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多重「人格」のこと(2)

※家庭内暴力の記述があります。


前回、最初に出てきた人格は「美意識ちゃん」だったと書いたが、実は本人(私)も自覚なく、別の人格が出てきていた。冷静に判断し、理路整然と私の為に説明するこの人格を、「ロイヤー(弁護士)さん」と呼ぶ。「ロイヤーさん」は、母とラインで会話している際に出てきた。

母には先に、家庭での暴力や虐待が原因でPTSDとなり、鬱症状が悪化し臨床心理士と会っている事は伝えていた。「はっきり言って不幸です。」と書いた。一見同情しているような返事が来たが、締めくくりは、「私(母)は落ち目ですが、不幸ではないです。」と。彼女はいつもそうだ。

私のものもらいが治らず瞼の手術することになった際は、母は、「私のものもらいは、すぐに治っちゃったよ」と言い、他にも私に何か不幸な出来事が起こると、自分は大丈夫だった、何とも無かったなどと言う。だから何だと言うのだろう。

その時はもう会話を終え、数週間後にまたラインか来た。「大切に出来るパートナーに会えると良いですね」と。私は少々不快に思い、「暴力と虐待の後遺症で、解離性同一障害の治療中で、パートナーどころではないです。この問題のお陰で、健全な人間関係が育めないので。」と返信した。それから、「すっきりしない事があるなら話すよう」促すので、過去の兄による虐待場面を詳細に説明、その際側に居た母は止めなかった事、直後に兄と連れ立って笑顔で手を振り出掛けて行ったこと、などが傷になっている事を告げた。母は、「その暴力場面は覚えてる。あなたがお兄ちゃんの容姿を揶揄したから殴られたんだよね?」と、返信した。この落胆は、知っている。もうウンザリしている。

私は、「激しい暴行は日常的に起きていた。個別の原因は問題ではない。しかも、容姿を揶揄したのは別の時です。執拗に無抵抗の者に暴力を振るうというのは、異常者のする事です。それを容認する人間も同様、という認識です。
父親からの性的嫌がらせもあった。ふざけて胸や性器を服の上から何度も触った。まだ小学校中学年で、意味がわからなかった。それも話したはずです。
誰も許すつもりはありません。もう大人だから、昔の話だから、自分さえ忘れればみんな安泰とか、そういう誤った考えはやめました。分かり合えなくてもいいです。理解するつもりがあるなら、とっくの昔にそうしていたと思うから、今更何も期待していません。」と返した。

すると母は、今更、父親の性的なイタズラの部分にのみ食いつき、父親は殺すに値する、よく我慢したね、顔を見るのも嫌だね、などと言い出した。もう、落胆はピークに達した。

私の返信

「急にそれらしい事言わなくてもいい。私にとっては、その嫌がらせも日常的な父や兄の暴力も、あなたの無関心も、同じくらいに心を殺したので。全部同じ事です。理解してほしいのは、他の暴力も私にとっては同じという事です。他の暴力や虐待を矮小化しないで下さい。父も兄も、同じように憎んでいる。兄の暴力に加担したあなたにも、落胆している。わかったような事、言わないでいただきたい。繰り返しになるけど、何もしてほしい事はないです。専門医の協力で治します。加害者の記憶は簡単になくなるから、それぞれの人生をそれぞれに生きればいいんだと思います。」

ここまで言うと母は、元々父親と結婚した事が諸悪の根源で悪かったと言った。一見反省しているようだが、私の存在と人生の全否定だ。私はこの文言を、何回も聞いた。完全に私の心は冷えていた。

「もう一度言いますが、執拗に無抵抗な弱い者に対し殴る蹴るの暴力を行うのは、異常者です。それを正当化し擁護するのも、同様というのが私の認識です。今回、あなたはその異常性と、心に対する酷い影響を認識できないという事が理解できました。どんなに矮小化しようとしても事実は変わらない。もう充分だと思う。」

「正当化しようとはしていない。兄は取り返しのつかないひどいことをした。止められなかった私も同罪か。その時の環境時代など考える。でも力のない子供には過酷な家庭環境だった。外の環境はどうでも暖かく守られていればよいのですね。守れない人は若しくは守る努力をしない人は子供を持つべきでない?二人共私の子供だから私に課せられた重荷はずっと背負っていかなければと思います。」

「今更言われてから重荷を背負うとか言う必要ないです。そんな事は、何の助けにもならない。正直、背負える裁量は無いと思う。私のお願いは、もう体裁だけ家族らしい事をしないて頂きたい。それだけです。私は、残りの人生を、虐待者の負の影響から逃れて生きていきたいのです。「ずっと背負う」とか、むしろ恐怖です。虐待と過干渉のセットは、人格を破壊するんだと思います。」

「よく解った。あなたの感想はあなたの感想。私の思いは私の思い。独り立ちしてくれて嬉しいですよ。すっきりとして卒業気分です。ありがとう。」

(卒業だなんて美化しないで頂きたい、私はあなたと、あなたへの執着を捨てたのだから……)

もう話す価値もない。


この会話をしたのが、「ロイヤーさん」だ。私の立ち位置を冷静に説明、母とは元々分かり合えた事などなかったと見せたのが、この人格だった。後悔はない。もう誤魔化して生きる事はしたくない。家族とは、死ぬまで会うつもりはない。


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