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湯水のようには使えない。。。

日本人が湯船に浸かるのは、カラダを温めるため。血の巡りを良くして肩こりを和らげたり、疲労の溜まった筋肉をほぐしたりする。

カラダを温めることが目的なので、日本人の浸かる湯は熱い。

それに対して欧米人が湯に浸かるのは、リラックス目的がほとんどだと思う。ぬるい湯に泡やアロマを入れたりして、のんびりゆっくりと極上の時間を過ごすのだ。特別な日の特別な時間。それがバスタイム。

追い炊きシステムなんてないから時間をかければかけるほど、ぬるい湯はますます冷めていく。


日本の風呂と欧米の風呂
日本の風呂場には必ず湯船がある。シャワーのない風呂はあっても湯船のない風呂は見たことがない。

もしかしたら住宅事情によって、欧米のようにシャワーしかない物件が日本にもあるかもしれない。でもそれは一般的ではないし、日本人が想像する風呂には湯船があって当然。。。ということは、

そう、欧米には湯船のない風呂場が当たり前のように存在する。

私が以前借りていたアパルトマンにも湯船はなかったし、なんならわざと湯船を取り除いてシャワーだけにリフォームする人もいる。

日常で必要なのはシャワーで、湯船ではないのだ。

さらに言うと、シャワーと湯船は同時には使わない。カラダを洗うのがシャワーで、リラックスしたバスタイムを楽しむのが湯船。別なのだ。

日本人は湯船に湯を溜めてからシャワーを浴びる。シャワーは湯船に浸かるための前準備。汚れたカラダで湯船に入りたくないから先にシャワーでカラダを洗う。だから日本の風呂場には洗い場があって、シャワーで流した湯と湯船の湯が混ざらないようになっている。


アメリカで聞いた話
アメリカに語学留学中の日本人女性から聞いた話がある。ホームステイ先のおばさんが、彼女がシャワーを浴びる度に時間を計って文句を言ってくるのだと。ちなみにその家の風呂場にはシャワーしかなかった。

「あなた、今日は十五分も水を流しっぱなしにしていたわね!」

日本人女性は滞在費を払っているのだからシャワーぐらい自由に浴びさせて欲しい!とホームステイを斡旋した学校に文句を言い、ひと月もしないうちにステイ先を変えることになった。

英語の勉強になるからとホームステイを選んだのに、おばさんはほとんど家にいない。朝夕食付きのはずが、用意されたのは安いレンチンのミールプレートばかりでいつもひとりで食べていた。シャワーのことだってきっと、水道代がもったいないから嫌がらせをしたに違いないと彼女は言っていた。

おばさんの留学生に対する態度は全くもって完全に好ましくないけれど、水のことは少し違う気がする、と私は思った。


水は限りある資源
欧米の人は水を大切に使っている。毎年のように乾期の水不足がニュースになるのを観ているから、水が限りのある資源だという認識を強く持っている人が多い。

だからかどうかは分からないけど、シャワーに入る時、髪やカラダを洗う際には一旦水を止め、洗い流す時に再び蛇口をひねる。無意識だと思う。無意識に無駄な水を流さないようにシャワーを浴びている人が多い気がする。

多分アメリカのホームステイ先のおばさんは、十五分間もずっとシャワーの水を流しっぱなしにするのが嫌だったんだと思う。もちろん水道代のことも気になったはずだけど、それ以上に水の使い方が気になり過ぎたからシャワーの時間を計るなんていう奇行に出たのだろう。

水資源の豊富な日本で生まれ育った日本人にとっては、水が枯渇するなんて考えることもないし想像もできない。

毎日シャワーを浴びてから、湯船いっぱいに溜めた湯に浸かることに罪悪感を感じる日本人なんてそうはいない。


海外でシャワーを浴びる時
最初に書いたように、日本人は風呂で温まりたい。風呂に入るのはカラダを洗うためともうひとつ、温まりたいから。

その意識を持ったまま、海外で風呂に入るとどうなるか。

シャワーと湯船が一緒になっている場合は、
①シャワーで髪やカラダを洗う。
②その後一旦出て、湯船をさっと洗ってから湯を張る。
③湯を溜めている間に洗面台で歯を磨いたりその他の手入れをする。
④湯が溜まったら湯船に浸かってカラダを温める。

では湯船がなくてシャワーだけの場合は?

シャワーだけでも温まろうとする?どうやって?

私の友人で三十分以上もシャワーの湯を出しっぱなしにして「打たせ湯」状態にしたことがある人がいる。それでも湯船に浸かるようには温まらなかったと言っていたから、結局流れた湯は風呂場いっぱいに真っ白な水蒸気を充満させただけで無駄になった。


水資源の豊かな国
「湯水のようにお金を使う」と聞くと、札束を鷲づかみにして投げるように散財する姿が目に浮かぶ。温泉や湧水が絶えず溢れ出て流れていく様子が頭に浮かぶから。

でもそれは水資源が豊かな日本を知っているから浮かぶイメージであって、世界共通の認識ではない。

日本で生活しているのであれば、その豊富な資源を存分に使って暮らせばいい。私だって日本に帰ったら温泉に入りたいし、実家で毎日湯船に浸かる。

でも毎年水不足の問題が深刻化し、風呂の追い炊きシステムすらない国ではそんな入り方は出来ない。状況が違うことを理解しなければならない。

湯水を湯水のように使うことが出来るのは、日本に豊富な水資源があるからなのだ。



余談
そうは言ってもフランスで庭付き一軒家を持っている人の夢は、庭にプールを作ること。北部の寒い地方に住んでいる人でさえそんな夢を持っている。

湯船はいらないけどプールは欲しい。

そんな夢を見ているフランス人が結構いるって知ってました?

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