メザイ・べンジ

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マガジン

  • 旅が好きだ

    旅はDNA。 旅は、人が人であるための行為。 旅について書かれているエッセイをこちらに載せたいなと思います。 素敵なクリエイターさんの作品もまとめさせていただきます。

  • 【旅行記】エジプト〜ギリシャ

    2022年9月〜2022年10月までカイロ、ルクソール、アテネで暮らした記録

  • 【旅行記】長野県

    2020.11のこと

最近の記事

ダナン旅行の記録①、2023年9月のこと。

書こう書こうと思いながら1週間が過ぎて1か月が過ぎた。 そうしてついに年が明けてしまって、少し重みを増した罪悪感と薄くなった記憶を頼りにダナン旅を振り返る。 今スマホのアルバムを振り返ると、「もっとちゃんとしたいいカメラで旅の瞬間を自分の手に所有しておけばよかったな」とじんわり後悔が湧いてくる。 それほどダナンの旅は美しかった。写真を撮るのが上手くなりたいと思うけど上手に撮れないのが悔しいな。 良かった場所なども載せるので、これからダナンに行く人の役に立つと嬉しいです。

    • 1ヶ月半のエジプト旅を終えた次の日に考えていたこと

      渡航前に塗ったラメいっぱいのネイルが剥げ終わったとき、カイロへの旅もちょうど終わった。 . 日本で履いていたパンプスを久しぶりに出してみたら、日焼けした足の甲が白い生地に映えていた。 わたしの今の体はカイロで食べたものでできていて、わたしの汗はカイロの露店コンビニで買った42円の水で出来ていて、 わたしの涙は帰国前日に流し込んだオルゾスープの塩分で出来ていて、 わたしの肺は何度も吸ったシーシャの煙で汚れてる。 カイロが染み込んだ自分の体が愛おしい、と思える自分がいることに

      • 年の瀬の上越新幹線で思うこと

        15時40分発、帰省する新幹線で窓辺に視線を移すと、山を縁取るように夕陽が燦々と照っていた、高崎だった。 長いトンネルを抜けると、空は灰色で屋根にはこぼれ落ちそうなくらいの雪が積もっていた、上毛高原だった。 太平洋側から日本海側へ駆けるこのルート、いつも日本海側が少し未来に進んでいる。 最近、文章を書かなくなったことで自分の日本語が枯れてきているような気がして、薬に縋るように枕草子を買ってみた。景色を描写する言葉と知識が足りないと思ったからだ。 新潟の冬はとても寒いので

        • DAY5 3年前の私へ

          当初はフルで働くつもりでいたこの1週間、 一分一秒ごとにこの土地と街と人が愛おしくなって、ついに私は午後休みをとった。 小心者の私は丸一日休みを取れなかった。 昼は、松本でとても人気だという食堂に行った。休日はとても混むらしい。 小雨降る肌寒い金曜日、待たずに入ることができた。 メニューは、地元の農家や商店のものを使用されていて、 一品一品絶対に残したらアカンという感じがした。 それは脅しとかではなく、 カウンターから店主が料理をしている姿から 食材を我が子のように愛し

        ダナン旅行の記録①、2023年9月のこと。

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          2本
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          1本
        • 【旅行記】長野県
          6本

        記事

          DAY4 寒さの中にも

          ここに来て気づいてしまったのだ。 ゲストハウスのお兄さんがとてもタイプだった。 わたしの才能といえば、どこでもすぐにタイプの人を見つけられること。 可愛い顔をしている人見知りそうな、冷めた目をしている柔らかい笑顔の、そういうどうしようもならない人がイイナ思うのだ。 それだけで本当に楽しい。 そんな4日目、松本にも慣れつつ 友人とコワーキングスペースにて仕事をした。 この日の予定はユルく暇なチートデイになるはずだったものの突発的な仕事が続いて疲れてしまった。 おまけ

          DAY4 寒さの中にも

          DAY3_Googleマップにオススメされない店

          昼も夜も振られた3日目。 1人で仕事をした。 ゲストハウスで、周りの声を聞きながら仕事をしていた。時間の流れが心地よい。 昼は、チャイナスパイス食堂という名前の薬膳中華の店を狙って歩いたが定休日。 急遽予定を変更し、第二希望のおきな堂という洋食屋へ行った。平日は良い、普段なら並んで待つ場所にサクッと入れる。 大人のお子様ランチを出す天国のようなレストラン。わたしはオムライスとプリンを頼み、満腹になった。 昼食の帰り、松本城に寄った。 おじいちゃんとおばあちゃんがた

          DAY3_Googleマップにオススメされない店

          DAY2 グッモーニン、塩尻

          ゲストハウスは、古い家の匂いがする。 煙たいような漆喰のような。 石油ストーブがさらに匂いを濃密にする。 コーヒーを淹れる香りが加わったらそれはもう。 いつもより早く起きた2日目、モーニングは松本名物だという水飴トーストとリンゴジュースを食べた。 いつもは感じない余裕と幸福感がお腹に広がる。 宿を出て、友人が住む塩尻へ向かう。 電車の本数が思ったより少なく、時刻表見る癖のない私は遅刻をすることになった。 塩尻駅の前は、松本駅よりさらに高い建物がなく その日は底抜けの青い

          DAY2 グッモーニン、塩尻

          DAY1-2 松本の土地の匂いについて

          @月曜日からビールを飲む 松本は寒かった。 腕をさすりながら改札を出ると、 そこは別世界だった。 大袈裟だ思うかもしれないが、 もうこれだけで来てよかったと思った。 東京とは全く違う匂い。 土地の香りは確実にある。 冷たくて静かで艶のある空気が、 鼻に口に流れ込んでくる。 ザクザク編みのおしゃれセーターの隙間には、 容赦なく寒さが飛び込んでくる。 秋、などという生易しいものではなく、 指先が痛くなるような厳しい寒さであった。 宿までは徒歩10分。 完全に着てくる服

          DAY1-2 松本の土地の匂いについて

          【旅行記】長野県松本_DAY1(前半)

          @ある台湾料理屋にて記す 特急あずさに乗って1時間、意外にも松本は遠い。 揺れる車両の中で私は泣いていた。 久しく長距離の移動をしていないものだから 東京から2時間半の電車は、長く感じた。 パソコンを開いて仕事をしていたせいか、 ひどく酔ってしまった。 これから旅が始まるというのに なんということだろうか、情けない。 情けないといえば、 仕事が嫌だということも思い出して さらに泣けてきてしまった。 ほとんど人気のない夜の特急列車。 わたしが涙を流したところで誰も見

          【旅行記】長野県松本_DAY1(前半)

          夏の夜、狭い店のカウンターでカレーを食べる

          わたしは仕事を終えてカレー屋に行った。 ラーメン屋の2階にあるカウンター10席の小さな店。 こじんまりした空間には、夫婦やカップルが既に座っていて、わたしはその間に空いていた席に割り込むように小さく座った。 キーマカレーとジントニックを頼んだ。 疲れた体に、ジンが染み込んでいく。 仕事終わりの酒がうまいと思うほど、 仕事をしたのだなあと思った。 わたしの腕には、冷房の風か外の風か分からないような生ぬるい風があたっている。 窓の方に目を向けると、窓か

          夏の夜、狭い店のカウンターでカレーを食べる

          モロッコに憧れた私を供養する

          わたしの飛行機が行ってしまった。 今日23:00、EK319便でドバイを経由してモロッコに旅をする予定だった。 今頃、あの機内の離陸のアナウンスを聞きながら、夜景が煌めく東京を見下し出発していたのかな。 午後休を取って、必死に最後のパッキングをしてドキドキしながら、空港行きのバスに乗り込んでいたのかな。 昨日は出発を目前にして、あまりの長旅と未知の場所に少しびびってトラベルブルーを発症していたのかな。(なんて贅沢な悩みよ) そして

          モロッコに憧れた私を供養する

          俵万智の『サラダ記念日』を読んだ。

          俵万智の『サラダ記念日』を読んだ。 短歌は、わたしにとって少し遠くて大人なものだと思っていた。 尊敬する恩師が、読むといいよ。と勧めてくれなければ、本屋で手に取ることもなかっただろう。 初版は、1989年。今から31年前だ。 31年前の24歳の女の子の視点は、2020年の女の子と全然変わらないと思った。 (これを書いている今、私は25歳だが) 『サラダ記念日』の魅力は、 短歌を読んでいるというより、 写真を見ているような感覚になれることだと思う。 短歌ならではの

          俵万智の『サラダ記念日』を読んだ。

          本を読む

          小学生の頃、『大きな森の小さな家』という小説を読んだことを思い出す。 その時印象に強く残っているのが、あの独特な読んだあとの感覚だ。食感に近いかもしれない。 物語の大半が、森での生活や自然や天気の話についてで、当時小学生だった私にとってはつまらないものだった。 その本は、他の方に比べて分厚く読み終えるまで時間がかかったと思う。たまに出てくる動物の話や、家の中の美味しそうな料理の場面が楽しみだから読み続けられたと思う。 読み終わった後に胸の中に残ったあの充足感