間の社会的機能としての観点から見ればその二つは同様のもの、月と太陽が地上から見れば同じ大きさに見えるように、人間を明るく照らし出す存在である。 そもそも神様ってなんだ?神という概念に馴染みのない人はここで躓いてしまう。聖書的な"つまずき"ではなく、単純に知らないという意味で躓いてしまうのだ。わからない人には本当にわからない。納豆が嫌いな人が納豆の

    • 今敏の映画の世界①

      「だって私、あの人を追いかけてる私が好きなんだもの」 この映画が傑作たる所以は、この映画には確固たる現在というものが存在せず、過去と未来が並行して存在できてしまっている点にあるだろう。  映画自体が千代子の全生涯と一体化しており、幼い千代子の視点は年老いた千代子の視点と何も変わらず、つまり何も成長しておらず、一人の男を追いかける場面がデジャブのように、巧みな編集で繰り返されるのである。  世界観が最も古い時代の日本から、果ては月を出発する宇宙船の登場するSF的な場面まで、あら

      • 『ドキドキ文芸部!』とは何だったのか

        はじめに この記事は『ドキドキ文芸部!』スペシャルエンディングのネタバレを含む。  大きく分けて二つの解釈について説明する。  確か、4年ほど前にプレイして、最近またプレイする機会があり、非常に多くの発見があったので、『ドキドキ文芸部プラス!』も購入しプレイした。  ちなみに、他の方の考察記事などは一切読んでいない。そのため、二番煎じの可能性も全然ある。 ①メタフィクション的解釈  この①の解釈は、「モニカや文芸部の生徒たちがゲームのキャラクターでしかない」、という考えに基

        • 僕たちは「何者かになれる」のか

           「RE:cycle of the PENGUINDRUM」を劇場へ見に行った。アニメ放送版は一回しか見たことがないし、上手い感想ならほかにいくらでもある。ここでは若者の視点から意見を書いてみたい。 輝かしい未来  宮台真司著「終わりなき日常を生きろ」で、徹底的に述べられていたのは「輝かしい未来」の来ない、日常に支配された未来だった。これは1995年の本である。今ではどうか。  最近ではWeb3.0やメタバース、AIなど、テクノロジー分野で期待が高まっているようである。メ

        "神様"とドキドキ文芸部!、NEEDY GIRL OVERDOSE、ミッドナイト・ゴスペル、スローターハウス5

          『アルファヴィル』(1965)とシュルレアリスム

           プールの淵に立つ死刑囚。執行者によって銃殺され、水に沈んでゆく死刑囚。女たちが一斉にプールへと飛び込んでゆく。ナイフを片手に。とどめを刺すように、彼女たちはナイフを死刑囚の体へ突き立ててゆく。それを見て拍手を浴びせる科学者。  死刑囚はみな詩人であり、画家であり、つまりは芸術家であった。彼らは涙を流した、それだけの理由で死刑を宣告された。「当然だわ。彼らは涙を流した」女はただ淡々と語っていた。 僕がこの映画を知るきっかけ  この映画を知ったきっかけは『攻殻機動隊 S.A

          『アルファヴィル』(1965)とシュルレアリスム