見出し画像

人の記憶のふしぎ

今働く職場を車でたぶん5分も行ったところに、ある企業の所有するグランドがある。
時世が移り、今どき、福利厚生目的でそんな不要の不動産を所有することをデジタル的なセンスを持つ多くの株主は認めてくれないであろう。

現にその企業も多くの資産は売却し、このグランドも売却を含めての有効利用を考えて欲しいという要請にもとづいた現地調査であった。
しかし、駅から離れていていい顔をするデベロッパーはおらず、有効活用もいい案は生まれなかった。

そして、現在は自治体を通じて地元に制限付きで開放しているようである。企業イメージを上げ、株主にも説明のつく一番の時間稼ぎの方法である。
今の経営者は所詮サラリーマン、自身の立場で問題が起きなければよい、あとは野となれ山となれ、である。

三十年も前に鬼軍曹のような上司に現地に連れて行かれたのを思い出したのは職場に通い出して半年もたってからのことだった。
公共交通機関で行っていれば忘れることなど無いのだが、当時は黒塗りの社有車での移動が多かった。
そこにたどり着くトンネルを憶えていたのだ。
思い出して入り口の前に立ったが先には進まなかった。
グランドまで距離があることも理由であるが、トンネルを抜けてはいけないような気がした。

あの時に考えた事、退職までの在職中に考えた様々な負の記憶が甦ってきそうだった。
人の記憶ってのは不思議なものである。
自身で記憶の噴出に蓋をすることが出来るようである。

その記憶が今だけ不要なのか、永遠に不要なのかは分からないのだが、、、

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?