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本を読む

小学生の頃、『大きな森の小さな家』という小説を読んだことを思い出す。

その時印象に強く残っているのが、あの独特な読んだあとの感覚だ。食感に近いかもしれない。

物語の大半が、森での生活や自然や天気の話についてで、当時小学生だった私にとってはつまらないものだった。
その本は、他の方に比べて分厚く読み終えるまで時間がかかったと思う。たまに出てくる動物の話や、家の中の美味しそうな料理の場面が楽しみだから読み続けられたと思う。

読み終わった後に胸の中に残ったあの充足感が今でも忘れられず、25歳になった今でも自然に関する本をたまに読む。

あの、一つ一つの物事は取るに足らないことなのに、それを静かに丁寧に積み重ねていくあの感覚。そして、ふと振り返ったときには密度の高い時間が自分の足元に残っているのだ。物語を全て読んだ人だけが、誰かの詩を最後まで聴いた人だけが感じられるプレゼントだと今でも信じている。

#エッセイ #コラム

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