めーめ


 
 真っ直ぐな目を失ったのは
 もうずいぶん前になる
 時計の針も文字も月もおぼろげで
 上下右左もわからなくて
 みんなに笑われた
 これじゃダメだと思って
 目を良くする方法を調べて
 遠くを見たり、近くを見たり
 まばたきしたり、ネットサーフィンしたり
 猫背でぼやけた目を擦る
 やっぱり意味ないみたい

 ある日、気球を見た
 途端に世界は輝きを取り戻して
 見慣れた景色は歴史を語り出す

 あれは魔法だった
 いま耳にかけている
 これも魔法だった
 いま透明な膜が液体に入っている
 それも魔法だった
 
 
 
 

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