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マネーフォワードのCDOが語る!目指すは「感動レベル」の体験。デザインチームの現在と未来

創業してから約11年、会社規模もサービス規模も大幅に成長しているマネーフォワード。
当社がビジネスにおいて力を入れていることのひとつがデザインです。
業界でも早い段階で経営にデザインを取り入れ、執行役員にCDOがいる企業としての認知も拡大しました。

会社の成長と共に、デザイン組織としても成長を続けています。
そんなマネーフォワードのデザイン組織は現在どのような目標を持って成長を遂げているのか、 CDOの伊藤セルジオ大輔(以下略:セルジオ)に、デザイン組織としての歩みや現在の課題、そして今後の目標について詳しく聞いてみました。

伊藤セルジオ大輔(いとう せるじお だいすけ)

グループ執行役員 CDO(Chief Design Officer)
デザイン会社の代表を経て、2020年にマネーフォワードのCDOに就任。
新卒時代はスタートアップの社長室で働き、その後ニューヨークでアートなどを学ぶ。ビジネス、デザイン、エンジニアリングを溶け合うようにつなぐのが得意。経営にデザインを取り入れる、デザイン組織の強化、プロダクトデザイン品質の向上、ブランディングなど幅広くデザインに携わる。

人数は5倍、プロダクト数は4倍に。CDOが見てきたマネーフォワードの成長と変化

── セルジオさんのCDO就任後からマネーフォワードはどのように成長してきましたか?

2019年に業務委託としてジョインし、2020年9月にCDOに就任してから3年ほどになります。ジョインしたころ、デザイン組織は20名くらいだったんですが、現在は90名以上に増えました。組織としての規模も拡大していますし、所属しているメンバーも多様な人材が増えました。その分、できることも増えています。

その間にマネーフォワード自体も非常に成長し、売上も提供しているサービス数も増えました。入社当初は12プロダクト程度だったのですが、現在では50ほどのプロダクトがあります。
また、全社の人数も約400人から約2000人に増えているんです。

── 会社のプロダクト数は倍以上になりましたね。

はい、なのでやることも増えています。
特にCDOになってからの3年間はデザインの基盤を固めていく時期でした。
たとえば、デザインプロセスの整備をしたり、デザイナーのグレード要件表をアップデートしたり、100名規模の組織でも安定的に稼働できるようにするためのマネジメント育成プログラムを制作したり、そういった基礎固めの割合が大きかったですね。

── セルジオさんから見て、その基盤が整ってきたと感じていますか?

完全に整ったかと言われると、整ってない部分もまだあります。メンバーが増えて、育成プログラムもできてきてはいるんですが、行き届いていない部分もまだまだありますね。そもそも終わりはないと思うので、常に更新し続けるものだとも思っています。

── デザイン組織を作り始めてからは、どういったメンバーが増えましたか?

プロダクトデザイナーはさらに増えましたし、当時より専門性の高いデザイナーが増えています。たとえばプロダクトデザイナーの中でも、情報設計が得意な方、デザインリサーチが得意な方などが加わりました。

それと同時に、ブランドづくりやマーケティング、コミュニケーション領域のデザインの専門チームが発足しています。数年前ですとプロダクトデザイナーがまとめてやっていることも多かったのですが、ブランディングにもより力を入れていけるような体制になりました。

また、デザイン組織をデザインしていく「DesignOps」と呼ばれるチームも新しく誕生しましたね。そんな形でさまざまなデザイナーがジョインしてくれましたね。

── 組織だけではなく、プロダクトの領域も拡大していますね。

サービスのベースとしてBtoC事業、BtoB事業、そして金融機関様と一緒にサービス開発をする共創事業があることは私が入社したころから変わっていないのですが、プロダクトとしては、「マネーフォワード クラウド(BtoBサービス)」の固定資産や人事管理、社会保険といったもともと存在しているサービスの周辺領域にどんどん広がりました。
個人向けの「マネーフォワード ME(BtoCサービス)」も同様に周辺領域も広がっていますね。

「お金のプラットフォーム」を目指しているのは、ずっと変わっていない軸です。

── 特にセルジオさんが感じる変化はどういったところですか?

いい変化ですと、メンバーが増えたことによってより高い品質のデザインを目指していける状態になったことですね。
今までは使いやすいと感じてもらえるような、快適なデザインを生み出すことを目指してきたのですが、それを超えてユーザーのみなさまに感動していただけるようなデザイン、サービスを届けていきたいと考えています
それが実現できる状況になってきていることはいい変化です。

一方で、難しくなったと感じる面もあります。
当然、規模が大きくなるとデザイン対象の難易度も上がっていきます。
また、デザイナー間の連携も課題となってきますね。
20名程度のころは、「みんなでご飯に行こうよ」と言って集まれる人数だったのですが、90名以上になってくると全員で顔を合わせることが困難になってきました。よりしなやかに連動していく、ということの難易度が上がったと思います。

── デザイナー同士がコミュニケーションできる場を増やしていきたいですね。

私自身、デザイナー同士のコミュニケーションはすごく重要だと感じています。マネーフォワードはたくさんのプロダクトがありますが、その多くを同じ「マネーフォワード」というブランドのもとに提供しています。その体験に一貫性があるものを届けていきたいので、デザイナー同士がわかり合ってデザインできるような、横の連携が重要になります。

その取り組みの一部として、DesignOpsチーム主体で「デザイナーハッピーアワー」という社内デザイナー向けのナレッジシェア会や懇親会も開催されるようになりましたね。
また、年に1回の「デザイナー総会」も企画しています。福岡や大阪、名古屋にもオフィスがあるので、そこのメンバーも呼んで集まってイベントをやったり、ワークショップをやったり、そういったことから連携を強めていくためのさまざまな施策を進めています。

マネーフォワードが目指す「感動レベル」の体験デザインとは

── これからのマネーフォワードの目標を教えてください。

私がCDOになってから3年間、「デザイン戦略ロードマップ」は半年ごとにアップデートしています。
最初の3年で書いていたことは、まず「快適レベルのデザイン」を生み出していくための体制や基盤の整備の進行です。
そして、これからの3年間は、前述の通り「デザインの品質を感動レベルに引き上げていくこと」、そしてもうひとつ「グローバル化」というのも大きなポイントとしてあります。

── 「感動レベル」のデザイン品質というのは、具体的にはどのようなものですか?

今でも使いやすい、わかりやすいことを意識してデザインしているのですが、そのレベルを上げていくことがひとつです。次に、新しい体験やサービスにおける意味自体をデザインで生み出していくことです。最後に、より情緒的なコミュニケーションや審美性を引き上げていくことです。このように全体を通してクオリティをとにかく高めていくことだと考えています。

言葉にするとシンプルですが、なかなか難しい壁だと思います。
まずはデザイナーみんなの目線や基準を上げることが重要だと考えています。
「使いやすい」のその先がある、ということ自体にまずデザイナーや他のメンバーが気づくところからですね。理想的なプロダクトというものがどういうものなのか、それを問いながら一歩ずつ進めています。

── また、もうひとつの目標である「グローバル化」はどのようなものですか?

マネーフォワードでは2024年の末ごろに、エンジニア組織の公用語が英語になる予定です。開発が英語で行われるので、デザイナーも対応していく必要があります。グローバルメンバーとも英語を用いて共同開発ができるようになっていくために進めています。海外向けに展開するプロダクトはまだ一部しかないのですが、今後はもっと増えていく可能性もありますので、さらに多様な文化圏でも耐久性のあるデザインを作っていくことになります。

また、海外には日本国内と比べて幅広いナレッジがありますので、それをしっかりと自分たちのデザインに活用できるような組織にしていきたいです。

── 今いるメンバーにとってもチャレンジングですね。

そうですね。
英語がすごく得意なメンバーが多いわけではないので、英語学習プログラムを提供し、徐々に海外のメンバーと働く環境にも慣れていっています。
現時点で、日本語を話さないメンバーも在籍しています。なので、デザイナーにとって英語で仕事をすることが当たり前な環境に少しずつなっていますね。

── 今後入社するデザイナーには、高い英語スキルが要求されるのでしょうか?

英語のスキルはそこまで求めていないのですが、英語を使った仕事をすることにはなるので、その点に抵抗感がない方が働きやすいと思います。

新たなバリュー「Tech & Design」の実現へ向けて

Money Forward Culture Deck

── 2024年はどういった部分に取り組んでいく予定ですか?

やることは本当にいろいろあるのですが、まずデザイン組織の強化の部分ですと、各種研修プログラムやナレッジ共有機会の整理でしょうか。
入社してから一定期間を迎えるメンバーが増えてきているので、社内での流動性をもっと高め、新たな挑戦の機会を作っていければとも考えています。

プロダクト周りですと、デザインシステムやアセットを強化することで基盤を強化していきたいですね。
それに加えて、アクセシビリティのような、より多くの方に使っていただくための対応を進めていきます。

また、会社全体としては今年変わったことがひとつあります。
今までは会社のバリューとして「Technology Driven」という項目があったのですが、それが2023年7月に「Tech & Design」という形にアップデートされました。
デザインは会社のバリューの一部なので、「デザイナーがデザインをやる」ではなく、「社員みんながデザインを考えていく」という宣言でもあります。なので、ノンデザイナーを含めたメンバーへのデザイン理解や、デザインプロセスの推進も進めることのひとつです。

── デザイナーが社内のデザインに対する理解促進をリードしていくわけですね。

はい、なのでデザイナーはよりプロフェッショナルであることが求められるようになると思います。みんながデザインしていく会社で、デザイナーはさらに何を求められるか、何をしていかなきゃならないのか。
そういったプレッシャーは発生するようになるのではないでしょうか。

── 具体的にはどういった形で啓蒙活動を行うのでしょうか。

デザインへの理解を深めるためのレクチャーを行ったり、デザインをどう活用するかを一緒に考えたり、そういったことから始めていきます。

カオスな環境も、デザイナーには進化のチャンス

── 今マネーフォワードのデザイナーになると、どのような経験を積めますか?

特に「マネーフォワードだからこそ」という部分のひとつとしては、50以上のプロダクトを単一ブランドとしてやっていることは、難しくておもしろい経験ができるのではと思います。
多数のサービスを、デザインの一貫性を出しながらクオリティを上げていくっていうのは、すごく難易度が高いですね。
ひとつのサービスだけを作るのとは考えることが変わってきます。
サービス数も人数も多い環境だからこそのカオスに挑戦したい方にはオススメです!

また、ユーザーフォーカスを大事にしている会社なので、デザイナーだけではなく色々な職種の方と一緒にプロダクト開発をしていく、ユーザー起点で開発していく体験ができる環境です。

そして特定の領域に詳しいメンバーが増えているからこそ、学ぶ機会が多いです。
自分がデザイナーとしてアップデートしていく上で学べる機会があるというのは大きいですし、50ものプロダクトがありますので、教えてもらったものをちゃんと試す機会も豊富にあると思います。
お互い支え合い、学び合う環境を大切にしたいですね。

── 確かに、プロダクトの多さは経験の幅にも繋がりますね。

会社のカルチャーとして新しく追加されたのが「Evolution(進化)」という言葉なんです。
カオスもむしろ、進化のチャンスなんじゃないかと思っています。
複雑な状況だからこそ、新しいチャレンジの種がいっぱい広がっているんじゃないかと思いますね。どんどん状況を変えていき、クリエイティブに乗り越えていけるような前向きな姿勢で取り組みたいです。
弊社に限らずですが、いろいろなアイデアをクリエイティブに考えて突破していくことは、デザイナーという仕事の面白いポイントだと思います。
何か新しいことに挑戦したいデザイナーさんを歓迎します!

さいごに


マネーフォワードは会社の進化に伴い、デザイン組織としても大きく変化をしています。感動レベルのユーザー体験の設計、さらなるグローバル化、難易度の高い複数プロダクトの運営など、まだまだ挑戦は尽きません。「Tech & Design」や「Evolution」を体現していけるような組織を目指しています。

そんなマネーフォワードではサービスデザイナー、プロダクトデザイナーを積極採用中です!こちらのポジションをより詳しく知りたい方は、ぜひカジュアル面談などでお話ししましょう。