僕がこうして日々の生活を送るのと同時に、世界中の人も思い思いの1日を過ごしている。

至極当たり前のことなんだけれど、こうやって考えると、なんだか不思議な気分になる。

「今この瞬間に、皆は何をして過ごしているんだろう？」

そんな時に僕は、ライブカメラを見ることにしている。ライブカメラの情報をまとめた数あるサイトのなかでも、全国47都道府県を網羅した「カメ探」っていうサイトがお気に入りだ。

道路・海・街・山・空港・鉄道・スキー場・夜景などのジャンルのなかから、好きなものが選べる。なかでも、僕が一番好きなのは「街」だ。

「街」は主に、商店街や駅前の通りを撮影しているものが多い。学校帰りと思（おぼ）しき小学生のグループや、スーツをビシッと着こなしたサラリーマン、買い物袋を片手にゆっくりと歩く主婦…。

老若男女を問わずいろんな人が往来する様子を、パソコンのモニター越しに眺めながら、コーヒーを一口すする。

僕がこうしてパソコンに向かっているまさにこの時に、別の場所で生活している人がいる。僕が知らないどこかの地域で、めいめいの時間が流れていく…。

そんな当たり前を改めて考えると、物悲しいような、嬉しいような、ちょっと言葉にできない複雑な感情になっちゃうんだ。

その感情に浸りたいがため、僕はライブカメラ越しの景色を眺めるのかもしれないな。

だから今日も、僕は他人の営為を垣間見るのだ。