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ドーナツ型の家の中庭には冬と春に牡丹が咲き誇る、夏と秋には葵が咲く。この家で「人間」は3人しかいない、お嬢さんと頭(かしら)と…… 「葵!朝だよ、起きて!」 声とカーテンを開ける音、それから鋭い光が広る。あまりの眩しさに、一瞬顔をしかめた。 「……おはよ」 ベッドから上半身を起こす。出た声は思った以上に掠れて、ぼんやりとしたものだ。 深い眠りから醒めたばかりの脳は完全には覚醒してないらしい。前後に揺れる頭をどうにか窓の外へ向ける。 思っていたよりも日の位置は高かった
古今に朽ちても この刻を生き 永く眠り 全てを忘れようとも 君が亦、この私を 見つけてくれること 待つ 「だから悲しまないでくれ」