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「ナナロク社 あたらしい歌集選考会」用

 2023年12月12日が応募締め切りの第3回「ナナロク社 あたらしい歌集選考会」に応募しようと思うので、過去に詠んだ短歌を集めてみた。
 以下の過去作を「抜粋・編集・改作」していくつかの章立てをしてみようと思う。未発表のもあるし新作も作ろだろうから、ひとまず60〜80首くらいの構成で。
 今の所、漠然としかテーマを決めてないので、そっちを決めたほうがいいか。

 いざやろうと決めたら、やることいっぱいだな。。。

【既発表】現在245首(Twitter・うたの日・ヨミアウなど)

  1. くす玉に満たされないが満ち満ちてくだらないパーティーが始まる

  2. 童貞のくせに真珠を三つ入れ息も吸わずに握る金槌

  3. 靴下の中で死んでたゴキブリに気づかず履いて生きていた今日

  4. ワイパーがかき集めてく街頭の光を吸った滴は散った

  5. はらわたを入水させゆくバスタブで今日を殺して水に流した

  6. 延々と回り続ける換気扇せまくて窓がない洗面所

  7. ブラインド下ろし忘れに気がついてガラスが光るひとりの事務所

  8. 影のない道を駆けてく月はただ満ちて欠けてく未知へのレール

  9. 蜘蛛は逝きその巣にかかる虫も逝く煙を吐いてただ見てるだけ

  10. 雨ざらし規則正しい幾何学のフェンスの網目流れるしずく

  11. 「普通って理想の別の言いかたね。」どこにでもあるドラマを観てる

  12. 「いやキミは、星みたいだね。いやホント、星みたいだね。すごく浮いてる。」

  13. にんじんは柔らかくなり、卵なら固くなるでしょ。あなたを茹でる。

  14. ほしひとつ見えない道をワンマンでリズムを刻む鳴れCONVERSE

  15. 消えていく音と知りつつ冷えきった石炭を焼べ銀河にポッポー

  16. 蝙蝠は笑わせようとハリキッて滑舌気にして出す超音波

  17. 神・仏・悪魔・悪霊・クリーチャー・妖怪たぶん全部持ってる

  18. ジャバチップフラペチーノのグランデでメトホルミンとトラゼンタ錠

  19. まんまるの優美な石をつまみあげ裏の汚れが不快で捨てた

  20. あめちゃんをお地蔵さんにひとつずつ手放していく練習をする

  21. ビリビリの迷子の犬の張り紙が電信柱で揺れるペロペロ

  22. しめやかにこれまでつなぎとめていた落ちたボタンが転がっていく

  23. 花束をゴミステーションへと運び拾った瓶にペンを一本

  24. 模範囚だったのでしょうスクワレタ魚は浮かび刑期を終えた

  25. 上流で放水されるサイレンがわたしに雨は降ってないのに

  26. 既読無視 電線のない電柱が等間隔で立ち尽くす星

  27. ワイパーがかき集めてく街頭の光を吸った滴は散った

  28. 完璧な間違いだったなにひとつ偽りがない夢に住む嘘

  29. 描けるのは影しかないと諦めてひかりをうつす鉛筆をとる

  30. やみくもはみるみるうちに 轟音が光より凄まじい揺さぶり

  31. 真夜中の水面 誰もみていない蛇口から垂れていく水滴

  32. 頼りないシャーペンの芯 なにもない荒野に建てる一本の塔

  33. わからないことをわからぬままにして無意味の意味と無価値の価値を

  34. 休憩の雨宿りだと居座ってシーラカンスが目の中に住む

  35. 行き止まり漂いふわり息詰まりダマしダマし生きてく魂

  36. 飛び乗ったタイムマシーンで行った先むなしいだけのむかしの話

  37. 待ってるの?いってしまった乗るはずのバスが去っても?明日・明後日も?

  38. 去っていく明るいだけの太陽と救急車のサイレンの記憶

  39. 同調の圧力鍋の中にいる自身も膨らみ上げてる気圧

  40. 条例で禁止されてはいるけれど貰って枯れた花を燃やした

  41. 正解は全て知ることではなくて対話したいや愛やDESIRE

  42. 烙印を自ら押した決意とか関係のない生きてる証

  43. この後の歌は飛ばしてかまわない 基本的人権の尊重

  44. 〝私って褒めれば伸びる〟と言う人を褒めたら俺の鼻が伸びてく

  45. 〝私ってサバサバしてる〟と言う人が鯖より早く腐って臭い

  46. 絶対に押すな押すなと言いながら「かわいくないしぃ」「そんなことないぃ」

  47. 問題です!!「なんでもいいよ」と言う人の〝なんでも〟の意味 知ってるか君?

  48. 「センスいい!!」と言ってくれるあなたにはセンスがかけらもないから言うな

  49. だいたいは〝要するに……〟って言う人の話は長い。要するにバカ。

  50. クネクネとこんな大人になりました皮膚は透けてる瓶じゃないのだ

  51. 僕だけがいつでもいける屋上の南京錠が壊れた扉

  52. 暗闇でリモコン探しテレビ付け蛍光灯が切れて三日目

  53. 咲き誇れ!!金持ち逃げし捕まった幼馴染の家の朝顔

  54. 肥溜めにハミングしつつダイブするもうインチキはしたくないので

  55. 偏差値はせめて50でいいからさ、採点してよ。「なぁ、閻魔様。」

  56. 「俺は、デザイナーになってなかったわ。カキちゃんが、もし死んでないなら。」

  57. ビリビリの迷子の犬の張り紙が電信柱でペロペロ揺れた

  58. 空室の郵便口が咥えてる迷子の犬のチラシがベロり

  59. 脱兎だと!?尻尾をサッととっ掴むカッ飛ばすぞとズバッとバット

  60. 雨が降り車の中はドロだらけ「砂まじり」だとサザンが歌う

  61. 目的地もなかったのに海 そこに灯台があることは知ってて

  62. パルックの薄いガラスで照り映える食卓だけが明るい家庭

  63. 猫はいた排水溝や藪の中腕や胸にも 路上の汚れ

  64. あの人は私が好きでやることを才能・努力・苦労と呼んだ

  65. 捕まったツレをおののき待っていた南署前は寒い朝焼け

  66. 人生が終わっていると言う人と終わったと言う暇もない人

  67. 朗らかに「影を描くのが上手いね」と言われて今日も日向を避ける

  68. めんどくさこの世は全て藪の中カネを払って業者に頼む

  69. 透明なガラスドームのネックレスあっけらかんと中にゴキブリ

  70. 大好きだ消えて無くなる雨と雪いつも奴らは悲しみの比喩

  71. ため息の匂いですらも気になって年老いたトラわれの芳香

  72. 下駄箱に画鋲を撒いた跡がある肥やしが豊かな土地を作った

  73. 右巻きのペロペロキャンディきみからは左巻きかな?同じ世界で

  74. カラー名【インテリジェンス】塗布されたロクデナシ・オロカモノ・ヘンタイ

  75. シャンパンの映像みせて育てられ飲もうとしたら泡はなかった

  76. 気合い入れ「失礼します」襟ただす 面接官がカラコンしてる

  77. それぞれがだれもみてない罰ゲームひとりで飲んだセンブリ茶とか

  78. 二週間ほぼ帰らずに働いて手元に残る十二万円

  79. 香り立つ手間を惜しまずゴリゴリと手挽きのミルで入れたコーヒー

  80. 急がずに(どうせダメだし)休まずに(それでも進む)暗夜行路を

  81. これはビールじゃありません発泡酒「私は社員ではありません」

  82. いいようにそそのかされた独立後値段を叩く パソナの門を

  83. 乗り越えた四半世紀は冷たくてそれでも混ぜてミルクセーキを

  84. 少しずつドライアイスに水かけて煙の中を生きてきました

  85. 徹夜明け『ちゃんと老いた?』とごじがきた 間違いばかりしていてごめん

  86. なんにでも名前あるやん?知らんだけで。なんでも知っとるな人間は。

  87. 言いあって腹の中まで酸っぱくて〝人には人の乳酸菌〟か…

  88. キャベジンを手に持ったまま感染し食欲不信の異例のゾンビ

  89. カレーの匂いを嗅いで黄昏 鼻毛を揺らしていく追憶

  90. あけてくれたらあけてくれたら明けて暮れてもずっと同じ場所だね

  91. はっこうし微熱がしみた温床で育てるタネが服についてた

  92. もしもとか万が一とか仮にとか未来の痛みに耐えている 今

  93. 明日雨は60%の確率で降ってなければ傘を忘れる

  94. しんしょくで数億年の痕がありソコにはソコの生態系が

  95. じんわりと雲で消された影だった木陰の下のベンチに座る

  96. 『国境の長いトンネルを』ぱらぱらと本を閉じれば雨音がする

  97. 夜のそこ光が溶けた水槽に藻屑と踊るありふれた違和

  98. 上流で放水されるサイレンがわたしに雨は降ってないのに

  99. 開けようと窓に触った指先に予感はあった 風が吹き込む

  100. 知っている暗黙だったまだ知らぬ沈黙がある不愉快な音

  101. 左だけ泥がついてたどちらとも洗って並べ干すワンスター

  102. 獣にはもったいないと思うけど人差し指を向けて数える

  103. こんなにも構造自体は簡単な百円ライター 家が燃えるよ

  104. 濡れたアスファルトに赤い点滅がしんくうの交差点に心音

  105. ベットに潜る 触れ合わないでさらさらと音が渇いた海底をゆく

  106. 真夜中の水面 誰もみていない蛇口から垂れていく水滴

  107. 物語が始まる前からある話あの雨雲と俺の中にある水

  108. なんにちかまえにもやした香皿に木っ端微塵の灰が仄めく

  109. くしゃくしゃでシワが消えない一枚も紙は紙だし別にかまわん

  110. 夕立ちと強炭酸にまぜこんで脈打つようにざくろ酢の赤

  111. やわらかな土でも倒れないようにふかくふかくに差し込む支柱

  112. ふくらめばシャボン玉にも影はある虹色混ざる吐きだした影

  113. 輪郭を描く あるのがわかる隔たりが何もなかったはずのところに

  114. まつげなら涙が流してくれるけどまぶたの裏のキズのまぼろし

  115. アスファルトにタイヤ痕 田んぼにタニシの移動跡 首にかんしょく

  116. なげやりに「ごめん」といわれ触れられるジャバ・ザ・ハットの皮膚の冷たさ

  117. 固茹での欠けた卵に齧り付くやわらかなしろあからんだきみ

  118. 太陽を覗けば失明しちゃうでしょ地球の影は夜と呼ばれて

  119. めでたしも途中経過のひとまくで全て「死んだ。」で終わるのでしょう

  120. クーラーを効かせた部屋で観てました一瞬映る火の七日間

  121. ひからびたひなたのみみず人はみな日サロにいくなら一人でいくか

  122. 雨浴びるビルよじ登る伸びるツルらくがきにふるルビ愛死帝流(ルビ:あいしてる)

  123. あったっけ?見覚えがないんだよガソリンスタンドの屋根は高くて

  124. 夕立ちと強炭酸に混ぜ込んだ脈打つようなざくろ酢の赤

  125. 目の前がぜんぶ夕焼け肩がこる知っているけど夜を背負って

  126. パチパチとはじける音につつまれた本日はお日柄もよく雨

  127. あったっけ?見覚えがないんだよガソリンスタンドの屋根は高くて

  128. 一発で危険をわかってもらうためピクトグラムがなげうつ身体

  129. ルーティーンワークでパチ屋の新装と骨髄バンクのチラシを作る

  130. EXILEみたいな奴が甚平を着ている街も終戦記念

  131. めくじらをたてず 挨拶するように心を込めて中指たてる

  132. 駅前をあふれ行き交う人波に丸められてくガラスの破片

  133. 役立たず海で拾えばシーグラス地下のクラブの床がベトベト

  134. 落ちていた 以前はつなぎとめていたボタンをひとつ素手でつまんだ

  135. 読むために漫画アプリで見せられる違う漫画アプリの広告

  136. 転生を許されるのはイケてないふりして実はイケてる奴ら

  137. 千一夜物語にもある話 句点でおわり口伝と煙

  138. 透き通り夢かとおもうみずうみの底が綺麗なスマホの画面

  139. 目の前がぜんぶ夕焼け肩がこる知っているけど夜を背負って

  140. あす起きる理由はないけどアラームでバミったあとに夜のしじまと

  141. 防犯で煌々ひかる街灯の夜の螺旋に蛾はからまって

  142. さらわれてさはらさはらとさみしさの砂上の城をさすらう祈り

  143. 日本ではジュースの名前だったのにびしょ濡れになり愛をさがした

  144. カジュアルにベーブレードを楽しんだ奴らに投げ込まれるベーゴマ

  145. 不機嫌が罪であるとは知っているなのに来るなと張る防御線

  146. 海底に沈む六畳一間にも海面みたいにひかるカーテン

  147. 「じいさんち」は今は「ばあさんち」とよばれ杉の木目が綺麗な天井

  148. 生ぬるく夜と金魚はゆらめいてぽいぽいぽいぽぽいぽいぽぴー

  149. マリアって魔女が愛したマニキュアは真っ赤な嘘と同じ色なの

  150. 一分でいいからどうかとどまって最高潮で散ってく火花

  151. 短冊のない風鈴がぶらさがる軒下に風 見えぬ塊

  152. 太ももに知らないうちにできたアザたわいない話ばっかりした

  153. なにもない空にうかべた風船やウルトラマンや豚や失恋

  154. 血液とほとんど同じ成分の頬を流れる体液をみる

  155. そんな趣味はないんだけど君の目はどんな味かを確かめたいな

  156. ガラガラのパチ屋の駐車場で逢うカップルみたいに恋をしようよ

  157. 爪切りで裁断された人体がパチパチ弾け飛ぶ日曜日

  158. 決意したはずだったけど 何枚か日めくりカレンダーをいっきに

  159. レイトショー観終えて帰る空間はいくぶん胸が踊る静寂

  160. 電池の切れたおもちゃのためにとどかない棚をめがけてジャンプジャンプ楽しい

  161. 西ノ湯と煤けた文字が煙突にうかびたなびく記憶は煙る

  162. ガソリンが揮発してゆく給油口たましいは空気をゆらせるか

  163. うまくない薄め忘れた麺つゆの濃縮2倍 家計の話

  164. 表面は傷つき輝き失った欠けたビー玉 砂場の秘宝

  165. 体毛が濃くなってきて最高なぼくが敗北してできた俺

  166. 風のない夕方だった立ちすくみ煙を吐けば流れて消えた

  167. デカくなるヘッドホンから一歩ずつすべてよ踊れ耳が見る街

  168. 真夜中にふさわしくないスケボーが無音のなかに飛んだ一瞬

  169. 音のない月に向かって遠吠えをしたら光がさす喉ちんこ

  170. 「つめた〜い」で俺が落としたデカい音この街中に響かせた音

  171. 流れてく時を吸いこむ臓器にはペンキがたまる 壁にグラフティ

  172. ああ俺が世界だったか かきけしてかいてはけしてわるあがきでうわがき

  173. どう解くの?こざっぱりした道徳の教科書はまだ落書きだらけ

  174. 引っ越しを終えたばかりでカーテンがなくてはだけた窓にいなずま

  175. YouTube観ながら折った飛行機を(ギュッギュッギュッギュ)めっちゃ飛んでく

  176. 枯れ落ちた路上でまぶたはさばさばと薄いストール羽織ればつばさ

  177. 路線図は便利だけれど青空はバスに乗らない人であふれろ

  178. 爺さんの墓で八百年前に芽を出した木がずっとズタボロ

  179. 不一致が踏切に似た雰囲気で横たわっても振りかぶる音

  180. 白豚の分厚いツラの皮を剥ぎ日に焼けた手で投げる白球

  181. 雑音を奪ってくれる曲だった約3分もマジックアワー

  182. パン屑を盛大に撒くじいさんのパリッと糊がきいたワイシャツ

  183. 先端が紙上を走り砂埃かんそうしてるおとだけとどく

  184. 五車線もいらんリンダは裏路地の排水溝をネズミとding-dong(ディンドン)

  185. Christian Rothのグラサンかけている偽物だけどそれでもかける

  186. くちびるが口火を切ったドウカセン閉じたまぶたで火蓋も切れる

  187. トイレットペーパーがない しみついてしまう汚点を考える人

  188. ミーンミンみんなしんじゃえ裏返りうるさいだけの夏の亡骸

  189. デカい虫とにかくデカい虫がいる見えているだろ?ムシで死んでる

  190. 五期ぶりのV字回復 片仮名で聞き間違えて不死のゴキブリ

  191. どねーなら(フォークリフトを登る蜘蛛)こねーなとけぇ夢があるんか

  192. なきながら四十五歳のおじさんが生まれる事を誰も知らない

  193. 引っ越しを終えたばかりでカーテンがなくてはだけた窓にいなずま

  194. YouTube観ながら折った飛行機が(ギュッギュッギュッギュ)めっちゃ飛んでく

  195. 枯れ落ちた路上でまぶたはさばさばと薄いストール羽織ればつばさ

  196. 路線図は便利だけれど青空はバスに乗らない人であふれろ

  197. 爺さんの墓で八百年前に芽を出した木がずっとズタボロ

  198. 憂鬱をてなずけている指先を輪ゴムで縛り酸欠をみる

  199. 悩み事なさそうだねのひとことで隈取されるわたしの歌舞伎

  200. もう二度とミスをしないと言い張ればいっぽんいっぽん折れるシャー芯

  201. サーカスのテントは月に晒されて眠った獣の上下する腹

  202. 地下道は酸欠だから青黒く皮膚をもりあげ流れるチち血

  203. アニメ化は絶対されない毎日がそれでも歌うタッタタラリラ

  204. 「すみません、寝過ごしました」夢だったって夢をみました「寝過ごしました」

  205. 虹色のバブルみせられ氷河期・リーマンショック・コロナ禍 地獄だろ

  206. 目をつむりやり過ごしてることばかりせめて八月六日九日

  207. わかりみが深すぎるから台風が過ぎ去った後すみきった青

  208. ひとりでは行っちゃいけない池でみた決まったルートを飛ぶギンヤンマ

  209. みずたまり泥濘むことは許されず夕日が道路に落とす血溜まり

  210. コンビニの前で拾った千円のお釣りを全部募金しました

  211. ウワズッタ声で会話が平静できたいがもれる観測気球

  212. One loveと歌い出してはみたもののデタラメだけどフィーオーライト

  213. 耳元に吐息まじりの「マチュ・ピチュ」が空中都市の水源は謎

  214. お互いにニンニク臭い牛タンを食べた舌でも絡めませんか

  215. 二度と行けないラーメン屋のサービス券を栞に使うたんぽるぽるの

  216. 夏の雪 目をあけみてる夢のなか拍手を浴びつ歩いてをりぬ

  217. 絞られた夕日が紅を撒き散らし燃え立つようにゆれる秋桜

  218. 自動ドア勝手にあいて肌寒い風をかんじる皆んなの産毛

  219. 失えば拾われてゆくえんぴつがどんどんおちる授業参観

  220. 公共のジャングルジムの剥げている塗料でぬられた以前の塗料

  221. 隙間から風の悲鳴がうるさくて窓を閉めずに全開にする

  222. 「秋風に揺れる秋桜」チーズインハンバーグオンスライスチーズ

  223. 右巻きのペロペロキャンディきみからは左巻きかな同じってなに

  224. 男だぜ昼間のパパは光ってる夜にもパパに同じってなに

  225. クリニック・子宝・ラブホ・葬儀屋の看板ばかり国道2号

  226. 週末だダダダダッシュ!!待ってろよ リードをつけたまま走る犬

  227. 乱暴に割った卵を混ぜ込んでやけくそに焼くパンケーキ旨っ

  228. いつもならのんびりわたるだけだった通行止めの橋の裏側

  229. かつて水だったのだろう朝霧が流れにのらず川面をすべる

  230. 火・土・風・水・樹木・舟・鳥・ミイラ しのはなししのはなししのはな

  231. 鼻声が初期症状と気がつかず陽気なままでいた花曇り

  232. ネグリジェのデブの風俗嬢に抱く自分勝手にいだいた曇り

  233. トーストは表面だけが焼けていて脆い決意とパン屑が散る

  234. 飛び越えて行くのは癪に障るから秋に倒れた向日葵を踏む

  235. クラウドに画像を保管するような感じで距離を取りたいあの日

  236. はなうたにのせて陽気を持参してだから曖昧なのに会いたい

  237. ……なのにって期待したから傷ついて、なのに折れたら鉛筆けずる……。

  238. 断面がおいしいショートケーキにはのってるイチゴと埋もれた苺

  239. 雨上がり蛙が跳んでまた降った跳んだ跳んだ跳んだ降り続く

  240. 言い訳の説明はもうこれきりで終わりにします。ごめんうそです。

  241. つぎつぎと色鉛筆が散らかって夏が終わってゆく鳳仙花

  242. 出社して在庫はあるかとまず探す擦り減っていく自分の在庫

  243. 水底にしずむ魚のまなこには不満だからか歪んだ宝

  244. 揺蕩った。さっき使った雨合羽タラッタラッタHappyだった

  245. ムカっ腹たったらたったうわっつら歌って着火ゆだったかっぱ♪

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