『源氏物語』を読みましょ。Amazon Audibleを使えば挫折しない。
『源氏物語』を読んでいます。
何年かごとに『源氏物語』読破の想いが湧き上がります。
皆さんもありませんか。
思い立つけれど、現代語訳を吟味するだけで終えてしまう。
でも、今回は達成できそうです。
※ 2022/11に約20日で読み終えました。
谷崎潤一郎さん、円地文子さん、田辺聖子さん、林望さん、角田光代さんなど、多くの方が現代語訳を達成されています。
※ それぞれの訳文特長は知恵袋回答が参考になります。
選んだのは瀬戸内寂聴さん 訳です。
※ 書籍版は第1巻だけKindle unlimitedで読めます。
2022-11-21時点、Kindle unlimited 3ヶ月99円セールが行われています。
瀬戸内寂聴さん 訳は、Amazon Audibleに朗読が全巻あります。
この朗読、113巻あります。(リンク先アマゾンの検索ページ)
朗読ではなく、オーディオドラマ(ラジオドラマ)です。
後述しますが、驚くべき豪華さです。
100巻越えるの!? なら、いいや。
待ってください。
一般的な成人であれば、2.0から2.5倍速で聞き取れます。
(113巻 ×平均40分) / 2.0 ≒ 38時間
NHKの大河ドラマをイッキ見と同じ程度です。
わたしは2.3倍で聞いています。
Audible1ヶ月お試し期間に聞き終えられます !
本文朗読は三田佳子さん(紫式部役)が担当されています。登場人物をさまざまな方が担当されています。森繁久彌さん、草刈正雄さん、天海祐希さん、沢口靖子さん、荻野目慶子さんもいました。
和歌吟詠は登場人物によってなされ、和歌の現代訳は三田佳子さんが読まれます。全文、漏れなく朗読されています。複数人のセリフが続く際に、「と●●が申しましたら、▼▼が返しました」といった文は省かれる場合があります。
本文に合わせて、状況の効果音がときどき入ります。雅楽、天候、読経、雑踏など。
聞くだけで、情景を思い浮かべることができ、本で本文を追わなくても、内容を理解できます。
瀬戸内寂聴さんの訳文は、小説家による自然な文章です。古文の現代語訳といえば、学習参考書の訳文を思い返すでしょう。そのような学習のための文法に重きをおいた訳文とは凌駕します。紫式部が現代に生きていたなら、書き下したであろう、しっとりと優美で、落ち着きのある文章です。古典語をなるべく廃した、現代の言葉で書かれていながら、古の風流が漂います。そして、注に頼らなくても読めてしまいます。
もちろん、平安期に特有の名詞、たとえば、楽器や生活など習俗、地理等の固有名詞はでてきます。注は書籍の巻末に収められています。オーディオドラマを聞くだけの方も、書籍版の注を図書館で複写しておいてもいいかと思います。
この「オーディオドラマ源氏物語」は、Audibleに登録されているナレーションだけの作品に比べて、本当に手間のかかった大事業です。三田佳子さんは全文朗読されて、さぞ大変だったと思われます。思い出深い収録だったでしょう。それだけに完遂された自負があるでしょう。
三田佳子オフィシャルブログ
追伸 寂聴先生との思い出のこと(2021-11-17)
このような作品を残していただき、いま容易に『源氏物語』を通読できるなんて、ありがたい世の中に生きていると感じます。
※ YouTube「10分でわかる「源氏物語の基礎知識」|林望
こちらの動画で言われているように、名作とはいえ読みきった人は日本の歴史でも非常に稀だった、と林望さんは語ります。
参考文献
古典の基礎知識
大前提として説明はされません。~宮、北の方、女房、女御など、大学受験対策で古典常識と言われる範囲です。
マドンナ古文常識217 パワーアップ版 (大学受験超基礎シリーズ),荻野文子,学研プラス
とても読みやすく、古典知識を挫折なしに総ざらいできます。『源氏物語』を読むにあたって、この本に載っている古典知識は必須です。
入門~本格向け。図版が多く、概説から解説と丁寧な構成で、予備知識がなくても、平安期の文化を把握できます。わたしには一番役立っています。
本格向け。網羅性が高い。カテゴリ別の図ありの事典です。概説がなく、多少の予備知識がある方向けに思えます。同じく小学館『平家物語図典』は非常に使い勝手が良かったのですけど。
上記の事典・図典をさらに詳解した本です。『源氏物語』に限定されない平安期の全般に触れられており、読み物として一級品の面白みがあります。
平安期の時代背景
『源氏物語』は当時の時勢との関連が高いです。平安期の背景を知っておくと、より楽しめます。実際の史実でも系図のカオスな有り様は、『源氏物語』の系図に劣らず、系図読みの練習にもなります。
岩波新書,摂関政治(シリーズ 日本古代史 6),古瀬 奈津子
この巻からでも読み始められます。比較的通読しやすい。
日本の歴史〈5〉王朝の貴族 (中公文庫) 土田直鎮,中央公論新社
決定版「平安朝の歴史書」です。中公の「日本の歴史」シリーズの中でも、この巻は名高い名著です。意外に読みやすいです。おすすめ。
復習用(ネタバレあり)
『源氏物語』は54帖あり、現代語訳でだいたい10巻で構成されます。
読んでいる間に忘れます。しかし、読み返しは避けたい。
復習しつつ、『源氏物語』の解釈・ウラ話をついでに学びたい。
こちらも同時に読んでおくと、54帖を終えたときには、あなたも『源氏物語』マニアといってもいい?
『源氏物語』は、読み始めると面白すぎます。
ネタバレ情報を先に調べてしまうともったいない。
中田敦彦さんがYouTubeで解説されていますけど、見ないほうがいいです。
2021年の最近に出版された本で、イラストが多く、読みやすいです。1帖見開き構成です。『源氏物語』を読み進めながら、古典知識を深めていく形式です。原作に進度に合わせて、1帖ごとに読んでいくのをオススメします。
高木和子さんは瀬戸内寂聴版現代語訳の巻末"語句解釈"を書かれた先生です。解釈と解説が各帖ごとにまとめられています。文庫本などの巻末解説に近い内容です。あらすじも文面で述べられており、通読しながら、『源氏物語』を学べる本です。
「紫式部日記」を山本淳子さんの本で読みました。このため、山本淳子さんには親しみを感じ、手に取りました。各帖ごとに要約、解説があります。エッセイ風に、文化、歴史が解説されており、読みやすいです。
受験生御用達の有名なマンガです。原作内容に準じて描かれています。大いにネタバレになるので、原作の読書進度に合わせて、一冊ごと読み進めるのがいいと思います。面白さは原作の2/10くらい?
4コマ漫画で『源氏物語』。「大掴(おおつかみ)」なので、わかったような、わからないような。原作が持つ面白さを味わうのは不可能。
いまどきの絵柄のバージョンアップ版「まんが 源氏物語」。読みやすいです。『まろ、ん?』同様、あらすじを知りたい方向けです。
谷崎潤一郎 訳も読みたい。
谷崎潤一郎さん 訳が青空文庫で全巻アップロードされたら
とともに、読み返したい。谷崎潤一郎さん 訳では、辞書を頼ることが多くなりそうで、できれば電子書籍のように、辞書を引きやすい媒体で読みたい。青空文庫での作業終了が望まれます。(リンク先青空文庫HP)
瀬戸内寂聴さんの文章に馴染みのない方へ
『釈迦』
釈迦の伝記小説。『ブッダ最後の旅』(大パリニッバーナ経,マハーパリニッバーナ・スッタ)を元に、釈迦の最期が描かれます。
『秘花』
世阿弥の伝記小説。佐渡へ流罪、その地での最期までが描かれます。
を手にとって見てください。瀬戸内寂聴さんの晩年に書かれたこれら小品は、どちらも女性らしい円熟さと温かみのある文で綴られています。小伝として読める内容で、おすすめです。
最後に
『源氏物語』を読み始めたキッカケ、紫式部、平安の女流歌人、も書きたかったのですが、ボリュームが増えすぎました。次回、書きたいと思います。
『源氏物語』を読み始める前は、古典ということでストーリーや人物描写を侮っていました。読み始めると、紫式部の人間観察力、描写力が驚異的に優れており、登場人物の絶妙な設定も頻繁に唸ってしまう。現代基準であっても「紫式部は天才作家」といわざるを得ない。
マンガや動画で済ませるのではなく、原作を読まれるのを強く推奨します。
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