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「行動しろ」と言われても「行動の仕方」を教えてもらっても行動できない自分のための記事

「なぜ人と組織は変われないのか」という本を読んだ。

ハーバード大学教育学大学院で成人学習・職業発達論を研究するロバート・キーガン教授と発達心理学を専門とするリサ・ラスコウ・レイヒー氏が書いた本書は、「変わりたくても変われない」と感じがちな自分、「ずべこべいわずに行動しよう」と思っても動けない自分にはうってつけの本だった。


読了したちょうどその日に、けんすうさんの「どう行動したらいいかわからないよ」という人向けのnoteも読んだ。

読んだ正直な感想としては、「言われたとおりにやろうとしても、自分なら途中で力尽きて終わるだろうな」と試す前から感じてしまった。なんて怠惰なんだ自分。手強い。

なぜできないのか、なぜ力尽きるのか、何が抵抗しているのか、それを解き明かす考え方として、本書では、「変革をはばむ免疫機能」という考え方、そしてそのシステムを分析し対処していくための「免疫マップ」について詳述している。

英治出版のウェブサイトには以下のような紹介文がある。

本書で提示される「免疫マップ」とは、「変わりたくても変われない」という心理的なジレンマの深層を掘り起し、変化に対して自分を守ろうとしているメカニズムを解き明かす手法です。
著者たちは、変革が進まないのは「意志」が弱いからではなく、「変化⇔防御」という拮抗状態を解消できないからだと説きます。

何か行動しよう、変化しようとするとき、変化に対する心理的な免疫反応が作動している、その免疫反応の目的(通常は知覚されない裏の目的)に照らせば、とても合理的な「変化しない」という結果を得ている、と理解するのが、本書での「変わりたくても変われない」状況の認識だ。

本書では更に、「裏の目的」の更に裏にある「強力な固定観念」をあぶり出し、その固定観念の妥当性を行動を通じて検証していくことで、変革に取り組むことが可能となる、と主張している。

具体的には、以下の免疫マップの要素を書き出すことが主なプロセスとなる。

【免疫マップの要素】
1.改善目標 
2.阻害行動 
3.裏の目標 
4.強力な固定観念


実践編

いつもはわかった気になって読みっぱなしで終わるのだが、今回はGWなので実践するところまでやってみようと思う。というわけで、以下、実践編。

1.改善目標もっと仕事についてもtweetしたい。

今まさにこの思いを抱えている。結構切実に思っている。でもできない。なのでこの本の実践のお題にしてみようと思った。

本書では免疫マップの要素それぞれの磨き方なども詳述されているが、今回はとりあえず書ききることを目指してみる(以下、どろどろした感情も出てくるので、そこまでは興味ない方はさらっと読み飛ばして下さい)。

2.阻害行動 
・何か思うところがあってもtweetしない。または社内slackに投げるのみ。 
・自分の現在のアカウントでtweetしてもいいのかと悩みだす。 
・試しに別アカを作ったものの、tweetするならどちらだろうと悩みだす。 
・ちょっと文章を考え出すところまで来ても、下書きを書く段階も長続きせずに消去する。 
・別アカの表示名、プロフィールどうしようと悩みだして結論が出ない。 
・別アカを公表することをためらう。
3.裏の目標[不安ボックス(裏の目標を考えるための生の素材)] 
・なんか変わったと思われるのが怖い。うざがられるのが怖い。 
・反応が無いのが怖い。 
・どこか本音でない、どこか嘘を孕むことを呟いてしまうのが怖い。 
・一貫性を保てないことが怖い。 
・別アカを始めてみても途中で止まるのが怖い。(以下、更に3分ほど考えたり本を読み返したりて出てきた事項) 
・別アカを始めて、キャラじゃないと思われるのが怖い。 
・調子に乗っていると思われるのが怖い。 
・怪しい人だと思われるのが怖い。 
・失望されるのが怖い。 
・ださい、きもいと思われるのが怖い。 
・会社に悪影響が生じるのが怖い。 
[裏の目標] 
・キャラじゃない、調子に乗っている、怪しい、失望した、ださい、きもい、と思われたくない。 
・本音でないこと、一貫していないこと、嘘を言いたくない。 
・別アカを始めて途中で挫折したと思われたくない。 
・会社に迷惑をかけたくない。
4.強力な固定観念 
・失敗してはいけない。失敗すると立ち直れない。失敗すると他人に迷惑をかける。他人に迷惑をかけてはいけない。 
・嘘、首尾一貫していないこと、本音でないことを言われることは不快。他者に不快なことをしてはいけない。 
・失敗はださい。挫折はださい。 
・根拠の見えないもの、科学的でないものは怪しい。 
・目立つ変わったことをすべきではない。目立つと悪いことが起きる。 
・自分が意図的にポーズを取ることはださい、きもい、キャラじゃない。 
・自分が呟きまくるのはうざい。 
・自分の意図的行動は基本的にださい、きもい。 
・自分の発言は会社にとって大きなリスクである。


書いてみた。途中からかなり感情的になってきたけれど、実際感じていそうだからそのまま残した。改めて感じたこととしては、

・裏の目標を考えるに当たって「不安ボックス」を考えるが、これらの不安・恐怖は目を背けたいことなので、不安に感じてることすら忘れてしまっているのかすぐに思い出せなかった。 
・「不安」から身を護るために「裏の目標」はよく機能してくれている。そしてその「裏の目標」に支配されている。 
・根底には、「他者に不快な思いや迷惑をかけてはいけない」、「他人なら気にしないが自分は許せない」という思いと、「ドロドロとしたコンプレックスみたいなもの」があるっぽい。 
・ここに書き出した要素はけして網羅的ではないが、大事なのは新たな気づきを得られることなので、大した問題ではなさそう。

書いてみて、「強力な固定観念」に書いたものは、気持ちはわかる(自分が思ったことだから当然でもある)が、それ言いすぎだろうと思うものがほとんどだと感じた。

根性ややる気でしか太刀打ちできなさそうに感じていた課題に、ようやく確かな手がかりを見出せた。そこで、今回書いた「強力な固定観念」が真実なのか検証してみることにする。具体的には、改善目標の「もっと仕事についてもtweetしたい」を小さく試してみることにする。実験結果は以下のアカウントの状況次第です。どうなることやら。


最後に、このアプローチの要所だと感じる固定観念について本書から引用する。

実際には、私たちの自己認識と世界認識は一つの仮説にすぎない。それは真実の場合もあれば、そうでない場合もある。そのような仮説をあたかも確定的な真実であるかのように扱えば、それは強力な固定観念になる。(本書 位置No. 4480/6087)
強力な固定観念は裏の目標と同様、普通の状態では死角になっていて目に見えない。それを見えるようにするためには、自分が固定観念と一体化していたり、それに支配されていたりする状態を脱し、固定観念と距離を置くこと、すなわち固定観念を「主体」から「客体」に転換することが必要とされる。(本書 位置No. 4496/6087)


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cotree advent note企画 32日目(の2本目)



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