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『顔面漂流記』1999年 <ⅩⅢ> 飯田女子短大授業 97・10・31

ⅩⅢ 飯田女子短大授業 97・10・31
 
テレビカメラの前にどういう顔で出ていくのか? オレにはオレの顔しかない。目が動かず、麻痺した顔がオレの顔だ。それしかない。それ以外に顔がない。その顔をみた世間がどう思うのかは考えても仕方ないだろう。思いたいように思わせておけばいい。正面突破する外にオレの考えはない。それがオレのやり方だ。
『顔面麻痺』ビートたけし
 
 
97年10月31日。毎日放送の取材の最終日。飯田女子短大での特別講義は、本書で何度も紹介した顔に血管腫のある研究者、藤井輝明さんのアレンジで実現した。題して、「顔面に疾患、障害、ハンディなど人目につく特徴のある人の心理と社会生活」。看護学科の女子学生にどれだけ私の話が理解してもらえるのか。これは私にとってひとつの挑戦だった。どれだけ調べようとも伝わらなければ意味がない。
イギリスの市民団体「チェインジング・フェイス」で購入してきた、顔に病変のある人たちを描いたビデオを教材に選んで、合計3時間しゃべった。これはその要旨である。
 

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